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夢主の足が治ってきていて、杖があれば自分でも歩けるようにはなった。それでも満足に散歩などできるはずもなく、今日も夢主はリンクとエポナと共に散歩に出かけていた。

城下町は危ないからといわれていたが、最近はめっきり行っていなかったので久しぶりに行きたいと駄々を捏ねたら、何を勘違いしたのかリンクが眉間にシワを寄せる


「・・・・・・・・・・・・・・・」

「いや、違うよ。帰りたいとかじゃないんだよ?リンク」


どうせ今更王女様に頼んだところで了承だってしてもらえないだろう。自分の世界のことは諦める以外どうしようもないのだ。動くための足も負傷していれば気持ちもリンクという存在に繋ぎとめられている。帰るべきだとは未だ思うものの、別に今帰ろうとしているわけではない

リンクにそれだけ言うと、私は笑いかけた

安心していいと。なんなら城下町でもずっと傍にいてくれればいいだろうと。

リンクはスッと顔を町のほうへと向けて、それから「やっぱり危ないよ。足だってまだ治ってない」と行った。どこの誰がこんな足にしてくれたんだ全くと言いたいのをぐっと堪えて、私はそれでも行きたいという。だって、じっくり城下町を眺めたことなんて今までなかったから。少しくらいでいいからゆっくり城下町を歩いてみたかった

ナビィちゃんが私の膝の上へととまる


「ねぇ、それは今度にしたら?足が治ったら、ナビィが一緒にお買い物についていくヨ!」

「ほんとう?」

「うん。リンクじゃ女物を買ったりするときに不便でしょ?」


確かに。男と女とじゃ話の違いは出てくるだろう

リンクは少しショックを受けたような顔を見せたが、やがてナビィに怒ると何かぶつぶつと文句を言っていた。そんなに気にすることないと思うけどなぁ。女の買い物に男が上手いこと合わせられることのほうが少ないだろうしさ

そう思いながらリンクにまた話しかける


「そういえば足が治ったら、リンクとまた一緒に出かけられるね」

「何言ってるんだよ。もうこうして出かけてるだろ」

「そうじゃなくてさ。旅してたときみたいにね。足が治ったらデスマウンテンにある温泉に行こうよ」


旅。リンクはそこ単語にピタリと静止する。

自然と城下町の前まで来てしまったリンクは、やっぱり自分は夢主には甘いのだろうとしみじみ思った。そこでふと気づく。足が治ってしまえば夢主は自由に動き回れる。動き回れるということは自分の好きなことをしにどこへでもいけるようになるのだ

だったらもし、もし夢主がまだ自分の世界を恋しく思っていたとしたら。

夢主は自分の足で帰ろうとするのだろうか

それとも、もう諦めて帰ろうとはしないのだろうか

不安になってナビィを見れば、ナビィはリンクの周りをくるくるとまわった


「どうして不安そうな顔してるの?何かあった?」

「ううん」

「それならいいケド・・・・・何かあったらすぐにでも言ってネ」


心配そうに青い光を弱めるナビィに、僕は大丈夫と返した

まぁ、帰ろうとするなら足をまたつぶしちゃえばいいよね

どうせ僕の傍にいることに足なんて必要ないんだし。夢主の手は抱きしめてもらうために必要だけど、足はいらない

だけど帰ろうとしないのならば僕は何もしないし、何もしたくないなぁと思った


「あ、そうなんですか?」

「ええ。フルールっていうお菓子屋が美味しいですよ」

「ねぇリンク、お菓子屋さんだって!」


ただ、僕以外と話す夢主が気に入らないから、やっぱりベッドからもう出られないような身体にしてやろうかと一瞬考えた


(帰さないよ、絶対に)

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