スキンシップ
コリンに抱きついたりしているなまえに思わず叫びたくなった。
「なんで俺は駄目でコリンはいいんだよ!」
「え!?何が!?」
というかもう叫んだ。
急に俺が怒ったものだからなまえは驚いた様子で俺のほうへと振り返る。コリンはモイさんに呼ばれてなまえの元から去っていった。
それをいいことに足音をならしながら近づいてなまえを見下ろすと、なまえは慌てふためきながらしゃがんでいた体制から立ち上がる
「ごめんリンク!」
とりあえず謝るなまえの頭を掴む
「何で俺が怒ってるのか理解してないだろ」
「だって急に怒りだしたじゃない・・・・・・・ん?そもそも私に怒ってるの?」
「なまえにだよ!」
そっからか。なまえの傍に来てこうして話しをしてるんだから、なまえしかいないだろうに
いつもの調子に戻り始めている彼女を見て駄目だ駄目だと首を左右に振る。今日こそ俺の不満と欲求を解決させるためにビシッといわなければいけない。何を、と思うかもしれないが、なまえにはひとつだけさせてくれないことがあった
恋人としてどうかと思うが、本当に、駄目といわれては阻止されることで、いわゆるスキンシップというものがあまり許されていない
まぁそれも俺だから拒否する、ではなく、基本的に人に触られるのがあまり好きではないようだ。狼のときは幸せそうに笑いながら抱きしめて撫でてくれていたし俺が嫌なわけではないのは確認済みである
けれど彼氏であるこちらの身としては少しでもいいからなまえを抱きしめたいし、手をつなぎたいし、一緒に寝たりもしたい。ちなみに一緒に寝ようと誘ってみたときは「ベッドが狭くなる。リンク蹴り落としたくないから嫌だ」といわれた。そもそも寝相悪くないだろなまえという言葉は飲み込んだ。何でもかんでも無理矢理するもんじゃない
キスは無理矢理でもするけどな
でもさ、ハグも手を繋ぐのも駄目っていうのはちょっと、もう我慢ならないんだよ。無理にしたら猛烈に痛い攻撃が飛んでくるし
「コリンとはハグするのに俺とは駄目なのか?」
「リンク・・・・・コリンは子供だからいいんだよ」
「だったら何が良くて何が駄目なんだ!?」
「えーっとね、小さい子供と動物と大人の女の人はおっけー」
俺駄目ってことか。かろうじて動物っていう点では掠ってるけど結局もう狼にはなれない。どうする俺。あああ一緒に住んでるのに触れないもどかしさがまだ続くのか!
頭を抱えてやりたくなるぐらい辛いことだというのに、なまえはなんともないだろうといった表情でこちらを見る
「そ、そこまで落ち込むほどなの?」
「落ち込むよ!俺だって男だ」
「でもなぁ・・・・あ、そんなにスキンシップしたいならイリアかコリンにしておいでよ。人肌恋しいのは仕方がないよね・・・」
「ちっげぇええ!」
どうして!そうなる!
これだけ事を願ったのも初めてだが、何よりいつもは優しいなまえがここまでスキンシップを嫌がるというのも突っかかることだった
段々と落ち込んでいく俺のテンションになまえがたじろぐ。あぁ困ってる・・・・俺のために困ってる・・・・可愛い
「ご、ごめんね、でもいやなものは嫌だから」
「これだけ俺は好きなのに、なまえはなんか、微妙だよな・・・・」
「そんなことないよ、そんなことない!リンクのこと大好きだしちゃんとこの前お花屋さんのお兄さんに告白されたときも断ってるんだから!リンク以外必要ないの!」
「おおっとそれは聞き捨てならないなー」
「でも本当のことだからね。リンクのこと大好きじゃなきゃ一緒に暮らしてないし」
ごもっともだった。
それでもなお落ち込んだままなまえをちらりと見上げて、最後に質問をしてみる
「じゃあ・・・・・なんでそんなにスキンシップ嫌がるんだ?」
「それはねぇ、その・・・・・・・・・・」
「?」
「リ、リンクこそどうしてそんなに、ハグとかしたがるの?」
「そりゃあそんだけなまえが大好きだからだ。抱きしめてあわよくば上手くなまえを流して事に至れたら凄い嬉しいと思ってるだけ!子供はまずは5人!」
「おおっとそれこそ聞き捨てならないなー」
「って話逸らすなよ。で、理由は」
急かす俺にもうお手上げだと、彼女は渋々口を開いた
「・・・・あのー・・・・・ほら、恥ずかしいし・・・・!腰の太さとかわかっちゃうじゃない?それにリンクに触られるだけでもどうにかなっちゃいそうなのに、ハグはちょっと・・・・・」
無意識ってどうしてこんなに怖いんだろうと思った。