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▽ G拒否権なんてなかった※


「甲斐、甲斐、ずっとこうしたかった」
「や、め……正岡ぁ」

 焔が動く度に、淫猥な水音が部屋に響く。耳を塞ぎたくても甲斐の両腕はしっかりとベッドに繋がれていて叶わなかった。
 痛みはない。だが、強烈な違和感だけは拭えなかった。大きく足を広げさせられ、焔のものを呑み込まされる。奥を突き上げられる度に内臓が悲鳴をあげそうになる。

「も、やだ」

 ずっとずっと、やめてほしいのに。内臓をかき回され、激しい抽挿に、うまく呼吸ができない。苦しくて苦しくて涙が出た。
 それに気づいた焔は、涙を舐めとる。

「……美味しい」
「へんたいっ」

 どうしてこんなことになってしまったのか。考える余裕なんてなくなっていた。

 
  ※※※

 付き合うことに拒否権なんてなかった。焔がフレイムに変身しなくなるのでは今までの甲斐の努力が丸潰れだし、仮にそれを我慢できたとしても甲斐の正体を知られているのがまずい。
 これ以上道端で話しているとお互い不味いだろうということになり、焔のマンションで続きを話そうということになった。

 ――これが、間違いだった。

 出されたお茶に睡眠薬を入れられていたらしく、気がつけばベッドに運ばれており、両腕はしっかりとベッドに縛り付けられていた。
 ……展開が早すぎてついていけない。

「だって、放っておいたら甲斐は逃げるだろ?」

 だから先に既成事実を作ろうと思ってと悪びれた様子もなく甲斐の腹の辺りに跨がった焔が告げる。
「どうせ甲斐は俺が甲斐のことをからかってるって思ってたんだろうけど、本気だから」
 そのまま、焔の顔がどんどん近づいてくる。
 ぶつかる、と。反射的に目を閉じた。
 頭突きでもされそうな気がして、そのまま額に来るであろう衝撃を待った。

 柔らかな衝突が起きたのは、唇だった。

 驚いて目を開ければそこには焔の目があった。甲斐の一挙一動を見逃すまいと、こちらをじっと見ている。目をそらしたいのに、そらせない。
 焔の唇は離れたと思えばまた角度を変えて触れあってきた。ちゅ、ちゅ、と何度も可愛らしい音を立てて、離れては、重なる。

「甲斐、可愛い」

 耳元で囁かれると腰が甘くしびれる。
「明日は学校休みだし、うちに泊まっていって」
 おねだりするように可愛らしく首を傾げながらもこちらの否定は許さないとその目が言っていた。
 ここに、と、焔が ズボンの上からそこを撫でる。
「溢れるくらいしよう。俺の形を覚えて、ずっと入れてないとたまらなくなるくらい何度も」
 また唇が触れる。と、ぬるりとしたものが甲斐の唇を撫でる。焔の舌だと気づいた時には、それはもう口内に入り込んで甲斐の舌を絡めとっていた。舌を絡め、上顎をくすぐり、焔の唾液が送り込まれてくる。どんどん送り込まれてくる唾液は口内に溜まり、口の端から外にこぼれ落ちていく。それが気持ち悪くてなんとか飲み込むと、焔は嬉しそうに甲斐の頭を撫でる。
 シャツのボタンを外されて、中に着ていたTシャツの上から右胸を撫でられる。くすぐったさに身をよじると、強く摘ままれた。
「いたっ」
 二度三度、強く摘ままれたと思うと、今度は尖った先をつんつんと優しくつつかれる。
「甲斐の乳首美味しそうだね」
 服の上から口に含まれる。左胸の部分だけTシャツが濡れて気持ち悪い。焔は夢中で左胸を舐める一方で、右手を使ってTシャツを捲りあげていく。
「ん、」
「ああ、綺麗だ。それに尖って可愛い」
 男の乳首に可愛いも何もないだろう。
 左側だけ焔の唾液のせいでねっとりと濡れており、光を反射してどこかエロチックに見えるのが恥ずかしい。
 真っ直ぐ見てくる焔の視線に耐えられず、目をそらす。
 こんな焔は知らない。
 甲斐が知っている焔は、ただのイケメンで、親友で。いつだって優しく笑っていて。こんな風に、甲斐をギラギラした目で組み敷くような男ではないはずなのに。



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