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ヤクシャがみたとおりリンクはカカリコ村へと足を運んだ

万が一にもリンクがメイナの傍へ来たところで怪我をすることなどもうないのだが、念のために今日は外出を控えろとメイナには伝えている。ラナはリンクの足止めにむかった。タイミングを見計らってメイナを村から逃がすつもりなのだ

メイナには何も伝えていない。伝えても伝えてなくても状況は変わらないだろうからだ。ただちょっとリンクが村に滞在している間、村の外で散歩してもらうだけで。本当にそれだけなのだから伝える必要もなかった。むしろ伝えないほうがメイナ的にはいいんじゃないかなぁとヤクシャはぼんやり思う


▼△


「あら、リンク」


ラナが偶然を装って近づいたそこには、リンクがきょろきょろと辺りを見渡しながら立っていた。それに顔を顰めたくなるのを堪えてラナは明るく声をかける


「ラナ」

「どうしたの?ここにいるなんて珍しいね」

「あぁ、いや・・・・・少し、探し物」

「探し物?」

「探し物っていうか、話がしたいんだ。メイナが城下町にいないらしくて」


やはりリンクはメイナが好きなのだと再確認せざるを得なかったラナはもやもやした気持ちのまま、リンクの言葉をちゃんと頭にとどめる。リンクはメイナのためならばどこへだって行くし、どこへだって向かうのだ。いいなあ、と素直に思った

そこに、付け入るように嫌な気持ちも生まれる

話程度なら何もメイナを逃がすまでしなくてもいいんじゃないか。ただ話というのが暗いものだったり喧嘩のようなものであって、別にメイナとリンクが顔を会わせたところで何にもないんじゃないかとラナは思う。ヤクシャに言われたはいいがリンクがどこまで歪んでいるのかなんてラナにはわかりもしなかったし、同時に、リンクに恋心を抱いているラナにとって、リンクの嫌なところや欠点など目につかなかった

少しくらいメイナがリンクに会って嫌な思いをしたって、いいだろう

いじめではないが、そんな感じだった。どちらかといえば意地悪、程度の軽いものに似ている気がする

けれどもラナはこの気持ちがいかに駄目なものか、後々になって思い知ることとなった


「メイナならヤクシャっていう男のところにいるわよ?知り合いみたい」

「・・・・・・・・・・・・・・ヤクシャ?」

「知ってるの?ここ数日は一緒にいるみたいだけど」


リンクの眉がピクリとあがる。

ラナはそれをみてはいなかった

ヤクシャの言いつけを破った罪悪感やメイナがこれから少々厄介な目にあうだろうことを予測しては後悔したが、それでもラナはリンクを引きとめになどいかなかった。

ヤクシャはそれを遠めにみてメイナを逃がす


「まぁ百に百の運命だな」


どうせ運命からは逃げられっこなかっただけだ。所詮足掻きではあるが、今からでも平原のほうへ逃がしておこう

メイナへ「少し俺の馬を走らせてきてはくれないか」と頼み、それを了承したのを見届けて、ヤクシャはメイナを家から出した。そのタイミングでリンクが素早くメイナに気がつく。その距離約100mだった

馬にどっこいしょ、と乗りかかったメイナがハッとしたときには、リンクはすぐ傍にまで近づいていた




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