版権2 | ナノ



どうやらこれは道に迷ってしまったらしいぞ、と少年はいよいよ観念しました。
森に入ってはいけないよ、神隠しにあうからね、なんて見知らぬ老人に言われたのに。そんな忠告気にもしないで入り込んだ森の中。さあ戻ろうかと振り返ったものの、どちらから来たのかさえ、わからなくなってしまっていたのです。

兄弟たちは今頃どうしているのでしょうか。少年1人いなくなったことになんて気づかずに遊んでいるに違いありません。両親もそうです。気づいたとしてさて誰がいなくなったのだろうと、すぐにはわからないことでしょう。
それがいつものことだと、少年は知っていました。彼らはよく似ていたから。彼ら自身でさえ誰が誰だかわからないのに、それを彼らではない両親が見分けることなんて出来っこないと思っていたのです。

それに、いなくなったのが少年だと気づいても、イタズラと思うかもしれません。



「ぼくなんて、いてもいなくても一緒なのかなあ」

つぶやいてみればそれはとても悲しい響きを持っていて。
少年が泣き出しそうになった時、


「じゃあ、ぼくにちょうだい」


誰かがそう答えた気がしました。






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