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やばいもう泣きそう


「ちょっとダーク助けてよ」

「はあ?」

「ちょっとだけ!ちょっとだけでいいから!もう死んじゃうからいい加減!」

「誰が」

「この私がだよ!」


よりいっそう怪訝な目を向けてくるダークに、私はすがりつく。何がなんでもすがり付く。今回ばかりは逃げ切らないとやばいのだ。何がって、私のライフであるハートが奴に見つかった時点で花びらの如く散ってしまうからやばいのだ

とにかく危険なのである

形振り構わずダークに頼み込むも、ダークは意味がわからないし嫌だと私の必死の願いを一蹴りした。そこをなんとかお願い!私この世界での知り合いってダークと王女と村人さん達だけなんだよ?村の人達は優しいけどリンクが殺しにかかってくるなんて言ったところで、リンクは外面格好良くて優しくて気遣いのできる男で通ってるから、私の言葉なんて信憑性ゼロになっちゃうし、王女様に至ってはこの前色々あって気まずいし

ていうかたとえ王女様が匿ってくれると言ったところで、リンクに頼み込まれれば王女様だって一発で私をリンクに差し出すだろう。惚れた男の頼みだからね。私一人の命なんて軽々と売ってしまうさ


「・・・・・・・何があったんだよお前」

「いや、別に何かあったってほどじゃなかったはずなんだけど・・・・・あれなんでだろう。普通に生きてるだけなのに、週5くらいで命の危機に遭遇してる気がする」


間違いなく、ほぼ、ていうか9,9割方、リンクの嫉妬かリンクの思い込みが原因です。私何も悪くないじゃん!


「ただ転んで、ちょっとだけ運が悪くて男の人に抱きついちゃっただけで、悪気はなかったんだ」

「ご愁傷様」

「見捨てた!?」

「つってもどうしようもねぇだろ」

「常識人がダークしかいないの・・・・・!」

「嫉妬深さで言ったら俺のほうが酷いだろうがな」

「え」

「あいつの嫉妬は正直異常だ。つまり、その影で魔物である俺はもっと酷いだろ。何もあいつと俺が対等に出来てるわけじゃねぇ。言ってしまえばいい面でも悪い面でも、あいつより俺のほうが上につくられてるからな」

「・・・・・・・・・・・え?」


マジで?


「俺から出来るアドバイスは、まぁ殺されてないだけマシなんじゃねぇかってところか?」

「ま、ままま待ってよ!だって、だってさあ!私水の神殿一人で来たし、頑張ったし、痛いのもういやだし、頼みの綱がダークしかいないしでここまで来たのに、そりゃないよ!助けてくれないの!?」

「知ってるか。あいつの弱点は脛だ」

「誰だって弱点だろそこはぁ!」


そんな当たり前なこと言われても、まずリンクに手も足も出せない私に脛を攻撃するなんて手段はまずありません。わかってて言ってるだろ絶対。大体リンクと私が戦うなんてことはまず無理。もしそうなることがあれば間違いなくリンクの圧勝だろう

私を捕まえて引きずり回して自分好き勝手に私をいたぶるのなんて、リンクからしてみれば道端の石ころを蹴り転がすぐらい簡単なのである。泣く。わかった私もう泣く。


「だああくうう」

「鬱陶しい!蹴り潰すぞてめぇ!」

「酷!?いいじゃんか!ちょっとリンクが来たら誤魔化してくれるだけでいいんだから、引き受けてくれたって・・・・・」


「夢主、みぃつけた」


ダークに抱きついて懇願する私の背中。背後。すぐ近くから声が聞こえた

ギギギギと音がなりそうなぐらい動かない首を必死で動かして、ゆっくり振り向けば、そこには立派な剣を携えた勇者様が立っていらっしゃった

発狂するかと思った。ダークは「やっと来たのかよ・・・・」と若干呆れ気味に枯れ木のほうへと歩いていく。えっちょっ

見捨てられたの私・・・・・?


「ふーん・・・・あの男じゃ物足りずにダークにも抱きつくんだ」

「ぎゃああああ!待って、待って話し合おうリンク!人間っていう生き物には言葉というものがあってそれで通じ合うことが出来るんだ!」

「でも夢主にはいくら言ったって伝わらないじゃないか」

「ごめんってリンク!別に今のはわざとじゃなくって・・・・・」

「とりあえずその浮気癖がある腕は落としちゃおう?」

「どこに!?ここに!?」


切り落とす気だ。目が本気だよ。このままじゃあ骨折どころか腕もう消失しちゃうんですけどダーク・・・・・って居ないし!!


「大丈夫。またすぐにはえてくるから」

「来ねぇよ!生えてこないよ!」


まず私をなんだと思っているのか。そこからリンクに問いただしたい。あああ調子のりましたすみませんごめんなさい

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