手を出しては行けない姫君

「おーいきりはらー!!」

苗字を呼ばれ振り替えると後ろからぱたぱた走ってくる人がいた。おはよ!とスカートをはためかせながら近寄ってくる人物はお世辞にも女性らしいとは言えなくて1つ上の先輩と比べてしまう。

「なんだよ」
「なんだよじゃねーよばーか。珍しいじゃん朝練遅刻しないなんてさ」


男子テニス部のマネージャーで、俺のクラスメートである阿山はにひひと笑い俺の背中をバシバシ叩く。痛てえと言えば阿山はワリーと笑いながら叩くのをやめた。

「で今日は珍しーな。なんかいいことでもあるのかい?」
「なんもねーよ別に」
「嘘だぁー」

ニヤニヤ聞いてくる阿山の鼻を摘まんで引っ張れば痛い!と叫ぶ。そんな姿に吹き出せばやっぱいいことあるんじゃない?と言われた。

「なんでだよ」
「なんか嬉そーだもん」
「・・・・そんなにか?」

うんと頷く阿山に俺はすこし笑ってまぁなと言った。

「あ、やっぱりなんかあるんだ」
「・・・真田さんが昨日、今日遅刻しなければ試合してくれるって言ったんだよ」

昨日の部活終わりの出来事だ。最近ギリギリではあるが遅刻をしないで朝練に来ている俺に男テニのレギュラーマネージャーである真田さんがご褒美と言う名目で俺にそう言ったのだ。ただし、条件付きだった。

『朝練開始二十分前に来るように。』

それを過ぎれば試合は無しだ。と言われ、俺はそれを守るように今日朝早く、二十分以上前には朝練に着くようにしたのだ。それを言えば阿山は普段からそうしろよと真田さんがいれば言うだろう一言を言い放った。

「うるせー!」
「いやうるさくないっしょ。というかさ・・・」

阿山は顔をしかめながら俺を見つめる。その顔は困惑しているようで俺は小首をかしげた。

「なんだよ」
「あ、いや、ね?その・・・」

珍しく歯切れの悪い阿山を見つめていると阿山は困ったような困惑したような声で俺に絶望を与えた。

「真田マネージャー・・・今日休むらしいよ?」



揺れる満員電車の中真田は困惑していた。下半身に違和感を感じるのだ。複数の手が真田の体を触っているのだ。

(くそ・・・)

真田は小さく舌打ちをして、体をよじった。がしかし複数の手に力が入り体を拘束される。もう一度舌打ちをし、今度は体を硬直させたかのように動かないようにさせた。
ちらりと視線を動かせばすぐ側に自分と同じ制服をきた生徒が顔を赤くし目尻に涙を溜めている。どうやらその子も自分と同じことをされているらしい。その少女は顔を上げ真田と目を合わせ助けてと口パクをした。真田はラケットバックを持っていた片方の手を少女に回し、自分の目の前へと引き寄せる。大丈夫と言う意味を込め微笑めば少女はにっこりと笑い真田から離れた。

(え?)

ラケットバックを離した方の脇から手が伸びる。そのまま胸を揉まれ真田は目を丸くした。

「は、はなさんかっ」

小声でそう言えば胸を揉んでいた手が一瞬止まる。がすぐにまた手を動かし始めた。荒々しく揉みながら、時には胸の粒をコリコリと刺激するのを繰り返す。ぎりりと歯を食い縛れば後ろで笑うような息遣いが聞こえた。くそっ、と毒付くが手は止まるどころかまた増えていく。

「や、だ・・・っ」

『次は立海大前、立海大前です。』
電車のアナウンスが聞こえ止まり始める。逃げようと体を前に出した、その時だった。
腕を捕まれ、体を捕まれる。顔を後ろに向ければニヤリと笑う男たちの顔。

逃げられない。

目の前で、扉が閉じた。



「六時半頃ですね。『今日は体調が悪いから休む。』って感じの・・・いつも通りのメールで・・・」

阿山の言葉に柳は顔をしかめた。グリップファイルを片手にジャージの裾を弄りながら阿山は柳を見上げ、困った顔をした。

放課後着替え終わった阿山の前に珍しく柳が現れた。練習の事だろうかと首を傾げていると柳はいつも以上に読めない、しかし以上に真面目なオーラを放っている柳に、阿山はすこし怯える

『弦から連絡が来ていないか?』

そんな質問に阿山は朝のメールの話をする。柳はキレイな顔をすこし歪め、ノートをくしゃりと握り締めた。

「メールなど、俺には来ていない」
「そ、そうなんですか」

怖いと思いすこし震えていればそっと肩を抱かれ引き寄せられた。隣を見れば少女じみた綺麗な顔の少年が、怖いくらい笑顔で此方を見ていた。

「ゆきむ、ら・・・ぶちょう・・・」
「蓮二怖いよーもう少し優しくなりなよー」

笑っている。笑っている筈なのに、なんでこんなに空気が冷たいのだろう。怖い、怖すぎる。

「で、阿山マネージャー」
「は、い?」
「真田の事、もうちょっと詳しく教えてくれるかな?」

もう何も知らない。そう言う意味を込め首を降る。裾を握り締め180p近くある(一人は越しているが)男二人に見下ろされ泣きそうになる。二人は小さくため息を吐き出し、ごめんと謝って側から離れていく。力が抜けたように地面に座り込み持っていたグリップファイルを握り締めた。立海の三強、幸村、柳、そしてマネージャーであり、女子テニス界最強と言われる真田。そのうちの二強に迫られたのだ、腰が抜けないわけがない。

「クソ怖い・・・」

今日怖い思いしかしてない気がする。朝にはクラスメートの切原に赤目になられてしまい諫めるのに大変怖い思いをしたのだ。

大分落ち着いた頃にゆっくり立ち上がり辺りを見回す。小さくため息を吐き出し真田の代わりにしなければならない事をしに行こうとした。

「本当にいいの?」
「いいのいいの!」

ドリンクの補給をしているマネージャー数人の声が聞こえる。何がいいのだろうと気になって意識をそちらに向けた。

「だいたいうちらを敵に回すからあーなるのよ」
「まぁたしかにねー」
「てか電車の中でのあいつの顔めっちゃウケたんだけど」
「マジサイコーだったよねーあれ」
「マジやばいヤバすぎ」
「やばいやばい!」

声はどうやら三年のマネージャー数人だった。内容がやばいしかわからないのだがと考えながら彼女達をこっそり隠れながら見る。中学生にしたら派手すぎる化粧で仲間内で笑いあっている。仕事しろよと愚痴っていれば気になる単語が幾つか出てきた。

「てか真田ってウザすぎ」
「レギュラーに気に入られてるからって調子に乗んなって話だよねー」
「だから痴漢電車のやつらに頼んでヤってもらったんでしょ?」
「このまま学校やめないかなぁー」

ぞわっとした。真田と痴漢電車という単語に体が固まった。たしかあのマネージャー達は真田をよく思っていなかったグループだった筈だ。もし、もし今の言葉が本当なら、真田はまさか。阿山は詳しく話を聞こうとマネージャー達の前に出ようとした。

「なぁその話もーちょいワシらに聞かせてくれん?」

マネージャー達の前に立ちはだかった人物に、阿山はまた体を固まらした。




何処のマンションなのだろう。真田はボーとする頭でそんな事を考えた。

あの後、痴漢達の手によってさんざん遊ばれ、弄られ、真田は意識を失った。目を冷ました時には知らない場所のベッドで寝かされ、周りを見回せば沢山のカメラが設置されていた。
ぞわり、と体が震え、体を動かすが何やらロープかなにかで体を縛られていて動けない。扉が開き何人かの男が入ってくる。いつもなら出てくる声が出てこなくて涙で視界が歪む。

「あ、起きた?」
「そんなに怯えなくていいよ?」

体を起こされ両側に二人の男が座る。よしよしと頭を撫でられ少しほっとしてしまった。
そのまま太ももを触られ始める。嫌だと体を動かそうとするが縛られていてうまく動けない。

「怖がらないで大丈夫。すぐに良くなるから」

また涙で視界が歪む。するすると太ももを撫でていた手がスカートの中に入り込む。一人は付け根辺りをずっと撫で、もう一人は胸を触り始める。やだ、やだと子供のように言えば大丈夫、大丈夫と聞く耳を持ってくれない。

だれかがそろそろだなといい二人の男が真田から手を引いた。終わったのか?と顔をあげればビデオカメラが目の前にセットされていた。

「はい、ご開帳ーー」

突然足をあげられ股を開かされる。隠されていた下着が丸見えにされ真田は羞恥に震えた。腕で隠そうにも縛られていて隠せない。真っ赤になった顔が涙でぐちゃぐちゃになる。

「わーいつも白なの?かわいーね」
「足細いなぁー」

二人の男が付け根辺りをまた触り始める。片方からは顔を舐められ、もう片方からはシャツのボタンを開けられ胸や胸の突起を舐められたり弄られたりする。首を降ってやめてくれと抗議をするが二人はむしろエスカレートさせていく。

「いやぁっ!!」

怖い、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ。そんな感情が真田の頭の中を駆け巡る。苦しさに悶えていれば下着をずらされ花弁を暴かれる。

「ぅ・・・あ・・・」

男達の手が真田の暴かれた花弁をいじり始める。内壁を撫で、粒を触られ真田泣き出した。触らないでとうわ言の様にいい続ける。男達は笑い始めるそれでもって真田を追い詰める。知らない感覚に真田は混乱した。

「いや、や、やだぁ!!」

誰かが我慢できないと言った気がした。下半身から手が引かれ、腰が落ちる。解放されたことにホッしていれば男が何かを開けた。

「これ、舐めて」

目の前に出されたグロテスクな色の肉棒に真田は目眩がした。唇にそれを押し付けられ拒否の意を示し顔を振れば髪を捕まれ無理矢理口の中に押し込められた。

「ほら、舐めろ。」

勝手に出し入れされ真田は目をつぶった。苦しさに悶えていればもう一人の男が先ほどまで触っていた内壁と粒を触り始めた。

「んーー!!んぁっうぶっ!ぐぁっ!」

息ができない、体が熱い。これ以上内壁や粒を触られれば、こわれてしまう。

死んでしまう。何故かそう直感した直後だった。

ピンポンとチャイムがなる。肉棒と指から解放され、ぐったりと横たわる。荒い息を整えながら体を起こそうとするが体から力が抜けているのか起き上がれない。何度も鳴るチャイムにビデオカメラの前に居た男が舌打ちをして出ていった。

「くたばらないでよー?帰ってきたら続きするんだから」
「てか中学生の癖にエロすぎ。もしかして彼氏持ち?毎日ヤラれてんの??」

訳の分からないことばかり口走る男達に否定する気も起きず目を閉じる。足音が聞こえああまた再開されるのか歯を食い縛った。

「おせーよ早くしろよー」
「さっさとヤって楽しもうぜ?」

そう笑う男達は真田を起こし太ももに手をかけた。

「その汚い手を離しやがれぃ」

小さな球が男の手を弾く。驚いた真田が前をみれば見慣れた赤い髪の少年が一人。

「まる、い・・・?」
「よ、真田」

いつも通りの不敵な笑顔にホッとする。もう一人の男が立ち上がり丸井に突進した。丸井はそれをひょいっと交わす

「後は任せろぃ!ジャッカルが!」
「俺かよ!!」

交わした先に現れたジャッカルが男を床に殴り付ける。激しい音に真田は体をビクリと揺らした。手を弾かれた男が真田を引き寄せ立ち上がる。退きやがれと男は叫び丸井とジャッカルの間を通りすぎようとした。ころころと何かが転がってくる。男はそれを見つめてしまった。真田前を見つめていた。そこには怒りを宿した幸村が居た。

「・・・真田を拐った罪は重いよ。」

男がガタリと倒れ込む。真田も同様に倒れそうになるが側にいたジャッカルに支えられた。

「大丈夫か真田?!」
「あ、あ・・」

ジャッカルの声にこくりと頷く。そのまま彼の胸に顔を埋めた。ロープが外され何かを羽織らされる。後ろを見れば眼鏡をかけた紳士が一人。

「遅れてすいません、真田さん」
「やぎゅう・・・」

羽織らされたのはシーツで、真田はそれをぎゅっと握り締めた。

「真田!!」
「ゆきむら」
「大丈夫?!なにもされてない?痛い思いしてない?」
「少しは落ち着けよ幸村くん!」

早口で真田の安否を確認する幸村に丸井が笑いながら幸村を叩く。が丸井の目も笑っていなくて真田は体を強張らした。ジャッカルがそんな真田の頭を撫で、柳生が紳士らしく服の着替えを渡してくれた。遅れてごめん。そんな言葉を言われた。寧ろ、助けてくれてありがとう。そう言いたかったが声が震えてなにも言えなかった。



真田マネージャーが痴漢にあった理由は本当にふざけた内容だった。レギュラーに好かれているからって調子に乗るなと言う意味だったらしい。その為にネットてわだいの痴漢サイトに真田マネージャーの名前でその投稿したらしい。べらべら喋ってくれたし主犯核の女に私は殴りたくなる衝動を押さえていたが一緒に聞いていた仁王先輩が壁を殴る。怯えるマネージャー達を尻目にどこに居るか聞けば知らないと言われ、仁王先輩がまた壁を殴ろうとした。

「場所ならわかるぞ」

何処から聞いていたのか柳先輩が現れた冷たい目で言い放つ。マネージャー達がビクリと震えた。そう言えばこいつらは柳先輩のファンだったな。仁王先輩はマネージャー達を無視しどこじゃと問い質す。

「終点の近くにこんな企画をする事務所がある。そこにいる筈だ」

淡々と言い柳先輩はノートに住所を書きそれをちぎって仁王先輩に渡した。誰が行くんですか。と聞けば体力に自信のある奴だけだ。と返された。仁王先輩と柳先輩、切原が部活に残り、他のレギュラーメンバーが真田マネージャーがいるだろう事務所に向かった。私は柳先輩に言われた通りにまず先生達に彼女達の事を報告し、彼女達を先生に付き出した。

テニスコートに戻ったときやけに怖い目の柳先輩と仁王先輩が楽しそうに談笑をしていて、背筋が凍る。あのマネージャーたちは、手を出してはいけない姫君に手を出したのだと直感した。


「真田さーーーん!!」

朝一番に学校に向かえば後輩が叫びながら現れる。少しは落ち着きを持たんかたわけ。と言えばへへへ、と憎たらしい顔で笑う。

「大丈夫なんですか真田さん」

ぎゅうっと抱きつかれて真田は目を丸くする。おどおどしていれば切原がとても心配そうな顔で真田に強く抱きついた。心配したんですからねと拗ねたような声が聞こえる。真田はすまないと小さく笑い切原の頭を撫でる。

「あかや、今日は試合をしよう」
「え!?」
「心配かけたお詫びだ。それに、ちゃんと遅刻してなかったようだしな」

そう笑ってやると切原は嬉しそうに笑い、真田の手を引いて部室へとかけていった。


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