*五月病

五月病



五月初めの大型連休、ゴールデンウィークもあと一日で終わろうとしていた。
学校から出された宿題もほとんど終わり、綺依と琉依は残り少ない休日を家の中に閉じこもって過ごしていた。

 琉依が宿題の最終確認をしている横で、綺依はダラダラとテレビを見ていた。
それも、注意して見ているわけではない。ただ流れていく映像を眺めているだけ。
いつも以上に気怠そうな彼の姿に、琉依が心配そうに問いかける。

「おにぃ、どうしたの?しんどい?」

ちら、と視線を琉依の方へやり、さも面倒くさそうに綺依は答えた。

「別にしんどくは無い。ただ、五月病にかかっただけ」

「五月病?それってどんな病気なの!?」

聞き慣れない単語に、琉依は戸惑ったり慌てたり。

「何もする気が起きなくなること」

「……それって治るの?」

 とりあえず重病ではなかったので安心したが、それでも"病"とついているのだから病気には違いないのだろう、と不安を拭いきれない琉依。
病院に行ったほうがいいのか、それともそのまま放っておいていいのか。
はたまた何か薬を買ってこなければならないのか。皆目見当がつかず、琉依は再び尋ねた。

「さぁ。治らないかもしれないな」

テレビに視線を戻して、相変わらずアンニュイな口調で言う。

「えぇー!そんなぁ……」

「治ってほしいのか?」

「治るのなら治ってほしいけど……」

 すると、これまで死んだ魚のような目をしていた綺依が少しだけ嗤った。
そして立ち上がったかと思うと、琉依を背後から抱きしめる。そのまま琉依の耳に唇をぴったりつけて囁いた。

「じゃあさ、今から俺の言うとおりにして」

蕩けるような低音に、琉依は甘く悶えた。

「ん……いぃよ……」

「こっち向いてじっとしてろ」

 言われたとおりに身体の向きを変え、綺依にぴったりとくっつく。首に腕を回すと、顎を持ち上げられてキスをされた。口内を舌でかき回され、喉の奥に流れ込んでくる混じり合った唾液を飲み込む。しばらくして唇を離すと、琉依のそれは腫れたように真っ赤に色づいていた。誘われるように綺依は、二本の指をその中へ挿しこんだ。二本をばらばらに動かして存分に口内を蹂躙すると、満足気に指を引き抜いて琉依の頬に擦(なす)り付けた。

「おにぃ、治った?」

「あぁ、すっかり治った」

「よかったー」

ほっと胸を撫で下ろして笑う琉依に、一旦静まりかけた情欲が湧き上がってくるのを綺依は感じた。結局それを抑えきれず、それまで無気力だったことが嘘のように琉依を犯し続けたのだった。


-end-


五月になりましたね。管理人は幸か不幸か五月病ではありませんが、お兄ちゃんが五月病にかかったようです。……弟以外に対しては万年五月病みたいなもんなんだけどね。

そういや死んだ魚の目って、新鮮だと意外と透き通ってたりします。
お兄ちゃんの目が透き通ってる訳ないので、煮魚か焼き魚の目を想像しておいて下さい。ちなみにいつもは死んだような目をしてます←
とりあえず濁ってる。

と言うわけで、5月の拍手文でしたー。また今年の分もその内上げます。
 


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