参◇詮議2
「あの、それは私が一番聞きたいです。」
こうなったら、女は度胸!
………と奮起するが、怖いものは怖い。
出た声は、酷く掠れて震えていた。
「私は仕事をしていて、仮眠を取ってただけなんです。
あの白い服、あれがユニフォーム、じゃなくて仕事着なんです。
気づいたら、あそこにいて…私にも、何がなんだか…。
ここは、どこなんですか?今は何年ですか?」
一度口を開いたら、今まで思っていたことが溢れてきた。
ひとしきり言いたいことを言ってしまう。
その言葉を聞いて、彼らの威圧感が増す。
そりゃ、そうか…訳の分かんない女が、訳の分かんないこと言ってるんだもんね。
その空気に戦々恐々としながらも、真っ直ぐに紫色の瞳の男性を見つめる。
目を逸らしたら、負けだ。
その思いが通じたのか、チッと舌打ちをした後
「今は文久3年、ここは新選組の屯所だ。
で?それが何だってんだ」
とりあえずのところ、質問には答えてくれた。
やっぱり、そうなのね…。
信じたくないよ、信じたくないけど、でもそれ以外に考えられない…。
覚悟を決めて、口を開いた。
「私も、まだ信じられませんし、信じたくない。
でも、現実に起こっているので、受け入れざるを得ません。
あり得ない話だとは思いますが、私は150年ほど先の未来から来たみたい、です」
辺りの空気が凍りつく。
きっと私は、この時の美形たちの唖然とした顔を一生忘れられないだろう。
prev /
next