「我がまま暴君」
    「にじみ出るエロス」
    「悪魔」
    「歩く18禁」
    「ジャイアン」
    「ちょっと、マーモン! さっきからボスの事なんだと思ってるの!? 殺すわよ!」
    「カナタ。そういう君こそボスを何だと思ってるのさ、自分の事は棚に上げないでくれないかい」

    「う゛ぉおおい、何してんだぁ」
    「「あ、スクアーロ」」


     何日かぶりの休日に、特にする事もなく談話室に足を運んでみればカナタとマーモンが訳の分からない言い争いをしていた。
     カナタの方が今にも飛び掛かりそうだったので、思わず間に入っちまったが嫌な予感がするので正直関わりたくない。

    「今ね、ボスのあだ名を考えてたの」
    「あだ名ぁ?」

     どう考えても悪口を言い合ってるようにしか聞こえなかったんだが、今は置いておこう。

    「カナタときたらエロだの18禁だの言い始めて全然話にならなくてね」
    「それの何が悪いの」
    「前々から思ってたが……お前ボスの事、性的な目で見過ぎだろぉ」
    「だからそれの何が悪いの?!」
    「開き直るんじゃねぇえ!」

     言うが早いか、カナタが掴みかかってくる。
     ちょお゛っ、待て、痛い! こいつ本気じゃねえか! 俺そんなに酷い事言ってねえだろ! やめろ! ぢょあっ、入ってる! 入ってる!

    「そうだ、スクアーロだったらボスにどんなあだ名をつけるんだい?」

     マーモンがそう言えば、カナタによって絞められていた首が解放された。

    「私もそれ気になる! スクはボスにどんなあだ名つけるの? 参考にするから教えて」

     先程とは打って変って表情も明るい。
     どうなってるんだぁ、こいつの頭ん中は。マジでボスしかいねえのか。

    「……っつっても、いきなりあだ名なんて言われてもな゛ぁ」
    「いつも君が言ってるクソボスとかはなしだよ」

     今言おうと思ってたのにマーモンの野郎。
     なんにせよ、先手を取られてしまった以上、真面目に考える他ない。適当に返答したもんなら、またカナタに首を絞められてしまう。何度も何度も絞められてはたまったもんじゃない。

    「うーん、そうだなぁ……怒れる君主とかどうだ?」
    「…………」

     う゛ぉおい、何で二人とも黙るんだ。

    「何それ本気? センスの欠片もないじゃない」
    「何なんだい君は、真面目に考えての答えがそれかい? 期待はずれも良い所だよ」
    「う゛ぉおおい! 聞かれたから答えてやったっつーのに、なんでそこまで言われなきゃなんねぇんだぁ!」

     大体そこまで言う程酷くねえだろ。お前らが言ってたあだ名と言う名の悪口より全然良いだろ。

    「まあ、スクアーロだし仕方ないかー」
    「少し知恵を付けた程度の鮫に期待する方が馬鹿って事だね」
    「マーモンてめぇ! さっきから一言多すぎるだろうがぁあ! 表に出やがれぇ!」
    「まあまあ、落ち着いてよスク。今日の所はお互い様って事で剣は収めて」

     剣を抜くとすかさずカナタが仲裁に入ってくる。しかしお互い様とはどういう事だ。どう考えても今の流れからして、俺は悪くないだろう。本当にこいつの頭ん中はどうなっていやがるんだ。

    「でもさー、スクアーロは良いよね。ボスにあだ名つけてもらえてるんだから」
    「あ゛あ? 何の事だ」
    「僕も初耳だよ。彼にあだ名なんてあったかい?」
    「何言ってるの二人とも。スクって、いつもカス鮫って呼ばれてるじゃない。良いなー私もあだ名つけてもらいたいなー」

     え゛えええー何言ってるのこの子ぉおおお

    「待て待て待て待てぇ! 全然良くねえし、そもそもあれはあだ名じゃねえ! 悪口だろうがぁ! お前なにふざけた事抜かしてんだ!」
    「はあ!? ふざけてんのはスクアーロじゃない! ボスにあだ名つけてもらってそれで呼んで貰えるのよ!? どんなあだ名だとしても喜ぶべき所でしょ!」
    「そうだよ、カス鮫。良かったじゃないか、素敵なあだ名がもらえて」
    「テメェは黙ってろ!カスガキ!」
    「ちょっと! マーモンの事カスとか言わないでよ! カス鮫!」
    「な゛ら俺をカス呼ばわりするのは止めろぉおお!」
    「ボスにつけて貰ったあだ名に文句つける気!? あんたちょっと、欲張り過ぎよ!」
    「んな事言ってぇ、テメェだってボスにカス呼ばわりされたら嫌だろ!」
    「嫌じゃないよ、寧ろ本望だよ! ボスに特別扱いしてもらえるなら、私はメス豚痴女呼ばわりされても全然受け入れるよ!」

     え゛えええー何言ってるのこの子ぉおおお
     流石にドン引きしていると、マーモンも同じ気持ちなのか、ゆっくりとカナタと距離を置いていた。

    「カナタ……流石にそれは、アウトだよ。君はもう少し自分を大切にした方が良いと思うよ」
    「俺から振っといてなんだがよ、せめて想像の中ぐらいではポジティブに行こうぜぇ……」
    「ちょ、何で二人ともそんな目で私を見てるの?私変な事言った!?」
    「寧ろ最初から変な事しか言ってないよね」
    「えええええ!?」



    日も女はフルスロットル!




    (はあ、ボスに蹴られたいなあ……)(お前結局最後はいつもそれだな)
    (2011.05.02)

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