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「あら、カカリコ村へいらしてたんですか?」

「メイナこそ・・・・・どうしてここに?リンクが探してたわよ」


そのラナの言葉に微妙な反応を示すメイナだがそんなことは気にせず、ラナはヤクシャに目をむける。ただものではないと察知したのかメイナに目を向けた


「あの人、誰?」

「ヤクシャさんっていうんです。透視でもなんでも出来る人なんですよ!私の悩みも解決したんです」

「透視・・・・・・?」

「過去をみたり未来をみたりしてもらいました。おかげで助かったんですから・・・・・・・・」


「そんなのありえないわよ」


冷めた言葉だった

落ち着いた雰囲気が漂う部屋のなかが一瞬にして重苦しくなる。ヤクシャさんは珈琲をいれていた手をとめ、私は「え?」と間抜けな声を出した。いつものラナからは想像もできないような言葉の鋭さだった

けれどもヤクシャが透視や未来予知なんかを出来るのは本当のことだ。それは今自分が身をもって知っている。何も話さずともリンクと私の生い立ちも、何もかも透視した部分だけではあるが知っている。それが何よりの証拠だ。誰が好き好んで私とリンクの情報あど集めるのだろう?透視でもしない限りきっと、私達のことなど誰だってどうでもよかった

だから誰も知らないはずなのだ

けれどもヤクシャさんは知っている。それは力を使ったからだ。十分に証拠には成り得る


「昔からトライフォースの均衡を見守ってきた私が見たことない魂だもの。あるはずないでしょ」

「そうか」

「透視でもなんでも出来るんだったらそれは魔法の類なのよ。だから私が知らないはずがないわ。世界を、人々をずっと見てたんだから・・・・・」


「そうだろうな」

「だからあなたみたいな存在はありえないの。一体どこから来たの・・・・・?シアが召喚した人達はみんな帰したはずなのに」


メイナは何がなんだかさっぱりだったので首を傾げれば、ヤクシャが二階に行ってろ、とメイナを追いやる。そこでしばらく沈黙がおりたが、ヤクシャは別にこいつになら言ってもなんともないだろうと判断して口を開いた

もし何かしらあるようであれば世界中のありとあらゆる生き物や人を見たり思い出を宿すという無機物から全て記憶を根こそぎ奪いとってやればいいのだから。神に勝るものなどなし。俺に勝てるやつなんてハイリア様以外早々いないだろう


「シアはお前の片割れだったな。ガノンドロフと共に大層大暴れしていたもんだ。それもハイリア様と勇者たちによって平和になったようだが」

「それが何よ・・・・・そもそもなんでハイリアって名前知ってるの?ハイリアが一体なんなのかわかってるの?」

「たかが女神だろうが。それがなんだ。お前は魔女だろう。お前が俺のことを見たこともないというのならばそれは、俺が上手いことお前やシアの目から隠れて生きていたからだ。神も人間へ格が下げられたからといって力が弱るわけではない」

「・・・・・・・・・・・・・・・・つまり、何」

「つまり、俺は神の側近にあたる存在で、丁度マスターソードが作られた時代にハイリア様と共に人間へと成り下がった者だ。世界のことならなんでも知ってるさ。勇者のことも、姫のことも、その周りの人物の運命も全部。まぁ・・・・・勇者があそこまで歪むとは思っちゃいなかったがな。お前は知らないんだろうが、勇者なんていいもんではない」

「私の気持ちを知ってる上で言ってるのね」

「あぁそうだ。お前は勇者の結末や勇者の全てを見てるわけではないからな。だが安心しろ。勇者の狂気がお前に振りかざされることは一度だってないからな」


今はとりあえずあの娘を守る権利が俺にはある。手伝え

その言葉にラナは眉根を寄せたが「逆らうのか?」という言葉に渋々頷いた。確かに男の行っていることも存在も本物だということを感じ取ったからだ




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