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仕事は休むことにした。急遽メイド長に手紙を送って、数日休暇をもらえることとなり、私はリンクから離れた村にいるのだと思うとどっと疲れが押し寄せてきた。力が抜けるようにしゃがみこむと、ヤクシャさんは「珈琲しかないんだが、いるか?」と立ち上がる


「すみません、もらいます」

「あぁ」


頷いて台所のほうへと行ってしまったヤクシャさんを目で追い、それから外を見る。そこはもう既に暗くなっていて、人々が住む家の明かりが窓からこぼれでていた。ぼんやりとした顔で窓を見ていればヤクシャさんが呟く


「まったく大変なやつに好かれたもんだ」


本当に小さく呟かれた言葉だった。しかし私の耳には悪いのか良いのかしっかりと届いており、ゆっくりとヤクシャさんのほうへ顔を向ける。ヤクシャさんはそれに気がついたのか一瞬だけこちらに視線を向けたが、すぐに手元へと戻した


「どうしてですか?」


そんなにリンクは大変なやつなのだろうか。すぐに諦めてくれるだろうと私は信じているのだが・・・・それともリンクとヤクシャさんは知り合いだったりするのかな


「こちらの話だ。気にするな」

「何か、リンクのこと知ってたりするんですか?」

「それはない」


これ以上は深くつっこむなというヤクシャさんの雰囲気をよみとり、大人しく黙り込む。そうだ。リンクのことはどうすればいいのだろう。何分恋愛経験が豊富なわけでもなんでもない私は、こういったときの対処など準備しているはずもなかった。謝ればいいのか、これからも友達でいてほしいのか、いまいちそれさえもあやふやで少し気分が悪い

本当はこのままリンクと顔を合わせないままリンクの告白自体をなかったことにしたいけれど、それはあんまりだろうとさすがに思った

出来れば人の気持ちを踏みにじるよう行為はあまり、したくない

リンクにも私にもマシであるような、決して良いとは言わないから比較的マシな結末がむかえられるような、そんな状況をつくりたい

けれどもヤクシャさんはそれを言ったら難しい顔をして黙り込んでしまった。やはり何か知っているのだろうが頷きも首を振りもしないヤクシャさんに何も言えず、結局は目の前に出されたコーヒーを啜るしかなかった

「透視したんですか」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「良い結果じゃなかったんですかね」

「透視はしていない。無駄な力は使うべきものではないからな」

「あのですねヤクシャさん。もう、リンクには近づいてもなんともないんでしょう?」

「あぁ」

「ですから明後日に話をつけてこようと思いまして。もう一人の人間がそれを嫌うのならばリンクとは縁をきるのが一番いいでしょうから」


真剣な面持ちで話す女に、ヤクシャはもうどうにでもなれ、と半ば投げやりに「いいんじゃないか」と言った

明後日には丁度リンクがこの村に来るだろう。もちろんメイナが村へむかったという情報を手に掴み次第の話ではあるが、すぐに行き届く大きな情報でもあるまい。明後日ぐらいが目処だろう。ヤクシャはそれも考えて、明日カカリコ村へと来るようにラナを呼んだ

別にラナとヤクシャは知り合いではない。顔も知らなければ名前も聞いたことがない人物のはずだった




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