「また随分、大きな子を……」

「ッチ!!!うるせェ!!だったらテメェがどうにかしろマリ!!」


もともと同行する予定だったマリと合致したのはいいが、今俺の背中にはなまえが寝ている。何度叩いても起きなかったのだ。うだうだしていたら発車されてしまうので背負って降りたところである。もうその心配はないために、遠慮なく支えていた手を離した。

「こ、こら神田!」

「ほっとけ」

「今ので起きたんじゃないか……?」

「あ?」

脈でも呼吸でも乱れた音が聞こえたのか、マリの言葉に視線をやれば、眉間を寄せたなまえが目にはいる。叩かずに椅子から落とせばよかったのか。


「…………う〜ん、、」

「おはよう、なまえ」

「え?…………あれ、マリだ。あれ?神……うわっ!?」

「テメェ散々人の肩借りておいてマヌケ面晒してんじゃねぇぞコラ……」

のっそり起き上がったなまえにチャキ、と刃先を向けて謝罪を促す。

「うわー理不尽。でもごめんね」


よっこらせ、と立ち上がり、団服についた汚れを払いながらいつものようににっこりと微笑んだ奴は、


「あと、ありがとう」


小さくそう言った。

もちろんマリには聞こえていて、生暖かい視線を送られる。


「ッチ……さっさと終わらせる」

「あ、ねーお腹すいた」

「〜ッ、帰れ……!」




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