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※もし続編とは違う形でリンクに会っていたら
※他でわりと同じような内容のもの書いてる希ガス

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「ナビィ・・・・・・・」


意識が朦朧とする中、旅をずっと共にしてきた妖精の名前を呼んだ。ナビィは見つからない。どこへ行っても、森にも、火山にも、湖にも、平原にだっていなかった。なんでいないの、君がいないと僕は、こんなにも

こんなにも、弱い人間になってしまう

僕が必死に戦ってきた記録は、人との思い出は、君がいてこそ初めて現実となるのに、君がいなければ僕の記憶はただの作り物でしかなくなってしまうんだ。誰も知らない僕の頑張りは、君しか知らないんだ

ねぇおねがいだから、もどってきてよナビィ

そう願ったところで青い光が傍にいるはずもなく、諦めたようにぐったりと体の力を抜いた。腹部から流れる血が、口から吐き出される血液が、この体はもう動かないんだと知らせるようにあふれ出す


「ナビィ、」


どうして僕ばっかりがこんな思いをしなくちゃいけないの?

僕はみんなのために勇気を出したのに、それは結局仇でしか返ってこなかった。

こんなことならハイラルなんていらなかったのに。ゼルダだって知らん振りして僕は僕の好きなように生きたのに、あんまりだろう。最期くらいそれなりの環境や境遇を用意してくれたっていいのに。僕は死ぬときでさえ一人なのだ

あぁ、こんなことなら。こんなことなら、僕は、僕は


涙が人知れず流れて視界までもが霞みはじめた。意識もぼんやりとしてしまっていて使えモノにならない状態だった。光が恋しい。森のこんな奥深くじゃあ光だって届きはしない


“リンク”


僕のことを皆は愚か者って笑うんだろうから、僕は何もいわないし何も語らないよ。僕の旅や頑張りは全部消え去ってしまった。神は上手いこと動いた僕に慈悲もなにも与えず捨てる。全てが残酷だった

ぐすぐすと一人すすり泣いて目を閉じようとすれば、頭が優しく持ち上げられる。温かい、安心するような動作で、僕の額にかかっていた前髪をさらりと払いのけた

誰なんだろうと思ったけれど予想以上に瞼は重たい


“もうおやすみする?一緒に寝ようか”

「ん・・・・・・」

“そんなに頑張って起きなくてもいいんじゃない?”


くすくす、と笑う声が、鼓膜を震わせた。懐かしい。とっても、聞き覚えのある、安らぎを覚えるような声色。頬を滑る手は愛おしいものを撫でるかのような手つきだった

ネックレスが淡く光った

ゆっくりと瞼を開けて見たら、切なげに微笑む女の人が見える。僕は知っている。この人を知っている。誰よりも僕を見てくれて、僕に色んなものを与えてくれた人だ。


“大丈夫・・・・リンク。きっとおかあさんと寝れば、悪い夢なんて見ないから。ね、二人なら、安心して寝れるでしょ?”


たとえ世界が君を捨てたとしても

たとえ神が君を酷いように扱って殺しているとしても

私だけは、あんたの味方なのよ。ナビィちゃんも一緒。すごいよリンク。人って友達はたくさん出来ても、人生においてずっと付き合う人間って、早々いないんだ。大切なひとが出来たのならそれはとってもすごいこと。ナビィちゃんはあなたが一生をかけてでも守るべき存在だった。ナビィちゃんが消えてからも探し続けたあなたは、偉いんだよ


「おか、あさん」


僕は、今までのこと全部含めて今の僕がいるのなら、たぶんそれはいらないと思ってるんだ

結局悲劇を含めて何か仲間や大切なものを混ぜ込んだところで、悲劇は悲劇にしかならなかったんだよ

ねぇ、そうでしょう?僕は間違ったことなんて言ってない。僕が今までしてきたことは全て間違いだったのかもしれないよ。確かに今までの経緯で楽しさや幸せは多少あったけれど、それが今に繋がるのならそれもいらないんだよ

お母さん。僕は一人なんだ

結局、僕は間違っていた。

僕は世界のために生きるなんてことは、無理だったんだ

おかげでナビィもお母さんも失った。お母さんもナビィも生きてるのかな。おかあさん、教えて


僕は、消えてなくなるのかな


「リンクは消えるなんてことない」


少なくとも私はリンクのことを覚えてる。消えたりなんかしないよ


自分のものではない雫が、冷たくなっていく頬へと熱を浸透させるかのよう落とされた

瞬きをしている母は惜しむことなくそれを流して口を歪めていたが、耐え切れなくなって眉根をよせると、涙の勢いを増した。僕の頭を抱え込んでむせび泣く母は僕を愛してくれた人で、同時に、僕をよく知っていてくれた人だった


僕は、一人なんかじゃ、ない


「頑張ったね、リンク」

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