版権2 | ナノ




俺、松野カラ松は大ピンチを迎えていた。
先日チョロ松と話している時に「一松に腐男子を隠し通す」と宣言した俺は、よりいっそうストレスを溜め込みつつも萌えを我慢し、時折チョロ松に吐き出しては日々を乗り越えていた。
だというのに、明確すぎる物証が、今、目の前に転がっていたのである。


これが、とてつもなく、やばい。



その前にどうして『それ』がここにあるか、だ。俺がトト子ちゃんからまた返してもらい、読んでいたからに他ならない。こんなところに置いた記憶はないが、隠していたものを兄弟の誰かが引っ張り出してきたのかもしれない。誰だそんなことをしやがったのは。
それよりも一番の問題は今、それが、俺と一松の前に置いてあることだ。

違うんだこれは、と叫びたい。でも変に否定しても怪しい。すごく怪しい。そもそも一松にはそれがBLだと気づいてないかもしれない。そして何もなければ俺のものだとはまずわかるまい。だとすればここで妙な行動をとるのはまずい。

いや待てカラ松。あの表紙を見てみろ。俺が本屋であんなに勇気を出して手をのばした本だ。男2人が妙な距離感で並んでいる表紙。あれはどう見てもホモではないのか? 一般人から見たらどうなんだ? セーフなのか?
そっと隣を盗み見れば一松が固まっている。や、やはりアウトなのか。まずい。すごくまずい。
どうしたら自然な非腐男子を演じられる? 踏むのか? いや、ダメだ。あの方は神だ。俺が足蹴にしていいような存在じゃない。無理。

どうしよう助けてチョロ松!



「あ、一松にーさん、さっき落ちてたよー」


と、突然現れた十四松が落ちていたそれを拾い上げ、一松に渡した。
え。


「え」


俺のじゃなくて、一松の……?





*前 次#


TOPへ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -