「よろしくお願いします」
彼、なまえさんが教団に帰ってきてから数週間後、僕は一緒に任務に行くことになった。新調してもらった団服に身を包んだ姿はよく似合っている。
「よろしく、アレン…でいい?俺はなまえでいいからね」
「結構です。じゃあ、なまえで」
すっかりさん付けで定着してしまっていて若干の恥ずかしさが込み上げてきたが、そのうち慣れることを祈ろう。そういえば、
「なまえって、寄生型なんですよね?」
目的地まで向かう列車の中、ガタンゴトンと揺られながら気になっていたことを訊いてみた。何故かティムキャンピーが彼の頭にいることも気にはなっているが、まずはそれだ。
「うん」
「……いつから教団にいるんですか?」
「忘れたや」
「…………」
ああ、これはまずいのでは。
なんとなくではあるが、今の質問の答えに拒絶を感じた。俗にいう地雷というやつかもしれない。
ど、どうしよう……!
引きつりそうな顔を我慢して、他の話題をと頭をフル回転させる。ここはトランプか……?けれどイカサマせずにできる自信はない。
「アレンって、」
「!?、はい?!」
「…………、クロスさんの弟子のアレン?」
まさか声をかけられるとは思っておらず、団服からトランプを出そうと手をいれた状態のまま上擦った声がでてしまった。そうですその通りです僕はあのクソ師匠の……って、
「え……?」
「?、あれ、違うのか」
「い、いえ!!そうですけど……!」
「あの人って、優しいよね」
「!?何処がですか!?!?あんなの借金増やしていくだけのバカ師匠ですよ!!仕事するのかとおもったら飲みに行ってそのまま女の人、と……」
つい前のめりで文句をたらたら。椅子から自然と持ち上がっていた腰をおろす。
なまえはそんな僕を微笑んでいるのみ。
穴があったら入りたい。
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