我慢できなくなる





離さないで、と零した彼女はイデアの自室に招かれた。
青を基調としたシンプルな部屋だけれど、壁に貼られたゲームのポスターや床に積まれた魔法工学の文献、部屋の隅に転がっている機械のパーツが何ともイデアらしい。

「と、りあえず座って…?コーヒーで良ければ持ってくるから」
「…いらない」
「ヒッ、!」

イデアは落ち着きなく目線をウロウロと動かしながら努めて冷静に振舞おうとナマエをベッドに座らせた。
しかし、コーヒーを淹れに行こうと彼女に背を向けたイデアはその足を止めざるを得なくなった。イデアの腰を後ろから彼女が抱きしめたから。

このシチュエーションは、非常にまずい。

自分の部屋で好きな人と二人きり。
放課後はまだ始まったばかり。オープンキャンパス中ということもあり寮生たちも全員出払っているため他の部屋にも誰もいない。
そんな状況に邪な気持ちを抱いてしまうのは思春期男子にとって仕方のないことだった。

もちろん【いつかは】なんて淡い期待をしていなかった訳ではない。
いつか、彼女の傷が癒えたその時は。と脳内の片隅では邪な気持ちを抱いていたのは事実であるし、いつか来る日に備えて大人の指南書を夜な夜な読んでいたのも紛れもない事実だった。

しかしそれはあくまでも【いつか】という想定だったため、急に舞い込んできたこの予期せぬ事態にイデアは端的に言うと焦っていた。

「(絶対今じゃないよね常考…ここで手を出しちゃダメだ…落ち着け…落ち着け…)」

嫌でも反応してしまう自分の雄の部分に冷や汗を流し 脳内で邪念を振り払おうと必死に取り繕うイデアだったが、そんなイデアを気にもとめず彼女は「どこも行かないで」と甘えたようにぐりぐりとイデアの腰に頭を擦り付けた。

「ちょ、離れて…拙者だって立派な男子高生ですぞ……その、マジでやばい…」
「いいよ、イデア先輩」

彼女の返答にイデアは目を見開いた。
驚いて咄嗟に後ろを振り向く。──潤んだ大きな瞳と目が合った。

「今まで、身体は売ってたけど心だけは誰にも売らなかったの。──イデア先輩にあげる」
「それ、は…」

未だにベッドに座ったままの彼女はイデアの腰から手を離し、胸の前できゅ と両手を握り締めた。
少しだけ震えるその両手は、先程までの恐怖を物語っていた。
まだその身に恐怖が残っているというのに、目の前の少女は自分に全てを捧げるつもりでいるのだろうか。イデアはまるで他人事のようにそんな事を考えた。
そんなイデアの考えを全て見透かしたかのように彼女は続ける。

「まだ少し怖いのが残っているの、消して欲しいんです。──わたしのお願い、聞いてくれますか?」

ナマエの瞳が揺れる。上目遣いに此方を見上げる吸い込まれそうなその瞳に、イデアは無意識に喉を鳴らした。

「…いいの?」

イデアの問いに彼女は泣き笑いのような表情で頷いた。「お願い」繰り返す彼女にイデアはとうとう覚悟を決めた。少しだけ息を吸うと彼女の頭をゆるりと撫でて、「目、閉じて」と呟く。

「…ん、」

上から被さるように抱きしめ、優しく口付ける。ちゅ、ちゅ、と角度を変えて何度も何度も。
「、は…、」息を吸おうと口を薄く開いた彼女の中に舌をねじ込む。早急なその動きに、彼女は緩く悲鳴をあげた。

「…あんま可愛い声出さないで。我慢できなくなる」
「だ、って…きもちい、からぁ、っ、」
「だからそういうの、やめてって」

彼女の後頭部に手を回しより深く、全てを掻き出すような口付けにくらくらする。
聞こえてくるのはリップ音と水音のみ。
くったりとイデアに凭れ掛かる彼女に「かわいすぎ」と呟くとイデアはゆっくりと彼女をベッドに押し倒した。



▽△



薄らボンヤリと部屋を照らすのはルームライトのみ。
ベッドに押し倒したナマエの口、頬、目元に順番にキスの雨を降らせる。
擽ったそうに身を捩る彼女だったが、耳を掠めたイデアの唇に「、ふ、ぁ」と甘い嬌声をあげた。

「気持ちいい?」
「ぁ、だめ…そこで喋らないで、」
「耳、弱いの?」
「声、が、ずるい……ぁ、やぁ…っ!」

耳元で囁かれる掠れ声に身体がじくじくと熱を持つ。
首元に触れるイデアの炎の髪に再び身体を跳ねさせた。
そんな彼女をじぃ と観察したイデアは徐に首元に噛み付いた。

「ひ、ゃあ!」

そのまま強い力でジュ と吸われ大きく身体が跳ねる。唇を離したイデアは今しがた着けた白い肌に浮かぶ赤い跡を満足そうに眺めた。
自分の所有印。彼女が自分のモノであると証明するようにくっきりと映えた目に見えるカタチ≠ヘ酷く淫靡で、イデアはゴクリと生唾を飲み込んだ。

「…服、脱がしていい?」
「き、かないで…」
「ゴメンゴメン…拙者初心者なもので」

恥ずかしそうに顔を背ける彼女に口先だけの謝罪をすると、イデアはゆっくりと彼女の背中を抱き起こす。
先程まで自分が着せていた上着をするりと脱がせ、既にはだけているブラウスのボタンに手をかけた。
ぷつり ぷつりと一つずつ丁寧にボタンを外していく。顕になっていく白い肌と胸を覆う水色の下着のコントラストは目に毒だった。
以前 三年の空き教室で倒れているナマエを介抱した時は必死にその白い肌を見ないようにボタンを止めてあげた筈なのに、今はその逆のことをしようとしている自分が酷く滑稽に思えた。

ぱつん、と後ろの留め具を外し、ふるりと姿を現した双丘にイデアは再び喉を震わせた。
綺麗だ、と素直にそう思った。初めて見た桃色の飾りのついた豊かな白い肌は、イデアを誘うように甘い香りを放っていた。

「や…イデア先輩、あんま 見ないで…」
「だめ、綺麗だから。隠さないで。こっち向いて」
「ふ、ぅあ、…!」
「声も、我慢しないでいいから…聞かせて」

ゆるりと胸を撫でられて鼻にかかったような甘い声が飛び出す。咄嗟に口元を両手で覆うも、イデアの手によってベッドに縫い付けられた。
胸の突起を甘噛みされ、反対側も手で愛撫される。
びくびくと身体を震わせる彼女に「気持ちいい?」と問うた。何度も頷く彼女の頭を撫でるイデアも、既に限界だった。

「ねえ、下、触っていい…?」
「だから、きかないでって、ば、…」

ゆっくりと優しくスカートを脱がされて、上とセットの水色の下着に手をかけられる。
自分でもわかるくらいに濡れていたソコに 両手で顔を覆う。…直ぐにイデアによって再びベッドに縫い付けられた。「隠さないでって言ったでしょ」意地悪く笑うイデアに きゅんと胸が鳴った。
恐る恐る彼女の秘部に手を伸ばす。ぬるりという感触に イデアは「ふひ、」と小さく笑った。

「濡れてる」
「い、言わないで……!」
「ほんっと君ってかわいいよね」

つぷり、ゆっくり沈めた長い指は拒絶されることなくずぶずぶと彼女のナカに飲み込まれていく。
ゆっくり確かめるようにナカを堪能したイデアはもう一本、と二本目の指も沈めた。

「んっ、!やぁ、…そこだめっ、ぅあ…っ!」
「ここ、…?」

バラバラと蠢く長い指は的確に好きなポイントを探り当てて来る。だめ、きもちい、と息も絶え絶えに身体を捩る彼女が愛おしくてイデアはもっと、と指の動きを早くした。

「あ、あ、…だめ、イっちゃ、う」
「いいよ…僕なんかの指でイっちゃうところ、見せて」
「ぁ、っ!ああぁあ───ッ!!!」

強めにナカを擦った。彼女はガクガクと身体を震わせて達した。ぷしゅ とナカから透明な愛液が吹き出した。

ずるりとナカから指を引き抜かれて ン、と声が出た。
くたりとベッドに力なく横たわった彼女を満足気に眺めると、イデアは彼女の愛液がかかった自分の指をべろりと舐めとった。

「や、そんな きたない」
「何が?」
「ばか…」

恥ずかしそうに顔を背けたナマエの頭をゆるりと撫でたイデアは「あっつ、」と額の汗を拭う。自身の制服を乱暴に脱いで地面に放り投げる。青白い肌と うっすらとついた筋肉に目が離せなくなった。
彼女の視線を感じてイデアは少し恥ずかしそうに頬をかいた。

「…その、あんまり見られると恥ずかしいんだけど」
「あ、ごめんなさい…すごく綺麗で」
「それ、君が言う?…はァ、あっつい、」

続けて性急な動きでカチャカチャとベルトを外してズボンも同様に放り投げる。
不自然に膨らんだ下着に彼女は思わず視線を逸らした。
大好きな人が自分に興奮してくれているのだと。その事実がこんなにも嬉しく、恥ずかしいものだなんて。

「…ごめんね、もう限界」そう呟いて下着を下ろしたイデアの其れは、はち切れんばかりに膨らんでいた。
彼女は「ひ、」と身体を縮こませた。今から、此れが自分のナカに入るのだと。改めて認知したその行為に、羞恥で瞳を潤ませた。

「むり、……」
「え、」
「そんなおっきいの、入らないです…」

熱に浮かされたようなその表情で煽られ、イデアは「ぅぐ、」と息を飲んだ。
実際、イデアの其れは他と比べて少々大振りではあると自覚はしていた。知識ベースではあるが、今まで見たことがある大人の指南書やそういう類の映像で映る其れよりかは自身のモノは少し大きいかな…くらいのレベルだと思っていた。
初めての自分との行為に怖気付いた彼女が発した言葉だと頭の片隅では理解はしていたが、煽られ耐性のないイデアはその彼女の言葉になけなしの理性が吹き飛んでいくのを感じた。

「こっち向いて、」
「ひっ、ぅう、」

吐息混じりに名前を呼んで耳を舐め上げると、体がびくりと跳ねた。形をなぞるように舌を這わせて、時折甘噛みする。
「かわいい」と囁いて再び耳を嬲る。はくはくと息を荒らげるナマエの頭をゆるりと撫でた。

「あっ、んん、……ぁっ」
「好きだよ」
「ぁ、はぁあ………ッ!!!」
「やば、キッツ……、」

ずぷり。彼女のナカに入り込んだイデアはギリ、と歯を食いしばった。
想像の何倍も温かい彼女のナカはうねうねとイデアを包むように締め付けた。
まるで、離さないでと懇願するかのような締め付けにイデアは ハァ、と息を吐く。

「持ってかれるかと思った……」
「イデア、せんぱい?」
「ナマエちゃんのナカ、気持ちよすぎてやばい」

眉根に皺を寄せたイデアの言葉に彼女の心が再びきゅん と跳ねた。呼応するように締まるナカにイデアは唇を噛み締める。
「お願い、これ以上拙者のこと煽らないで」イデアのその言葉を理解していないのか、ナマエはへらりと笑うと「全部入っちゃった…」と嬉しそうに言った。

「っ、だから、煽んなって、!」
「ぁッ!…ふ、…ゃあ…!」

耐えていた糸がぷつりと切れた。グン、と奥を突かれて甘い嬌声が口から零れ落ちる。
奥、いりぐち、また奥…と様々な角度で打ち付けられる腰に目の前がチカチカと揺れた。そんなナマエの反応を見ながら「煽った君が悪い」とイデアは笑う。
揺れる白い胸元に唇を寄せ、何度も吸い付く。点々と咲く赤い華に何度も舌を這わせた。
ナマエのナカがキュンキュンとイデアの其れを絞り出すように締まる。そろそろ限界だ、と告げるような挙動に イデアは律動を早めた。

「ぃであせんぱ…、も、むりぃ…」
「僕、も、やばい……かも」
「───ぁあ、あ、あぁぁぁっ!」
「………ッ、!」

頭が真っ白になる。背中がゾクゾクと粟立つ感覚。
イデアが大きくナカで脈打ったのを感じながら、痛いくらいの快感に包まれた。


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