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格子をガシャガシャと揺らせば、すぐにメイナは目を覚ました。まだ寝ぼけているのか「う〜ん、まだ眠たいんだけど」と呟く。リンクに対していっているのだろうか


「もう朝・・・・?」

「何寝ぼけてるの!メイナってば!早く起き上がって!」

「は?」


ちゃんとした女の声であるラナのもの。それが耳に行き届いたメイナは一気に頭が覚醒するのを感じた。飛び上がるようにして起き上がれば見えるのは青、

緑ではなく、鎧でもなく、金髪でもなく、青い少女

目を見開いて驚いているメイナは、久々のリンク以外の人間にどう対応しようか迷っていた。何を言えばいいのか、どうしてここにいるのか、全くもってわからなかったからだ。目的がわかっていれば何かいえるものの、それさえも出来ない

それでもラナは必死だった

どうしてこんな動物を飼うようなところにいれられているのか、リンクがここにきて初めて狂っていることに気がづいた。動物を飼うにしては綺麗にベッドも整えられているし、メイナ自体も別に汚れているだとかそういったことはないが、ラナにはまず檻に人間が入っているというこの状況自体が異常なものに見えていたので、檻の鍵を壊そうと魔法を発動する

監獄ではないのだから。こんなところに大人しく入っているメイナもメイナだ


「メイナを助けに来たの。メイド長だってメイナの家族だって心配してるよ」

「だ、駄目ですよラナ!そんなことしたら・・・・・!」

「なんで!?メイナは出たいでしょ!?もともとこうなってしまったのは私のせいでもあるの!ごめんねメイナ、私がリンクに居場所を・・・・」

「私は出たくない!!」


ピリッと空気がしびれる。それくらい大きな声だった

防音されているのにこちらまでダイレクトに聞こえてくるものだから、相当な音量で。ラナは発動していた魔法もそのままに、ありえないといった顔でメイナを見た。メイナは何故か泣きそうな顔をしている

・・・・・・何故か、なんて

そんなのわかってるのに


「今私がここで出て行ったら、今度は一生散歩だって誰かと笑いあうことだって許されなくなる!どうして今リンクが大人しいのか知ってる!?それは私が大人しくしてるからなの!私が部屋から一歩も出ないことを知ってるからリンクは、私を一人置いて部屋も簡単に留守にするし、不自由が少しあるだけで・・・・それ以外は普通なんだよ!笑いかけてくれるし私が怖がることもしない!!リンクが満たされてれば私は安全なの!今までの努力を今壊してしまったら、私は・・・・・・!人の、リンクの笑顔だって見れなくなるし、世間話もなくて今後一切外の世界から遮断される!・・・日の光だって見れるか危うくなるかもしれない・・・・」


そりゃあ出たい。出来ることなら、外に出て、前のように働いて、自由にしたいことして暮らしたい。けれどもそれを望んで外に出たところで後ろに付きまとうのはまたしてもリンクだ。リンクならばどこへだって追いかけてくるだろう。逃げるだけ無駄なことはしたくないし、逃亡生活なんて私に出来るとは思えなかった

しかも二度目の捕獲は地獄を意味するのだから余計に

それだったらここで一定の自由を与えてもらっていたほうが、私的にはよかったのかもしれない

私がとったのは、自由よりも安全だった。それだけだ


「私は別にリンクのこと好きじゃないよ。むしろリンクのことは少し怖いくらい。でもそれですむのなら、外に出て捕まって殺されるよりかは、マシだと思う」

「メイナ、は、それでいいの・・・・?」


そう尋ねかけてくるラナが、メイナにとっては酷く滑稽なものにうつった

ラナの背後に立つ緑を見て目を細める。ラナはこんな私を羨ましがるのだろうか。リンクに愛されて愛されて愛され尽くしても終わらないようなこの人生に、ラナはなりたがっていたのだ。ラナはまだリンクが好きなのだろうか。私はこんなにも、辛いのに

好きだなんていってられないくらいなのに

諦めたように弱々しく笑ったら、今度はラナが泣きそうな顔をした。ラナの後ろにいる人物は優しげに微笑む

しばらくリンクへの愛ばかりを紡いでいた口を開けば、私は呟くようにラナの鼓膜を震わせた


――選択肢なんてないでしょう?


リンクが頷いてラナの首に手をかけた。




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