お仕事開始



「さ、ついたわよ」

「とりあえず事務所に行きましょう」という三上の提案で、なまえとリヴァイは三上の運転する車で事務所に来ていた。
事務所に着くまでの道程、三上はリヴァイによって「あれはなんだ?」「これはなんだ?」と質問責めにされたのは言うまでもない。

「じゃあとりあえず今から社長に訳を説明しに行くわ・・・さっき言ったとおり、二人とも口裏をあわせてね」

リヴァイはなまえの遠い親戚であり、過去に自衛隊に所属していた。という無茶極まりない設定だが、「社長はなまえに甘いから大丈夫!」と笑う三上が勝手に決めたのだった。
もし身分証とかの提示を求められたらどうしよう・・・!とおろおろしていたなまえだったが、それは杞憂に終わることになる。

「へぇぇ!自衛隊の!そいつは助かる!!リヴァイ、なまえをよろしく頼む!!」
「ああ。分かっている」

なんと二つ返事で了承されてしまったのだった。
「ほら、言ったとおりでしょ」と得意気に笑う三上になまえは小さくため息をついた。

「でも、緊張しました・・・社長もよく信じてくれましたね・・・」
「社長はあれでも人を見る目はあるのよ。だから大丈夫って言ったでしょ」
「はあ・・・」

「とにかく!今日はこれから忙しいんだから!!チャッチャとポスター選んじゃって!!それが終わったらすぐテレビ局向かうわよ!」という三上の声になまえは曖昧に微笑んだのだった。


△▽



「みょうじなまえちゃん入りまーす!」
「おはようございまーすっ!!」
「「「おはようございまーす!」」」

事務所でのポスター選びを終え、3人は次の仕事場ーードラマの撮影現場に来ていた。
スタジオに入った途端先ほどまでの気弱な彼女はどこへやら、そこにはキラキラと輝くオーラを放つ《みんなのアイドル》モードになったなまえに、リヴァイは目を見張る。
主演であるなまえが現場に入ると途端に活気を帯び、数人のスタッフが駆け寄ってきた。

「なまえちゃん、今日も可愛いね!早速だけど、これ今日の衣装ね、着替えたらメイクさんに声かけてくれる??」
「はい!ありがとうございます!今日もよろしくお願いします!」
「(いい子だなあ・・・!)・・・おや、そちらは?」

にこにこ話すなまえにデレデレになるスタッフたちだったが、なまえと三上の数歩後ろに鋭い眼光を放ちながら立つリヴァイに首を傾げる。

「今日付けでなまえ専属のボディーガードになった者ですわ。この子ったらぼけっとしてるから事務所で自衛隊からスカウトいたしましたの」
「そ、そうなんスか・・・最近物騒スもんね・・・」

自衛隊の、と強調してピシャリと言い放つ三上にスタッフたちは若干肩を落としつつ苦笑いをした。
にも関わらず「あ!わたし、とりあえず着替えてきますねっ!」とぱたぱた走り去るなまえを見送りつつ頬を緩ませるスタッフたちにリヴァイは軽くため息をついた。

「おい、マネージャー」
「なに?」
「もしかしてなまえの奴を狙ってるのって不審者だけじゃねぇんじゃねえか?」
「あら、よくわかったわね」

三上は困ったように笑う。

「なまえに近付く人間はほとんど下心があると思ったほうがいいわ。ほんとなまえったら生まれながらのアイドルなんだから」
「ほう・・・」
「一体、どれくらいの人間を引き付ければ気が済むのかしらね・・・あのお姫様は」

また笑った。




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