「ある国では豆まきっていうのをやるらしいよ」 「節分のことですね。災厄を追い払うために行われる行事です」 「へぇー、具体的にどんなことすんの?」 「鬼にむけて豆を投げます。鬼となる人物に豆を投げるのが一般的な方法であるようです。また、ただ部屋に豆を撒くということもあるようですね。豆に限らず丸いお菓子でも代用可能。豆まきをする際に「鬼外福内」と口にすることが必要なようです。情報不足ですのでこれ以上の情報はファイにはまだありません」 「いや十分だよ。それにしても楽しそうだなぁ。丸いお菓子っつったら・・・・マルボーロか?あれ美味いよな。ファイは豆まきするか?」 「ファイには不要な行事ですので」 「そんな寂しいこと言うなよ。あ、じゃあ豆まきじゃなくておやつとして豆食べようぜ。体にもいいし。豆まきの代わり!」 「イエス、夢主」 ・花君 「豆まきかぁ」 うわぁ切実にしたくない。前の世界では家の中で兄や父を鬼に見立ててよくやったものだ。母があまりにもいい笑顔で豆を父へぶつけるものだから、何かあるんじゃないだろうかとたまに不安になるあの行事。 いや、楽しいけどね。家中豆だらけになるとこれまた大変なんだよ・・・・ ま、まぁこの世界では豆まきなんてないみたいだし、ひとまずは安心できるね! 「夢主、豆まきっていうのがあるらしいよ?今日」 「知ってるじゃん!!」 「?夢主豆まき知ってるのか?」 知ってるじゃん。一瞬で先ほどの安心が吹っ飛んだよどういうこと。ていうかこの世界に豆まきなんてあんのか? それにしては話しも何も聞かなかったんだけど・・・・もしかしてハイラルの遥か東とか、西とか、南とか、そういったところに国でもあるのだろうか。よくはわからないがリンクと豆まきなんてしたくない。だって考えてもみてよ。まずリンクが鬼だとするでしょ?間違いなく投げられないよね、え?なんでって?豆を手に持った瞬間からあの鬼畜勇者に戦いを挑むことになるんだよ!?私には無理!無理だッ!死にたくない! そしてもし逆の立場を考えたとしても私の命の危機に陥りそうなので、やめてほしい。豆で死ぬことなんてないと思うけど、怖いんだ。だって相手はリンクだもの。怖くないわけがないよ。しかもリンクのことだから鬼役をつくらないっていう考えはまず切り捨てるだろうよ 「豆まき、する?」 とりあえず賛成しようとしていたナビィちゃんを急いで空き瓶につめて、ダッシュで逃げた。選択肢はまるでないぞとでも言いたげな顔をリンクがしていたからだった △ back ▽ |