×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -






本当にそれは突然だった

部屋から出られないかと思えばリンクに捕まり、縛られたままの状態で檻のようなものに放り込まれたのだ。檻はリンク自身の広い部屋にあって、メイナはその部屋の隅にある大きな檻で不自由な生活を強いられた

出ようにも出られなかったのだ

第一鉄の格子を壊す術など私にはなく、物を使って外に出られないようにと檻の周りには何一つとして物が置かれていない。檻の中では自由に動き回れるのだが、それでも檻の中自体が人間である私にとっては窮屈なのでそんな自由は意味のないものだった

しかもなんの原理か防音の性能がついていて、私が叫んでも声が外に届いていないみたいだ。それを知ったときの心境といったらまぁ絶望も絶望、最悪発狂して死んでしまうんじゃないかと思うぐらいのショックだった


「お願いリンク・・・・!」


檻の近くには声が届くのに。部屋の外に届かないんじゃ駄目だ。助けも呼べない


「私、私はこんなことさせたかったわけじゃなくて、」

「聞いたよ。ヤクシャっていう男のおかげで、近寄ってもなんともないんだって」

「・・・・・・・だれから」

「ラナ」


いい情報網として扱われているではないか。どうして。外はどうなっている。なんでこんなことをするの

全部尋ねたってリンクは笑みを零すだけ。ありえないと思った。狂ってると思った。檻の中にはシングルベッドも棚もあったけれど、そもそも檻自体に人間が入るものではないと思った

泣きたくないのに唇を噛んで堪えても、涙は零れ落ちてくる


「リンク・・・・」

「いつか逃げることも諦めて、ここで生活することが当たり前になったら散歩ぐらい許してあげられるんだけど」


それまで相当時間がかかるものだし、メイナ的にもそこまで堕ちていたら散歩だって望まなくなっているような気がした

縄で縛られた痕が痛々しく残る。涙のあとも消えてはくれない。服も逃げる際にボロボロになりかけていた

それでも逃げたい気持ちはなくならなかったし、リンクの思考回路もいまいち理解できなかった。いくら愛していたからとはいえここまでする必要はないだろうと思ったのだ。リンクなら顔もいいのだから、いい女なんてそこらですぐに見つかるだろう

私なんか捨ててくれればいいのだ

そうして見放してくれれば、私は幸せなのに

裸足に鉄の床は冷たい。暗くて日のあたりも悪くて、若干既に暗いところで目が慣れ始めている

リンクが買ってくれたブーツは大切に履こうと思っていたのに、今じゃお飾りでしかなかった


「大丈夫。ここにいれば幸せになれるから」


メイナがリンクに縋りつくまでが辛いだけ。メイナの世界にリンクだけが居座るようになってしまえば、メイナがリンクを求めるようになれば、確かに幸せにはなれるのかもしれなかったけれど

果たしてそれが本当に幸せを形にしたものなのかと問われれば、それはなんともいえないようなものではあった

キスをすれば吐血し、頬を撫でられればヒリヒリとした痛みが走る。強く足を殴られたら足の骨だって容易く折れた。それはメイナの中にいるもう一人の拒絶反応の影響だったから、どうしようもなくて、けれど痛くてメイナは耐えられそうもなかった。足の骨が折れるのだって限界がある。何回か折れてしまえばもう折れる場所などなくなってしまう

だったらリンクに縋りつくのか。リンクの想いに、例えそれが小さなものだったとしても応えるべきなのか

痛みもそのあとの優しさも与えてくれるのはリンクで、メイナがリンクに泣き叫んでリンクを求めるまでそう時間はかからなかった




back