黒の組織殲滅編~殲滅その後~




「怒られた…」
「怒らりたわね……」

 警視庁諜報部。
 ヨシヨシ大作戦作戦本部である。

 先日まで活気に満ち溢れていたそこは、お通夜みたいに静まり返っていた。
 人がいないからではない。集まっている全員が頭を押さえながら「怒られた…」と口々に呟き、ヘコんでいるからだ。

 何があったのか。
 今回、努力の甲斐があって例の超巨大犯罪組織を潰すことができたのだが。マァ非公式でやっていたしたくさんの民間人を巻きんでしまったし非人道的なことをたくさんしたので普通に怒られたのだった。
 それぞれの直属の上司はもちろん、その上の部長たち、警視庁と警察庁の偉いおじさんが勢揃い。

『お前たちは全く!』
『…ごめんさい…』
『勝手に好き勝手やりやがって!』
『…めんなさい…』
『一般の方も巻き込んで!』
『…反省してましゅ…』
『警察の風上にも置けない行為も多数しおって!』
『…お、お言葉ですが…』
『コラ!』
『大変申し訳ございませんでした!』

 最終的には、(一応)降谷から報告を受けていた裏の理事官──クロダのおじさんから怒られ、全員が強めのゲンコツを頭に食らったのだった。
 クロダのおじさんはヒガシ先輩よりも筋肉があり、ウシジマくんよりもデカく、降谷よりも腕っ節が強い。
 ので。そんな御仁から鉄拳制裁を喰らった瞬間、全員「に゛ッ><」「グ…><」「いひゃい(痛い)…><」と目をバッテンにさせて悶えたのだった。

「オレの頭タンコブできてる…マドンナちゃん触って…」
「ヤ」

 芹沢が氷嚢を頭に乗せてなまえに擦り寄り、なまえはもう一度「ヤ」と首を振って自分の分の氷嚢をグリグリ患部にあてた。
 クロダのおじさんは漢の中の漢だので女子供にも容赦しない。つまりなまえも他の男性陣と同じようにキツい一撃を喰らったのだ。

「てかこれってハラスメント案件じゃねーの普通に」

 ミナミ先輩が加熱式タバコ特有の篭った煙を口からダラダラ零しながら言った。警視庁内は所定の喫煙所以外全面禁煙なのだが、この諜報部の居室だけは治外法権なのだ。
 そんなミナミ先輩の言葉にヒガシ先輩が「そうだ。俺らアンケート答えたし(大嘘)」と記憶を改竄して赤べこみたいに頷いた。
 ──あんなトンデモ作戦をやったのにゲンコツ一つで済んだことが奇跡なのだが、それに気付くニンゲンはこの中にいなかった。なに、ここには倫理観だとか道徳心だとかをゴミ箱にダンクシュートしているニンゲンしかいないのだ。

「この場合何ハラになるんだ? パワハラ?」
「イヤ、もうハラスメントじゃなくて暴力じゃないっすか?」
「暴力はよくねぇな。警察の風上にも置けねぇ」

 特大ブーメランである。
 自分たちはこの数週間、暴力の限りを尽くしてあの組織を潰したのに。

 それをなまえは頭を押さえながら指摘した。が。

「イヤ…だってアイツらって犯罪者だろ? つまりどんだけ理不尽な暴力を振るったとしてもそれが正義≠ノなる。アンパンチと同じだろ。あれだっていくらバイキンマン吹っ飛ばしてもPTAから苦情が来ない。遥か彼方まで飛んで星になってるのに、だぜ? なんでかっつーとアンパンマンが繰り出したのは正義パンチだからだ。つまり対悪党に振るう正義パンチは暴力じゃねぇってことだ。…で? 俺たちがやったのは正義パンチと正義キックだろ。つまり──、分かるか?」
「なるほど…」

 ヒガシ先輩から言いくるめられてしまった。なまえは染まってしまったのだ。
 松田はその会話を聞いて「イヤどう考えても理不尽パンチと理不尽キックだろ…」と思ったが、マァもう済んだことなのでどうでもよくなった。それよりも頭の上にできたタンコブが痛いので「誰かヨシヨシしてくれないかな…」と思い。

「マドンナちゃん! 早急にヨシヨシ会をしたいです!」

 大声で叫んだ芹沢の思考と全く同じだったので、心の底から死にたくなったのだった。







「ァ次の人ドウゾー」
「ハイ! お願いします!」
「お疲れ様。よく頑張りました」
「えへへへ…」
「ハイ三秒でーす。あざしたー」
「ありがとうございました!」

 警視庁の地下。体育館である。
【マドンナちゃん ヨシヨシ会場】とデカデカと書かれた横断幕が壁に貼られている。

 その中には。千人近くのニンゲンたちがビシッと列を成し、やがてやってくる自分の番を今か今かと待ちわびていた。
 列は体育館の中で何度も折れ曲がり、例えるならば遊園地のアトラクション待ち列みたいな感じになっている。

 ただ圧倒的に違うことと言えば。
 遊園地の待ち列ではそれぞれスマホを見たり同行者とお話ししたり…と思い思いのことをしているが、ここにいる全員は一言も喋らず、スマホを見ることもなく。ただ口を半開きにして壇上に立つ麗しの天使を恍惚の表情で見上げていたのだ。

 天使の周辺や待ち列の折り返し地点には、インカムをつけて『SP』と書かれたタスキをつけた男たちが銃に手をかけて立っている。万が一我を忘れた愚か者が暴走した時にいつでも射殺するためだ。
 このSPは主に協会幹部や天使と近しい仲のニンゲンが担当しており、つまりカレピである松田はなまえの真横で銃を構えていた。

 逆側には芹沢がガムを噛みながら立っており、「ァ次の人ドウゾー」と呼び出す係をしている。
 頬をツヤツヤさせた男の子が壇上に上がる直前。諸伏が丸い声で「ボディーチェックするね~」と優しく言い、軽く身体を叩いて身体検査をする。
 身体検査を終え、無事壇上に上がったところで総監督の降谷により「えー…この者は本作戦において敵対組織の構成員の勧誘を行い…」と功績が読み上げられ、そしてようやく麗しの天使から、

「頑張りました」

 とヨシヨシしてもらえるのだ。

 しかし至福の時間はそう長く続かない。
 三秒たったところで、不良の頂点に立つ男・萩原にガシッ! と両肩を掴まれ、

「ハイ三秒でーす。あざしたー」

 文字通り剥が≠ウれるのだ。

 松田はその一部始終をサングラス越しにギラついた瞳で見、少しでも変な挙動を見せた瞬間、「オイそこ何してんだドタマブチ抜くぞ!」とバカボンの本官さんみたいに拳銃を振りかざして威嚇していた。

 ちなみに本官さんは松田だけではない。
 列の折り返し地点ではそれぞれ協会幹部の男たちが、

「すみません最後尾ここじゃないです! 列途中です!」
「安寧の行進(レクイエム)…(ちゃんと並んでください)」
「会場内での撮影録音は禁止です…破ったら脳幹ブチ抜くから覚悟しとけ…」
「一歩ずつ前に詰めてね あっ二列になってね」

 同人誌即売会壁サークル付近のスタッフみたいになり、言うことを聞かないニンゲンを見た瞬間「言うこと聞けないヤツはカエレー!! 死ねーッ!!」と一瞬で赤ブースタッフから本官さんにジョブチェンジするのだった。

 ちなみに三秒…というのは最短の時間であり、作戦への貢献度によってヨシヨシ時間は長くなる。
 以下、この作戦に多大なる貢献(ヨシヨシ時間:十秒以上)をしたニンゲンたちのヨシヨシ場面のダイジェストである。



「お姉さま!! わたくし、この日のために頑張りましたの」
「ニシザワちゃん…ありがとう」

 縦ロールの水色の髪をツインテールにしたニシザワお嬢様は、憧れのお姉さまにヨシヨシされて「でへ、へ…」と御令嬢が絶対に出してはいけない声を出した。
 ニシザワお嬢様がこの作戦に使ったお金はざっと数百億円。小さな国の国家予算レベルである。

 この作戦が成功したのは全て彼女の財力のおかげと言っても過言ではない。
 諸伏から送られてくる欲しいものリスト≠片っ端から購入し、定期的に『たくさん使ってね』と書かれた財布の中に諭吉を詰め、ブラックカードから数千万単位でお金が減っていっても「たくさん使ってくれて嬉しい…」と桜色の頬をもちもちさせながらおロイヤルなおミルクティー片手におクラシックなどを聴いていた。
 ちなみに実働は執事のせばすちゃん任せだったのでニシザワお嬢様はただおミルクティーを飲んでおクラシックを聴いていただけだ。が、そのせばすちゃんはニシザワお嬢様の所有物である。なのでこの作戦の一番の功労者はニシザワお嬢様なのだった。

 ので。

「ニシザワちゃん。今度お茶しようよ。…あの、鈴木財閥の園子ちゃんと仲良しって聞いて。ニシザワちゃんと私と園子ちゃんと、あと園子ちゃんのお友達の蘭ちゃんって子と一緒に…ダメかな…?」
「いいんですかッ!?」

 お姉さまからの対応も他とは違う。

 先ほど。同じようにこの作戦に多大な貢献をしてくれた詐欺師のお兄さんや情報屋のお兄さん、ヤクザ屋さんや人類最強の元軍人や新興宗教の教祖さんもヨシヨシしたのだが。やはり彼らとニシザワお嬢様とでは圧倒的に対応が違っていた。
 だって女の子って特別だし。あと純粋にお友達のお友達って仲良くなりたいじゃないですか。

「キュウウ」
「あっ目を回しちゃった…」

 さてニシザワお嬢様はあまりの感動で子ウサギみたいな声を出して目をぐるぐる回してしまった。
 恍惚の表情で「我が人生に一片の悔いなしですぅ…」と甘ったるくラオウの最期のセリフを言いながら倒れ、執事のせばすちゃんに担がれて会場を後にしたのだった。



「マ、マドンナちゃん。お願いします!」
「ティモンくん!」

 次に壇上に上がったのはちいちゃくてかわゆい男の子・ティモンくんだ。

 三十手前の男をかわゆい≠ニ表現しているのを読者諸君は些か疑問に思うだろう。が、ティモンくんは、ぴょこぴょこ立ったアホ毛・ちいちゃくてひ弱な体型・丸くて大きな目・オーバーサイズのワイシャツ・萌え袖・坊ちゃん刈り…という、腐女子の皆さんが見たらショタ@v素てんこ盛りの男の子なのだ。のでかわゆい≠ニいう表現を使っている。許してネ。

 ティモンくんはチーム・C:情報/サイバー攻撃班のリーダーでもないのに、ほぼリーダーみたいな仕事をやっていた。
 なぜならリーダーのルシファーくんの拠点が九州であり、フルリモート参加だったからだ。基本的にこの作戦はFace to Faceの方がやりやすく、──というか集まっているヤツらが純粋にリモート組を無視していたので、ティモンくんが指揮するほかなかったのである。

 ちなみにリーダーのクセにあまり作戦に参加できなかった(というかさせてもらえなかった)ルシファーくんのヨシヨシ時間は僅か五秒であり、そのことからもティモンくんのこの作戦への貢献具合が数値として表れていた。

「よしよし。たくさん頑張ってくれてありがとうね」
「おおおお…」
「な、泣いちゃった…」

 ヨシヨシがあんまり嬉しかったのか、ティモンくんはクシャ! と顔をシワクチャにし。次の瞬間、萌え袖に顔を埋めて泣いてしまった。本当にかわゆいヤツなのである。

 その様子にマドンナちゃんは「あらあら」と困った声をあげ──、ティモンくんはヨシヨシ時間を過ぎてもその場から動けなくなってしまったので萩原によって体育館の隅っこに優しく運ばれていった。なに、流石の萩原も、このちいちゃくてかわゆい生き物をどう扱っていいのか分からなくなってしまったのだ。



「お嬢〜来たぜ〜」
「嬢ちゃん。ヨシヨシしてくれや」

 続いてダルそうにやってきたのは東南(トンナン)コンビだった。
 他のニンゲンたちは一人ずつだったのにこの二人はコンビで参戦した。
 なぜか。

「二人分だから二十秒な。片手ずつやってくれ」

 というワケである。
 これに他のギャラリー(最後の方に来たので、会場に残っているのは本当に数名だったが)からブーンイングが起こったが、それを「あ゛?」の一言と一睨みで黙らせた。
 このことから分かるように、この二人は本当に最悪なのだ。だから東南(トンナン)コンビなんていうあだ名で呼ばれて敬遠される。

 なまえは小さな踏み台に乗り、右手でヒガシ先輩の七三分けの頭を、左手でミナミ先輩の短髪を触った。二人共がワックスでガチガチに髪を固めているため、女の子からのヨシヨシごときでは一切崩れない。

「ヒガシ先輩はサイバー攻撃、ミナミ先輩は拷問。そして最後は二人とも殲滅班にお力添えいただき、本当にありがとうございました。頑張りました!」
「「へへ…」」

 マァしかし。かわゆいお嬢の前では最悪で獰猛な肉食獣もちいちゃくて無害な子ライオンになる。
 二人は先ほどまでのギラついていた目をトロンと垂れさせ、喉をゴロゴロさせるなどした。この数年間で本当に丸くなったのだ。お嬢の前では。



 さて東南コンビが去り、次にやってきたのはコナンくんだった。
 たった一人の小学生参加者。
 その中身は高校生だが、それ込みで見ても最年少である。

 コナンくん──工藤少年は、この作戦の骨組みを考えるのに貢献したキレ者だ。

「この人はタクシー運転手だから、もしかしたらヤツらのアジト付近を走ったことがあるかも…チーム・C:情報班」「この人は年間月に一千万売り上げ達成ホスト…? もちろんチーム・A:勧誘班」…と、千人近くいる会員を最適な班に割り振った。
 しかもその判断を一瞬でしてくれたのだ。彼の閃き・推理力がなければここまで短期間で最適な縦割り班はできていなかっただろう。


 さてコナンくんは、そのまた昔に幼馴染の蘭ちゃんと共にこのお姉さんに大興奮していた過去を持つ。
 初恋も現在進行形の恋も蘭ちゃんだけだが、ただこのお姉さんは幼い頃に見た憧れのお姉さん=B──つまりちょっと特別なお姉さんだったので。

「お、お願いします」
「うふふ。お疲れ様」
「…ワ、ワァ………」

 一瞬でちいかわになってしまった。
 だってコナンくんの中身は十七歳の男子高校生。現在思春期真っ只中。
 ので、憧れの思い出補正バリバリのお姉さんに頭を撫でられたのが嬉しくて、恥ずかしくて、なんだかもうワケが分からなくなってしまったのだった。

「たくさん考えてくれてありがとう」
「…ァ…」
「本当に頑張りました」
「ヮ……ハワ……」
「工藤新一くんに戻っても、おうちに遊びにきてね」
「ワッワッワッ…」

 もうちいかわですらなくなってしまった。
 大量にぼのぼのみたいな汗を飛ばし、目をバッテンにして。オマケに頬をピンク色に染めて頭を撫でられていた。
 脳がジャバジャバになってしまったのだった。


 さてなまえ。そんなコナンくんにキュン! と胸が疼いた。
 ちいちゃな男の子が焦って照れて困っているのがかわゆくて仕方なかったのだ。

 ので。

「かわいッ」
「エ゜、ァ、ワァ!」
「! テメェ…」

 思わず抱き締めてうりうりやってしまった。
 だって可愛い≠フ暴力だったのだから。

 それを見た松田がすかさず「ガキでも許さねぇ殴る!」と飛びかかりそうになったが、すんでのところで降谷と諸伏(未だにSPごっこをしていた)に羽交い締めにされて事なきを得た。

「なまえちゃん、勘弁してやって~」
「………ごめん」

 前後不覚になってしまったコナンくんを救ったのは、剥がし担当のお兄さんこと萩原研二だった。
 萩原は人の良い笑みを浮かべ、マドンナちゃんからコナンくんを引っぺがし──。
 それから頬をピンクに染めたままのちいちゃな名探偵にウインクをして囁いたのだ。

「絶対に惚れんなよ。怖ァい番犬が黙っちゃいねーからな」

 と。



「じゃあ次は俺の番かねー」
「ごめんね萩原くん。お手数おかけしました…」
「いいってことよ」

 さて次は、コナンくんをお姉さんから救った萩原のターンである。
 コナンくんはポーッと夢見心地のまま体育館から出て行った。きっと家に帰って蘭ちゃんの顔を見た瞬間魔法が解けるはずである。


 会場には既にSPごっこをやっていたメンツしかいない。
 ので、萩原は拳銃を尻ポケットに入れているにも関わらず諸伏の身体検査を突破した。萩原を心から信用しているのでザルなのだ。

「萩原研二。地元の最悪な友人を連れ…なんかいい感じに組織殲滅に貢献しました」

 ちなみに降谷による功績読み上げも雑になった。なに、萩原の功績はもう十分知ってるだろ…とヤケになったのだ。あと降谷が純粋に疲れてしまったので。

「萩原くん、地元のお友達を束ねてくれて本当にありがとう。頑張りました」
「なまえちゃんから撫でらりた!」

 萩原は先ほどまでのキャラを全部忘れて「撫でらりた!」と大声を出した。
 長時間の剥がし作業に疲れてしまい、また俺たちの<}ドンナちゃんに撫でられたのが嬉しすぎて脳がジャバジャバになってしまったのだ。

 だのでなまえから撫でられている十数秒間、垂れ目を更に垂れさせ、喉をゴロゴロ言わせ、親友のカノジョということすら忘れて「え…これワンチャン付き合えるのでは…?」と真剣に考えていた。
 別に萩原はなまえのことをそういう意味では″Dきでもなんでもない。
 が、疲れ果てて死にそうになっている場面で、目の前に極上の女が現れ、優しく頭を撫でられでもしたらニンゲンというのはバグってしまう生き物なのだ。

 ──つまり。

「なまえちゃん、今日の夜空いてる? お兄さんとお酒でも飲み行かない?」
「行かないかも…」
「テメェ萩原ァ! 人のカノジョ口説いてんじゃねぇ!」
「え、陣平ちゃんのカノジョなの!? 嘘だろ!? ァ痛、蹴らないで!」

 気付いたら口説いていたし、案の定親友による痛烈な蹴り(友情キック)を喰らった。
 萩原は一切の受け身を取ることなくその場に崩れ落ち、マドンナちゃんが乗っていた踏み台の角に頭をぶつけ、失神し──。漸く泣き止んだティモンくんによってふうふう医務室に運ばれていくこととなった。

 ティモンくんと萩原では身長も体格も全然違うのだが。東南コンビはヨシヨシが終わった瞬間「飲み行くぞー!」と帰って行ったし残っている他のメンツはヨシヨシ待ちなのでテコでも動かなかった。ので、ティモンくんしか運べるニンゲンがいなかったのである。



「よろしく」
「諸伏くん!」

 運ばれていく萩原を見送ったマドンナちゃんの元に現れたのは、欲しいものリスト更新お兄さんの諸伏だった。

 諸伏はただ「これ欲しいかも!」と思ったものをリストに入れていただけなので、正直この作戦には他のメンバーと比べあまり貢献していない。
 が、「NOCを長年やっていた」「唯一命の危機にあった」「単純に人望が厚い」という三つの理由により、このヨシヨシ十秒以上の権利を貰ったのだ。

「スコッチとして本当にお疲れ様。頑張りました」
「はは、ありがとう…キミも総監督お疲れ様。頑張ったね」
「諸伏くん…!」

 なまえは感動で思わず桃色の声を出した。なに、このヨシヨシ会、全員がマドンナちゃんにヨシヨシされてえへえへウフウフしているだけで、誰も自分のことを褒めてくれなかったのだ。
 なので「は、初めて褒めらりた!」と心の底から嬉しくなってしまったのだった。

 ちなみにそれを見た松田は奥歯を粉になるまで噛み締め「お、俺が言おうとしていたセリフを…」と地獄みたいな声で言った。
 自分のターンでは誰よりもヨシヨシされ、同時にカノピを褒め、感動され、周りの奴らを「ホラ見ろコイツのことは俺が一番分かってんだよバァカ一昨日来やがれド三流共がッ!」と理解(わか)≠轤ケようと思っていたのだ。

 しかしその手は使えなくなった。ガチ恋製造工場・お兄さんの素晴らしいご指導・純粋に心が優しい──の三つの加護を受けた諸伏がやってしまったので。


「ね、諸伏くん覚えてる? 去年の年末諸伏くんがなんて宣言してたか」
「…酔っ払っててあんま覚えてないけど…あ、でもみんなで旅行行きたいって叫んだかも」
「そうなの。私もそれだけ何となく覚えてて…」

 松田の地獄の声など届かない二人はゆるふわな空気を醸し出しながらそんな会話を小声でして、

「「行こうよ」」

 綺麗にハモり、笑った。
 涙が出そうなくらい丸い声で。



「よ、よろしく…」
「降谷くん。お疲れ様」

 諸伏の後にやってきたのは降谷だった。

 警察学校第104期総代・国家公務員試験一発合格・三つの顔を自在に操り潜入捜査を成功させた男。
 そんな輝かしい功績を持つ男は、どこかぎこちない様子でなまえの前に真っ直ぐに立った。

 緊張しているのだ。任務でもほとんど緊張せず、涼しい顔をしてなんでもやってのけてしまう男が。

 だって目の前で、まさに今自分の金髪に触れようとしている女は。もう何年も前に片想いをしていた女だったから。
 恋敵にその座は譲ったが。つい先日、心の底ではまだ火が燻っていることに気付いてしまったのだから。

 だから緊張した。
 心臓がドキドキと大きな音を立て、それが耳元で煩わしく響いた。
 深呼吸をしたいのに、呼吸は肺の奥まで届かずに息が詰まった。


 なまえはそんな降谷を見て、少しだけ首を傾げて。

「降谷くんお疲れ様。安室さんとして、バーボンとして、そして総監督として。本当によく頑張りました」

 柔らかく笑って、絹のような金髪にそっと触れた。
 金糸が白い指を巻き込んでサラサラ揺れる。髪を固めていないからだ。

「…ありがとう」

 降谷がぎこちなく笑った。

「いーえ」

 なまえは丸く笑った。



「マドンナちゃん!!よろしくお願いします!」
「芹沢くん!」

 制限時間がオーバーしているのに、ぎこちなく笑ったまま動かない降谷を突き飛ばすように押しのけてやってきたのは。
 マドンナ協会会長・鑑識課エース・ヨシヨシ作戦特別功労者の芹沢だった。

 彼は警察学校時代アホの芹沢≠ニ呼ばれるほど座学の成績は最悪で、かつ運動神経だけしか取り柄のない劣等生だったのだが。
 マドンナちゃんと同じ勤務地で働きたいしマドンナちゃんの役に立ちたい! という下心だけでここまで上り詰めた努力のニンゲンなのだ。
 それに「ヨシヨシされたいため」という極めて不純な動機でこの作戦を発案した張本人でもある。

 つまり、芹沢ナシではこの作戦は生まれなかった。ゼロからイチにした男なのだ。
 また、チーム・A:勧誘班ではリーダーを務め、全身ディオールのカッコよくてスマートなお金持ちのお兄さんに扮し、大量の構成員を勧誘し、楽園(地下の強制労働施設)送りにした。


 しかし、

「本当にお疲れ様。頑張りました」
「でへへへへへへへ」

 もう全部台無しである。
 喋らなきゃハンサムで完璧。つまり喋ると全部が台無し。それが芹沢ケイジという男なのだ。

 ちなみに今は。ハンサムな顔を極限まで溶かし、鼻の下を五メートルくらい伸ばして気色悪い笑い声を出している。もうおしめぇ≠ナある。
 どのくらいおしめぇ≠ゥと言うと、心優しく帰らずに見守っていた諸伏が「ウーワ😅💦」と言うくらいである。
 ちなみに諸伏は交番勤務時代、ニートのおじさんが全裸で麻雀牌片手に踊っている場面に出くわしても「だ、大丈夫ですか!?」と心配そうな顔で駆け寄るくらい心優しい。つまりそんな諸伏をドン引かせるとは本当にとんでもないレベルなのだ。



「最後。俺」

 溶けてしまった芹沢の尻を蹴って退かし、意気揚々とマドンナちゃんの前に立ったのは松田だった。

 松田に与えられた時間は三十秒。最長である。
 しかしこれは、この作戦をやると決めた時に松田とマドンナちゃんで取り決めたルールであり、「作戦が成功したらヨシヨシだァ? ………………分かった。いいぜ。但し俺が一番長い時間…って条件付きなら」と野良猫の欠伸くらい長い時間をかけて「………………」と黙った末の結論だった。

 ので、

「陣平、お疲れ様。一緒に作戦考えてくれてありがとう。…あと、殲滅班としてもよく頑張りました」
「…おう」

 ギャラリーがいる中でカノジョからヨシヨシされることを小っ恥ずかしいなどとは一切思わず、ドヤ顔で頭を差し出すのだった。




「……」
「ゼロ?」
「……分かってるさ」

 そんな二人を見る降谷は、己を落ち着かせるように深く深呼吸をした。漸く呼吸がうまくできるようになったのだ。
 それに気付いた諸伏が心配そうな顔で問う。自重気味に笑った。

 お似合いだな…と改めて思ったのだ。
 完敗だよ…と。この七年何度も思ったことを、再び胸の中で反芻した。
 だって降谷の視線の先にいる二人は。幸せそうで、美しくて、この上なくお似合いだったのだから。


「まだ=H」

 諸伏が驚いたように「まさか」と続けた。
 まさか。まだ好きなのか…? と。
 警察学校時代、自分の親友があの壇上の天使に片想いをしていたことはもちろん知っている。
 そして、(本人から直接聞いたわけではないが)おそらくフられたのだろうということも。

「イヤ。…あー、うん。まだ=v

 降谷は一切壇上から目を離さず。正直に答えた。
 そしてそこから「でも」と続ける。

「なんか、やっと分かった気がするよ」
「え…?」
「僕が、彼女のどこを好きになったのか」


 綺麗な子だな。というのが第一印象で、教官から雑用を押し付けられる内に話すようになった。
 いつの間にか目で追いかけるようになった。
 彼女が女子首席の座に一切の胡座をかくことなく、努力をしている人だと知った。

 いい子だな、と思った。


「僕は、彼女の笑顔が好きだった。頑張る姿が好きだった」
「………」
「あの子が一番笑えるのは、頑張れるのは。松田の隣なんだな」

 降谷と同じ方向を見る。
 小さな白い顔に、眩しい光を閉じ込めた瞳。
 ぽってりとした唇は緩く弧を描いていて、頬は薄桃色に色付いている。

 ──綺麗だな、と思った。


「僕はもう大丈夫だよ、ヒロ」

 降谷がカラッと笑う。
 諸伏も釣られて笑って、「スグに良い子が見つかるよ」と励ますように言った。

「どうかな」
「あ、そこは冷静になるんだ」
「イヤ、だって彼女は僕たちの<}ドンナちゃん、だろ」

 降谷はそう言って、漸く目線を壇上から諸伏に移す。
 彼の蒼瞳の奥はすっきりと透き通っていて、「大丈夫」と告げていた。


 大丈夫だ。
 そりゃあもちろん、見つかりにくいだろうが。
 でも。きっといつか現れる。
 自分と巡り合うのを、きっと待ってるハズだから。


「ヒロ。僕らってもう自由なんだよな」

 再びカラッと笑って言った。


 ──自由。


 もうNOCじゃない。
 もう叶わぬ恋に燻ることもない。
 命の危険も、不安も、何もないのだ。

「そうだよ。オレたちは自由だ」

 諸伏は頷き。それから先ほどなまえと話した旅行の話をしようと口を開いた。


 その時。



「ヤッホー! 朗報よ!」

 バァン! と体育館の扉が雑に開き、鬼ギャルがやってきた。
 廣瀬リンカ──マドンナちゃんの大親友であり、諸伏たちの警察学校時代の同期。現在は交通課でギャル婦警をやっている。

 廣瀬は右手に伊達、左手に萩原の手を引いていた。
 伊達は「お? …?」と何も知らない大泉洋みたいな顔をしており、萩原は「まだ頭痛いのに…」と氷嚢で頭を押さえながら苦悶の表情を浮かべていた。
 きっと捜査一課でデスクワークをしていた伊達、医務室で休んでいた萩原を何も言わずに文字通り「引っ張って」きたのだろう。この女もまたパワー系なのだ。


 廣瀬はデカい男二人を適当に床に置き──「い゛ッ><」「に゛ゃ><」と叫び声が上がった──、そのままカッカッカッ! と高いヒールを鳴らして壇上に上がり、マドンナちゃんに撫でられ中の松田を引っぺがして壇上から突き落とした。
 松田は咄嗟に「ッッ、!」と受け身を取るも、百八十センチ超えの男が落ちた音が広い体育館にドォン…! と鈍く木霊した。

「…ってぇな!」
「黙りな」

 とんだ女王様である。
 廣瀬は床に転がる松田をガン無視し。ポカンと口を開ける親友の肩を抱いて再び「朗報よ!」と叫んだ。

「ろ、朗報?」
「オイ廣瀬! テメェこの神聖なヨシヨシ会場に土足で踏み入るな!」

 キョトン…とするなまえはさておき、一番に廣瀬に食ってかかったのはこの会の主催者・芹沢だった。ちなみにここにいる全員が土足である。
 降谷と諸伏はなまえと全く同じ表情でキョトン…としながら「なに?」「知らん…」とボソボソ囁き合っている。


 つまりここにいるのは奇跡的にいつメン#ェ人のみ。
 数ヶ月ぶりの全員集合がよく分からないカタチで実現したのだった。


 さてこのカオスな状況を作った女は咳払いを一つ零し──。

「実はね。…我らが伊達が、結婚することになりました!」

 バラした。伊達本人ではなく、廣瀬が。
 この女。この作戦には参加はしていなかったものの、作戦の全貌はマドンナちゃん伝手で聞いていた。

 これは降谷と諸伏を助けるための作戦だと。もっと言うのであれば、泣いていたナタリーを笑顔にさせるための聖戦だと。



『廣瀬ちゃんは新婚さんだから…この作戦に参加するよりダンナさんを優先してあげて欲しいの』

 自分も協力する…と申し出た廣瀬に、なまえは首を振った。
 廣瀬は入籍したばかりであり、この不眠不休の大作戦には巻き込みたくなかったのだ。

 そして伊達も。

『伊達くんを巻き込んだら。またナタリーちゃんを悲しませちゃう…』

 という理由で声をかけなかった。


 それを聞いた廣瀬は、サトぴ(廣瀬のダンナである)で九割占めている頭を必死で動かし。

『伊達ぇ。アンタさぁナタリーんことどう思ってんの? は? プロポーズしたのに結婚を保留にした? バッカじゃないの!? …いい? 今ね、あのバカ共があの子のために超作戦やってっから、スグ解決するわよ! あの芹沢(バカ)の熱量知ってんでしょアンタも。…だからヘタレてんじゃないわよ! ナタリー泣かすな!』

 この数ヶ月、伊達のメンタルケアをずっとしていたのだ。

 その結果、先日伊達はナタリーに正式にプロポーズし──。
 晴れて結婚する運びになったのだった。



「ぇ、…マジ?」
「班長が?」
「ようやく…?」
「………お、」

「おめでとぉぉ…!」

 なまえはパカッと口を開けてマヌケな顔をしてからスグにシワクチャにした。
 脳裏に泣きじゃくるナタリーの顔が過ぎり、「…ぉ、お、おめでとぉぉ…」と再び言って廣瀬の肩口に顔を埋めた。こういうのに人一倍感動しやすい女なのだ。


 さて男たちは「マジか」「ついに?」「え、めでたいんだが」と半笑いで呟き──。


「マジか! 班長~~!」
「え、胴上げ? こういうのって胴上げ?」
「いやビールかけだろ! アッちょうどここに瓶ビールが」
「お前いつもビールかけやりたがるよな芹沢ァ」
「神聖なヨシヨシ会場を汚していいのか?」
「よくないけどいい。伊達ぇ…目ェ瞑ってた方がいいぜ~」
「オイ待て、マジでやんのか!? 待てこのジャケットだけ脱がせてくれナタリーがくれたヤツだから…ァやめ、ぅお!」


 もうドンチャン騒ぎだった。

 芹沢がどこからか持ち込んだビールを伊達の頭からかけ、
 伊達はジャケットをなんとか降谷に放り投げてビショビショになり、
 萩原は頭を冷やしていた氷嚢の中身を伊達と(なぜか松田に)ぶつけ、
 松田はあまりの冷たさに女学生みたいな声を出して驚き、
 降谷は伊達のデカいジャケットを持って呆れ笑いをし、
 諸伏はそんな降谷を見て声を出して笑った。

 全員が警察学校時代みたいに幼い顔ではしゃぎ、大声で笑っている。


 もうあの頃みたいに純朴ではないけれど。
 責任ある仕事を任され、スマートにこなし、命を張り、酸いも甘いも知ってしまったけれど。

 でも、自分たちの本当の姿≠ヘこれなのだ。
 根っこはまだまだ幼くて、青くて、こんなにガキなのだ。


 それを、伊達の結婚に涙するマドンナちゃんの頭を撫でながら見ていた廣瀬は「バカね」と艶っぽく呟き。

「バカのくせに、頑張ったんだね…全員」
「…うん。みんな頑張っでだ…」
「アンタも、頑張ったのね」
「……う゛ん。頑張っだ」
「なに、マジ泣きじゃない」
「だっで…伊達ぐんの結婚が嬉じいがら」

 全ての言葉に濁点をつけて喋るなまえの頭を再び撫でた。
「バカね。アイツらも、アンタも。頑張りすぎなのよ…」と思い、ポケットからハンカチを取り出して肩口に顔を埋める大親友に渡した。

「もう泣かないの」
「…うう」
「せっかく可愛い顔してんだから。ブスになるよ」
「泣いても可愛いも゛ん゛」
「…ほんっとそういうとこ。黒い涙出ても知らないからね」
「それはヤ」
「………ほんっと、そういうとこ」

 泣きすぎるとマスカラやらアイラインが落ちて黒い涙が出る。
 それだけは絶対に嫌だったので、気合いでピタ…と涙を止めた。女の子って本当にそういうところがあるのだ。

「泣き止んだ?」
「うん…」

 いまだにグズグズ鼻を啜ってはいるが、涙はもう止まっていた。
 廣瀬のハンカチを涙袋に押し当てて涙を拭き。なまえは「ありがと」と丸い声で告げた。


「だ、だだ大丈夫か!? 廣瀬に泣かされたのか!?」
「失礼ね。アタシは逆にこの子の涙止めてあげただけなんだけど」
「マ、マドンナちゃん!? 泣いてる!? …テメェ松田ァ! マドンナちゃん泣かせてんじゃねーよ!」
「俺じゃねぇよ!」
「またややこしいのが次から次へと…」

 ビールまみれになって取っ組み合っていた松田と芹沢が慌ててマドンナちゃんの元に走り寄ってきた。
 廣瀬は呆れたようにため息をつき、真横の大親友の肩をチョン…と小突いた。
 どうにかしなさいよ、という意味である。


 さて小突かれたマドンナちゃんは鼻を啜ってからパタパタ顔を手で仰ぎ。
 それから一歩だけ前に踏み出した。


 慌てるドラえもんみたいにポケットからハンカチとティッシュとペコちゃんのポップキャンディを出す芹沢。
 そんな芹沢の真横で、同じように慌てたドラえもんになりながらチラチラ心配そうな目でコチラを見る松田。
 ビールまみれにされた被害者なのに、空の瓶の片付けをしている伊達。
 自分が投げた氷を踏んでしまい、地面に倒れている萩原。
 伊達のジャケットを死守できて満足げな降谷。
 この地獄絵図を見て、なぜか柔らかく笑っている諸伏。


 彼らを壇上から見下ろす。
 降谷・諸伏と目が合った。

 ──ありがとう。

 二人から視線だけで告げられた其れに、マドンナちゃんは再び一粒だけ涙を零し──。



「皆、旅行行こーーーー!」
「「はーーーーーーい!」」

 警視庁警察学校・第104期名物のいつものノリ≠やるのだった。

 その瞬間松田と芹沢はドラえもんをやめ、伊達は空瓶回収業社をやめ、萩原は気合いだけで起き上がり、降谷と諸伏は嬉しそうに笑った。


「組織殲滅祝いと伊達くんの結婚祝いを兼ねて!」
「ついでにアタシの結婚祝いも」
「廣瀬ちゃんの結婚祝いも兼ねて!」
「全員揃った記念もな」
「全員揃った記念も兼ねて!」
「俺のカノジョができた祝いもね」
「萩原くん嘘つかないで」
「ごめん。いつも」

 怒らりた萩原はさておき。
 そこにいた全員が、俺たちのマドンナちゃんの提案に嬉しそうに手を上げて同意し。
 改めて、全員が生きて再会できた喜びを噛み締めるのだった。



 ただ一人。
 壇上の天使のカレシ──松田だけは。

「…結婚………」

 誰にも聞こえないほど小さな声で呟き。
 拳を握りしめたのだった。




【警視庁のマドンナちゃんは猫被り 第二章 黒の組織殲滅編 完】


 ここまで読んでいただきありがとうございました。
 8月20日の大阪インテに行きたくて本になります。
 今回は全年齢本です。

 第二章 黒の組織殲滅編(pixivに掲載している13話以降の話)の加筆修正と、書き下ろし↓
 ・アジトλ(ラムダ)殲滅戦(16話参照)
 ・マドンナちゃんの命を狙うピンガさん
 ・ピンガさんvs松田さん
 ・萩原さんが暴力を振るう話
 ・降谷さんが拷問する話
 ・みんなで旅行に行く話
 ・松田と久しぶりにデートする話
 ・みんなでゲームセンターで大騒ぎする話
 ・みんなで夏祭りに行き大騒ぎする話
 ・園子ちゃん・蘭ちゃん・ニシザワお嬢様との女子会
 ・カレピの愚痴大会
 ・梓さんと仲良くなる話
 ・松田さんにガチ恋する女の子たちをメッてする話

 などなどを詰め込んだ本にしたいと考えてます。
 全部書くかもしれないしどれか削るかもしれないし何個かを一つにまとめるかもしれない




【お知らせ】

 この「警視庁のマドンナちゃんは猫被り」シリーズ、いよいよ次の章【第三章】で完結になります。

 第三章は「警察学校編」みたいなドタバタラブコメに戻る予定。
 まだ何も考えてないんですけど、キッドさんとか出したいなぁ…と考えています。


 警視庁のマドンナちゃんは猫被り<第三章>
 テーマ:松田のプロポーズ大作戦

 2023年9~11月くらいに始まります。
 それを本にして、2023年12月17日のダズン(イベント)に行き、
 マドンナちゃん完結祭をやりたい。


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