はぶられ者の小さな味方
「おい謝れよ!!」
「泣くまでいじめなくてもいいのに!可哀想!」
皆がみんな、私の前に立って庇うようにそういった。別にあの子は何もしていないのだ。私が泣いているのだって、ただ単に泣き虫だからっていうだけで。どうってことのないからかいだったはずなのに
ナルトだって悪気はこれっぽっちも、なかった。それは私にも言えたことだった。
しかしそれがわからない友人たちはすべてナルトのせいにする。
「別におれ、何もしてねーってばよ!」
「うそつき!なまえちゃん泣いてるもん!」
「そうだぞ!なにもしてないわけないじゃん!」
「ちょ、ちょっと、みんな、話聞い」
「ナルトくんのせいだよ!」
何故よって集って一人を集中攻撃する。なんで一人じゃ何も出来ないくせに、ナルトが強いからって大人数で攻め寄るのだ。意味がわからない。私が泣いていることを口実に、ただナルトに言いたい放題したいだけだろう。なんでそう思うんだろう
「ナルトくんなんかだいっきらい!ねー、みんな!」
子供にしてそう思えたのは、あまりにも酷い光景だったからだ。私はナルトのことが好きだった。大切な友達だし、一緒にいて気が楽なのもナルトだ。そりゃあ泣かせられることのほうが多いけれど、彼だってとっても優しいし、ただ単に子供だから加減がわからないだけなのだ。
私はまた泣いた。
そうしたらみんながギョッとして、私を見て何か口々に言う。けれどもそれを聞かずにナルトの前まで歩み寄った。
「・・・っごめんね、ナルト!」
「え?」
「わたし別に、痛くないし、かなしいこともないよ!みんなの言うこと、信じちゃだめだよ」
私が泣いたばっかりに。
「ナルトは、冗談でいったのに、私が泣いちゃっただけだもん!ナルトは悪くないから」
親は言っていた。確かにナルトは危ないって。でもだからって嫌っては駄目だよとも言われた。きゅうびっていうバケモノがナルトの中にはいるらしいけれど、それが目覚めるときには何かしらの前兆があるから、普段一緒にいたって危ないことはないんだよって。
嫌ってしまったら、ナルト君は悲しむよ、お前はそうさせたいの?
おやに言われたことは、小さくても私にだってわかった。
言われたからというだけではない。彼はいい人だ。
「ねー!ナルト!ナルトは悪くないもんね!また一緒にあそぼう?」
「い、いいのか・・・・?」
「いいよ!わたし、泣いてもすぐにわすれてるもん!みんなは遊ばないっていってるから、どっか行こう?」
涙を拭って笑いかければ、彼もまた笑い返してくれた。
(大体、あの時は誰もが冷たい目をナルトに向けていた。)
(どうして苦しいと訴えかける瞳を見てなお、大人達がそうやって接することができたのか、今でもよくわからない。)
「わたしね、ナルトのこといい人だと思うよ!」
それはね、数年たった今でも嘘偽りはないよ