中1赤也×中2真田の海原祭
ちょこんと座っている紙の長い女性。念入りに部厚い紙を読んでいる女性の後ろまで行く。
「・・・あかや?」
聞きなれた低音の声が静かな部屋に響く。振り向いた女性はつり目で、少し怖いのに綺麗だなと思った。
「化粧でここまで変わるんですね、真田先輩」
そう言うと先輩は困った顔で長い黒髪を触り始めた。
「まさか白雪姫をやるとは思わなかった」
「俺もっす。やるとしても幸村先輩とか、柳先輩とかだと思ってました」
「まさか白雪が俺とは・・・」
肩をすくめ、真田先輩は黄色のスカートをパタパタと動かした
「去年もスカートだったが、今年もだとはな」
その言葉に俺は目を丸くした。え、どういうこと?
「ん?去年のテニス部は赤ずきんをしたんだ。俺は赤ずきん役をした。」
固まった俺を見ながら真田さんはまた爆弾を落としていった。案外あっさりと迷いもなく言うから俺の思考は一瞬止まる。
「・・・・・え、えぇぇぇぇぇ!!?断らなかったんすか?!」
「・・・お前は幸村に逆らえるのか?」
名前が出た瞬間にあっとなった。神の子には誰も逆らえないのだ。青くなりながら固まる俺に真田さんはクスリと顔を緩ませた。その顔がとても美人過ぎて体が違う意味で固まった。ふだんからそんな顔すればいいののに。
「まあ赤也にはこんな役回ってこんわ。」
男とキスなんて誰が喜ぶ。そう笑う真田先輩に俺はうつ向いてしまった。羨ましくなってしまったのだ。王子役の仁王先輩が。こんな美人で綺麗な人とキスできるなんて。
「真田先輩」
「なんだ。」
「来年は、俺が相方をしますからね!」
意気込んだ発言に真田先輩は困ったように笑い「頼むな」と綺麗な髪を靡かせながら言った。