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「お前たちはいつも一緒にいるな。恋人か?」


茶々を入れるように兵士である一人が言ってきたので、私はリンクが何か変なことを言う前に曖昧に笑って「友達ですよ」とだけ答えた。ぶっちゃけラナとでもゼルダ姫とでもくっついてしまえばいいのだ、リンクは。そしたらこの鬱陶しいくらいのスキンシップもなくなるのに

不快に思ったわけではないが誤解はされたくないので、恋人ではないですと続けた


「勿体無いな、こんないい男そんなにいないぞ」

「まぁ確かに。・・・・・・・ってあぁ、そうじゃなくって。訓練兵舎にある掲示板に、この貼り紙をしてほしいんです」

「なんだこれは?また迷子の犬か・・・・・?」

「もう、違いますって!今回は猫です」

「結局ペットか・・・・猫なんて気ままに動いてんだから迷子もクソもないだろ」

「そうなんですけれどもね。飼い主さんは心配で心配で仕方がないみたいです」

「そんなもんか」

「まぁいずれは猫だって帰ってきますよ。餌付けしてたら自然と寄ってくる生き物ですし。犬だって帰巣本能で戻ってきたりしますしね。一時の捜索願いです」

「いまいちわからんが、この貼り紙は俺がちゃんと貼っておこう」

「動物飼ってみたらわかるんじゃないですかねー。とりあえず猫の報告期待してます」

「あぁ。いい話が持っていけるようにする」


笑みを浮かべて貼り紙を手にした兵士は、そのまま私達に背を向けてさっそく訓練兵の兵舎へと足をすすめ始めた。それを見送って、リンクと一緒に食堂へと向かう。豪華なものがあるわけではなかったが、やはり食堂のシェフが作る質素な料理は美味しいものだ

今日は自炊が面倒くさいからリンクに誘われるがまま食堂へ来た、はいいが人が混んでいる


「今日は多いね」

「まぁここ最近は忙しかったし、自炊しようにも出来ないんだよ」

「あー」


そういえば訓練が続いていて訓練兵が平原へと出ていたからか城も割りと静かだった気がする。そうか。帰ってきたら訓練兵も訓練兵で疲れているだろうし、こういったことが起こるのは当たり前なのか

ざわざわがやがやと騒がしい食堂へ足を踏み入れると、これまたいつもの如く突然何かが私めがけて飛んできた。銀色の、鉄の塊だ


「うおあっぶねぇッ!!」


即座に左に避けて飛んできたものをかわす。ナイス私の瞬発力。まぁこんだけ酷い目にあってたら瞬発力だって鍛えられるよね

壁にカン!と強くぶつかって床に落ちたのは、食べ物を口へ運ぶ際に使われる食器、フォークだった。こんなのが顔に当たってたらひとたまりもないだろうな・・・・鍛え上げられた兵士が投げるフォークなんて突き刺さってしまう

ハラハラしながらフォークが飛んできた方向へと顔を向ければ何があったのか、喧嘩が始まっていた。使用人である女の人達が叫ぶ。男たちは盛り上がる。リンクが物を投げるなと言いに兵士たちに近づいた。まさにそのタイミングで

薄いものではあったがどういうわけか喧嘩に使われただろうお皿が、フォーク同様飛んでくる

よし今度も避けてやろうふははは視界もばっちりな今の私に避けられるものなどぶべぁ


「あ、すいませ」

「すいませんじゃねええ!!」


避けたその先に、訓練兵だろう男がいた。いや確かに周りを見てなかった私も私だよ。けどさぁ、こんなのってないでしょ

男の人にぶつかった私はそのまま、避ける前の位置に戻ってしまうわけで、飛んでくるお皿に避ける暇もなく咄嗟に腕でガードした




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