壊れる


「ぐぅっあ、ああっ」

繋いだ指を解く事も出来ず涙を流した。上に乗れと命令され、ゆっくりだが跡部の欲望を飲み込みゆっくりだが動き始めた。跡部の熱さに全てを持っていかれそうで強く握りしめた。

「大丈夫か?」

そう聞かれこくこくと頷く。中が、熱くて気持ちいい。気持ちよすぎて壊れそうだ。そんなことを言えば調子に乗ることは目に見えていたから何も言わない。ただ、ゆっくり腰を降り、自分を見上げる彼が気持ちよくなるように締め付ける。その度に彼の赤く染まった頬が見え、上がった息が聞こえてくる。気持ちいい、のだろうか、不安だ。

「あ、とべっ」
「っは、なんだ?」
「きもち、いいっ?」

そう聞けば目を丸くした跡部がニヤリと笑って腰を突き上げてきた。ひっと小さく悲鳴を上げた。跡部を睨めば跡部が上半身をお越し片方の絡めた指を解いて腰を掴み俺を抱き寄せた。そのせいで中に埋めてある跡部の角度が変わり恥ずかしさで目をぎゅっと閉じた。

「気持ちいいに決まってんだろうが・・・!」

耳元でそう囁かれ目を開いた。跡部を見ようとしたら突然腰を動かされ何もできなくなる。

「あ、や、やぁーーー!!」

ただ悲鳴じみた声をあげるしか出来ず跡部の肩口に顔を埋め快楽に耐える。狙ったように前立腺を擦り、突き上げる。視界がどんどん涙で歪み息も出来ないくらい強い快楽に理性が千切れそうになった。

「や、あと、まっーーひぃっ」
「ま、てるかよばーか」

耳を舐められ、噛まれる。ビクビクと震えながら顔をあげれば跡部に唇を奪われた。まるで生き物のように器用に動く跡部の舌に、不器用ながらもついていこうと舌を差し出し、触れ合わせる。その口付けの間も跡部の腰は止まらず俺の中を責め立て、どんどん追い詰めていく。

壊れる。そう思った瞬間に何もかもさらけ出したくなった。もっと、もっと俺を壊してくれと、そう思った。

「あと、べぇっ」
「あ?な、んだっよ」

震える声で彼に囁く。

「こわ、して」

突然、視界が逆転した。俺を見下ろす跡部に、頭がついていかない。煽った罰だ。跡部の唇がそう動いた。腰をあげられ膝がシーツにつくまで曲げられる。融合された場所は丸見えだろう。恥ずかしさに解かれた手で隠そうとした。

「隠すなよ」

その手さえまた繋がれて跡部が律動を開始する。あまりの強さに目眩がした。

「ーーはっひぁぁぁっ!」

また中の角度が変わりもう訳がわからなくなる。放つ言葉は意味を持たずもう口も塞げない。

「あと、あとべっや!いやぁっ!」
「いや、じゃねえだろ?」
「だめっ、だめぇ!」

ぐちゅぐちゅとオイルの音が混ぜ合わさり卑猥な水音を響かせる。本当に、本当に、壊れてしまう。跡部に、全て壊されてしまう。

「あ、うぁっこわ、いや、こわれっ!」
「壊れろよ、もっと、俺に壊されろ」
「はっ、ひぃっ」

呪文のように壊れろと言われる。壊れてしまえば、俺はどうなるのだろう。壊してほしくて、そう言ったのに、壊されるのが怖くて。

「あとべ、あとべぇっ」
「狂え、さなだ」
「ひっ、あっ、あ、ひーーーーーっ!!!」

声もでないほどの快楽に体を強ばらせ、熱を放った。ビクビクと震える体の中に、熱い熱を感じて、あぁ、跡部も達したのかと実感する。

「さな、だ」

壊れちまえ。そう耳元で囁かれ、俺は意識を失った。

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