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丁度一ヶ月半ほど経った頃、メイナは仕事に復帰していた

部屋に引きこもってばかりではお金も入らないし生活も出来ないからだった。リンクに会いたくないとは思うものの、それでも働かなければいけなかったのだ

けれどもしばらく時間が経てばリンクへの恐怖心というものも薄れていっていた

リンクがいなかった一ヵ月半、やはり何事もなく怪我を完治させることができ、メイナはようやっとここで確信して、何がどうであれリンクとは顔も合わせてはいけないと警戒心をもった。日々張り詰めた面持ちのまま生活するのは辛いものではあったが、痛い思いをするとわかっているのに易々とリンクを近づけさせることが出来るかと聞かれれば首を横に振る

幸いなことに面会拒否という突然のことにリンクは驚いていたようだったけれど、それでも理由は聞いてこなかったみたいだし、このまま縁をきることが出来ればと安易な考えを頭に浮かべてしまうほど、リンクはメイナに近づいてきてはいない


「(あぁ、ハンカチ、兵士さんに返さないと)」






城下町に来たメイナは何度も来たことのある雑貨屋へと足を運んだ。ここは可愛らしいものがたくさんあるし、確かハンカチなども置いてあったはずだ。メイナはきょろきょろと商品棚を見渡して、それから布を見つけるとそこへ近づいていく

数ヶ月たっているというのに今更お礼だなんて遅いとは言われるかもしれないが、しないわけにはいかない。本当に、あの真っ白なハンカチは今や血を出来るだけ落として茶色になってしまっているし、新しいハンカチと、それから何かお礼の品を買ってから城に戻ろうと動いた

真っ白な、それでいて端のほうにされている刺繍が可愛らしいハンカチと、お菓子を購入したところでメイナは、ふと、気づく


「占い師じゃ駄目なのかな」


邪悪な気配がどうのこうの、そこらへんのことは占い師ではわからないのだろうか。占いとは運勢や運命を明らかにするものではあるが、そういった、気配らしきものを読むことが出来ないものか

丁度有名な占い師がいることを知っていたメイナはそこへ向かうことにした

出来ないなら出来ないで何か占ってもらおう。気分転換にもなるさ。そんな気持ち。

占い師がいる建物へと足を踏み入れればそこは狭く、少しだけ薄暗い場所だった。色んな意味のわからない道具や置物や飾りがあって、それに目を奪われながらも占い師だろうふくよかな女の人へと近づく


「ようおいでなした。何を占ってほしいんだい」

「え、っと・・・・占いでわかるものかどうかわからないものなんですけど」

「ほう?」

「リンクという勇者の男と、私がどうにもおかしいんです。リンクが私に近づくだけで私は色んな不運に襲われ、身をボロボロにしてしまう。・・・・・・何か原因が、あるのでしょうか?異常なくらいにリンクの傍にいたら怪我をするのです」


占い師は怪しげな笑みを浮かべて私の顔を見た。


「原因が、知りたいのかい?」

「はい。それさえわかれば改善のしようがあるかと思って」

「それくらいなら占い師にだって出来るさ。さぁ、この水晶に手を当てて」


言われた通りにすると、占い師は変な呪文を唱え始める

私はといえば何をするでもなく水晶を見つめて、そこには何も映っていなかったけれど原因がわかるのかどうか、不安げな顔をした私の顔が見えた

少しして閉じていた目を開けた占い師は囁く


「・・・・・結果が出たぞ」

「本当ですか!?」

「残念ながらお主と勇者の仲を改善するのは難しい」

「え・・・・・・・」

「それというのも、」


お主の魂は勇者の魂を拒絶する質のようなのだ。勇者が近づけばお主の魂が嫌がる。詳しいことまではわからぬが、そういった人間の本質的な相性からお主の不運は来ておる




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