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若いのに大変ね、



日に日に大きくなっていくお腹に、幸せな気分に浸るべきなのか後悔するべきなのか、わからなくなった。親は何も言わない。否、心配しているのかそういった発言や言動はあるが、身篭っている今、まさかおろせとも言えまい。私の家は代々続く一族などではないし、普通の一般家庭だ。残す血筋なんかちっとも関係ないし、余計に子供をおろす理由なんてない

これから私が育てていくのは、私が決めることなのだから、親にはとやかく言われたくないという気持ちもある。現実は厳しいものだということは知っているから、一人暮らしはしないようにしようと思った。結婚できるかもどのみちわからないのだ。親の力を借りようと思う。

多少だ。私が仕事に言っている間、保育園のような感じで母に預けるだけ。母は子供が好きであるし、わがままな私をここまで育て上げている。子守に関しては私よりも母のほうが上手いのは当たり前だった。甘え腐っているなんて今更だ。私という女自体が、甘ったれた生き物なのだから。

だって無理して子供に手が回らないとなれば、そうも言ってられなくなるのは目に見えている。


サスケやハルカ、ナルトは私のお腹を見るなり、目を見開いて驚いていた。

しかも相手が相手なだけにサスケは顔を顰め、ナルトたちは悲しげに目を細めていたのを覚えている。私はまだ17だけれど。もう子供といえるような雰囲気も何も持ち合わせてはいなかった。だからあの人とは上手くいったのだ。だというのにあの人はお腹に子を残して、蒸発してしまった。まったくなんて酷いやつなんだ。

最後にイタチと顔を合わせたとき、引っ掻くようにして指に力をいれたまま、強く強く私を抱きしめていたのを思い出すと、酷い人なんて絶対に言えないのだけれども。


「本当に産むのか?」

「うん。うちは一族としてじゃないけどね。そんなに立派な名前は与えてあげられないけど、この子を幸せに出来たらと思う」

「・・・・・・・・・・・・・・・お前は、」

「後悔はしてないよ」


サスケは黙り込む。同じ歳だというのに、こうも違いを感じるとは。子供が出来ると違うものなのだろうか。

自分の兄の子供が、仲間として今まで戦ってきた友人のお腹にいる。複雑だった。何もかもが。唯一兄が残したものが命であるとするならば、それを捨てるわけにはいかないのに、不安しか感じていない。

こいつが生まれてきたときに俺は、どういう顔をしたらいいんだ。

お前の父親を追い詰めたのは俺だ。たった一人しか世界に存在しない父親を、直接でなくとも殺めた。それはなまえにも言えることで、たった一人愛し続けた男を、俺が消してしまっているのだ。


「本当よ。イタチさんとの子供が出来て、嬉しいのは本当なの。今から本当にこの子を育てられるのか、ちゃんと子育てが出来るか不安なだけで、それは誰しも一緒でしょう」

「お前のそれは違う」

「ううん、違うことなんかない。・・・・ねぇ、サスケ。確かにイタチさんはサスケと世のために頑張っていたけれど、イタチさんが死んだのはサスケのせいじゃないんだよ」


きっとあの時、イタチが一族を殺さずにすんでいたら、イタチは至って健康体なまま幸せに暮らしていけたのかもしれないね。体が弱い人じゃあなかったから、たぶん里を抜けたあとずっと無理をしていたんだろう。

サスケも一緒。イタチがあんなふうにならなければ、サスケだってもっと綺麗なまま生きていたと思う。復讐なんて考えることもなかったはずだ。


「もう、いいの。イタチさんと一緒に居られなかった分・・・・・この子を愛するから」


大切な子だから。何物にも変えがたい存在だから。


「だから安心して!サスケも幸せになってね。大丈夫、私強いから、この子のこと守るのなんて簡単よ。伊達に上忍なんてしてないわ」


新しい命が生まれたとして、それがうちは家の血を継ぐ子だとしても、もうあんな悲劇は繰り返させない


「そうでしょう?」


おじさん。

サスケが涙を零す。ねぇ、これからサスケ、おじちゃんになるんだよ。わかってる?ちゃんと、甥姪を可愛がってよね