09
「えーっと、んー、ゴホン、誕生日、おめでとう」
無事に必要なものも買い終わり、帰りに寄ったコンビニで手に入れたケーキで、1日遅れのハッピーバースデー。本当ならケーキ屋さんのケーキを買ってあげたいところだが、生憎今日は色々と出費してしまった。致し方ない。
「遙君って、いくつになるんだ?」
…あ、今のはちょっと子供扱いだったろうか。まずったーと自分の口を押さえながら、ちらりと彼を見やる。
良かった、気にしてはなさそうだ。
「17歳」
「若い」
つまり俺は17の青年とひとつ屋根の下暮らしていくということ。うん、いいな。そそる。
「なまえも若いだろ」
「!、っ悪い、なんて?聞いてなかった」
ぶんぶん頭を振ってやましい妄想を消し去る。今日で何回目だろう。自重しないとこれからやってけないぞ。
「なまえも、若い」
「は?あぁ、まぁ……若いか」
「ああ」
ぱくりぱくりと小さな口へとケーキを運びながら、会話を続けてくれる遙君。今日一日ずっと行動を共にして、俺に慣れたのかもしれない。と言っても初っぱなから水着エプロンをお披露目してくれるあたり慣れだとかそんなものは関係ないだろうけれど。
彼はただ自由に生きている。
それだけだ。
「やっぱり、若いね」
17歳って。
ケーキを食べる遙君の近くに座って、不審がられないようにその横顔を見つめた。
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