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すごく大きな音が食堂に響いたが、喧嘩やらなんやらでいまや誰もが興奮状態の今、皿が一枚割れたところで誰も気にはしなかった。ただ数名私の傍にいたであろう兵士たちはびっくりしていたが。
ていうかさ。こんだけ人数いるのにどうして私にだけ飛んでくるの。おい私の前にも人いるぞ。なんでそいつには当たらないのに私には当たったんだ解せぬ
まるでタイミングを見計らったかのように私の前にいた人物は落としたものを拾うためにしゃがみこむし、そのまた前にいる男だってタイミングよく、お皿が飛んできたその瞬間に椅子に座ってしまって、必然的に避けようとして失敗した私には当たってしまった。
腕に勢いよくぶつかって割れたお皿が、周りの人間によって更に踏まれて粉々にされる
「大丈夫ですか!?」
「心配しないでください、安心してください」
「いや意味わかんないから!」
両腕から血がだらだらと出てき始めた。それを見た隣の兵士さんが慌ててハンカチを貸してくれる。あぁもう本当すみませんね、こんな綺麗なハンカチ血だらけに・・・・って白!男が持ってるとは思えないぐらいシルクで出来たような布だなこれ!
「破片が傷口にまだ残ってるかもしれません。俺もついていくんで救護室に行きましょう」
さすがにこのまま放置は出来ないとのことで、私は渋々頷いた。割れたお皿は誰かが片付けてくれるだろうと兵士さんと一緒に歩き出す。と、そこへリンクが駆け寄ってきた。転んだ。
「いっ!?」
いたぁああ!!
傷が!傷が擦れて!痛い!!
あまりの激痛に叫ぶことも途中で放棄して、悶えた。痛い。どうしてこんな目にあわなきゃならないの私。リンクのせいでしょこれ。リンクが来た途端なんにもないところで転んだよ今
涙目になりながらリンクを見上げると、リンクが私に腕を伸ばしてそのまま抱き上げた。どうやら兵士さんではなくリンクが連れて行ってくれるらしい
慣れない俵担ぎの感覚に足を小さく動かしていると、兵士さんは言った
「皿は俺が片付けておくんで、心配しないでください。じゃあいってらっしゃい」
兵士さんが手を振ると、リンクは救護室にむかって歩きだした。しばらく静かに廊下を進んでいたが、途中でリンクが立ち止まって、不思議に思った私は首をかしげる
リンクは悲しげに眉を下げた
「・・・・俺、ずっと思ってたんだけど」
そこで、リンクの言葉はとまった
また静かな時間が私達を包み込む。リンクが喋る気配がないから私は返す言葉も出せず、かといって空気は気まずい。このままの状態を数分も続けられるほど私は我慢の出来る女ではない
口を少しあけて悩んだが、そのまま言葉を発した
「リンク、腕、痛い」
「!あ、あぁ・・・・・・・・・・・・そうか、そうだよね・・・ごめんメイナ」
なんで謝ってるの?
別に早く救護室に行きたいわけではなかったが、血がとまらないのは困る。それに救護室へ行くようリンクを促さなければ、きっとリンクは動かなかっただろう
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