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昔から不可思議なことが多かった。

しょっちゅう怪我はするし何かしら事故に遭いそうになるし割りと散々な日々を送っていたと思う。おまけに隣に住んでいたリンクという男は勇者になるし私は私でどういう成り行きか城で働くことになったし、前までは想像もしないようなことばかりが起きていた


正直私はリンクが苦手だ


それはやっぱり、ハイラル一美形男子と言ってもいいくらいの顔立ちをしていたり、変に優しかったりするところがそう思ってしまうところなのだろうと思う。リンクの周りにはいつも人がいて、とっつきにくいというのもある

まぁだからなんだって話ではあるのだが、ここ最近安定した生活が送れるようになったのだ。リンクの顔は見てないし会ってもいないが、それでも私は怪我もなく酷い目にあうこともない生活が送れているというだけでリンクのことなどどうでもよくなって、彼のことは頭の隅の隅から外へポイッと捨ててしまっていたのである

何かしら生傷が絶えなかったこの私が!普通に生きているのだ!

それがどれだけ喜ばしいことだろう。痛い思いをしなくてもいい。怖い思いをしなくてもいいのだ。この状況を身近な人間にも知らせたいが、それを言ったところで「いや、あんたそれ普通の生活だから」といわれるだけなのでやめておいた

私にとっては普通じゃなかったんだ。わかってくれください

一人鼻歌を歌いながら長ったらしいこんなに長さなくてもいいだろといいたくなるぐらいの廊下を掃除していたら、後ろから声をかけられた。ラナだった


「おはよう!メイナ!」

「おはようございます。今日はお城へ来られてたんですね」

「そうなの。リンクの稽古に付き合う予定なんだ〜」


頬を染めながら嬉しそうに言うラナに、メイナはなんだか微笑ましくなってラナに応援の言葉をおくった。恋する乙女は誰だって可愛らしいものだ。恋バナだったりそういった話は苦手な部類ではあるが、応援するのはむしろ嫌いなことではない。だからって進んでしようと思うものでもないが、言葉のひとつやふたつはおくって、恋を手助けできたらなぁと思った

それにはまぁ色々と事情があるのだがそれはまた今度話すことにしよう

とにかく私にはラナとリンクにくっついてもらわなければならない理由があるのだ。いやならないというか、なって欲しいという願望というか。二人は美男美女だし別にくっついたって問題ないと思うんだよね。違和感ないよ。あ、ゼルダ姫とリンクでも可

一人そんなことを考えていたらラナはもう既にいなくなっていた。

リンクとの約束が待ちきれないのだろう。私もあんなふうに歳相応の甘酸っぱい恋が出来ればなぁとは思うが、まず私の性格じゃあ甘酸っぱい恋なんて夢のまた夢、恋する乙女なんていう文字通りの恋は出来ないだろう。少なくともラナみたいに片思いなのかは知らないが片思いを満喫できるようなことは絶対にないと思う

だって恋って面倒くさいんだ。だったらなんで恋したいなんていうんだって聞かれそうだけれどもそれは気分であって、本当に恋をしたいかと聞かれたら悩むところではある


「メイナ!おはよう!そして久しぶり!」

「あ、リンク・・・・・ってうおあ!!」


久しぶりにリンクの声を聞いたと思ったら、モップが床を滑ってモップに重心をかけていた私は容易く転んでしまった。しかも滑ったモップの先が水入りのバケツに当たって床に汚い水が広がり、私の髪や服をぬらしていく

ぎゃああまじかよぉおお


「最近絶好調だったのに!なんで!今更!」

「?何が・・・・?」


意味がわからないとリンクが首をかしげて、とりあえず私を起き上がらせたので腹いせに汚い水をかけてやった。リンクは笑顔でそれを受け止めていたが嫌じゃなかったのだろうか




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