版権2 | ナノ




※ヒラが腐男子


※派生たくさん絡ませたいためだけに書かれた中途半端な話


※ドン(イチマツ)×ヒラ(カラ松)

班(一松)マフィ(カラマツ)

幼なじみ保(市松/いっちゃん)バス(唐松)

と、書き分けてます











就職して変わったことといえばなんだろう。

まず睡眠時間が減った。食事が不規則になった。

体重も減った気がするし、頬もこけてずいぶんと不健康な見た目になっているらしい。


じゃあ変わらないことは?

起きてまず見るものがピクシブであること。

どんなに時間がなくても妄想する時間は作り出すこと。というか自然に生まれてしまうのだから仕方ない。

それから、直接本屋で買うことは恥ずかしいからとAmazonから大量のBL本が届くこと。


休みの日には思う存分BLの世界に浸ること。


こうして考えてみると就職前と何ら変わりないのかもしれないなあとのんきな社畜は考えた。

悲しいことと言えば妄想や読書にかける時間が減ったことや、最新のアニメを追いかける気力もないことだが。それでもカラ松は一つのジャンルに長くいる方だし、創作する側でもないのでそこに更に締め切りなんて修羅場を抱え込む心配もない。

むしろ最近は萌えることが身の回りに多すぎて呼吸困難になりそうなので。まあ、それなりに幸せだと思う。






※徹夜1日目※ 班マフィの場合



「ごめん、もう一度言ってくれないか」


友人の言葉が耳にうまく引っかからずにどこかへ通り抜けていく感覚がして、思わずそう言った。


「や、だからマフィアに住み着かれて困ってるんだって」



その日カラ松は珍しく高校時代の友人と飲んでいた。というのも友人の方から「相談がある」と誘ってきたのだ。友達の少ないカラ松はそんなこと言われたら「俺にできることなら何でもするぞ!」と答えてしまうのである。

友人の名を松野一松。カラ松と名前がそっくりな彼は不思議なことに親戚でも何でもないのだが、クラスが同じになったときに妙に気が合ってからそれなりに長い付き合いがある。

カラ松がブラック企業に就職した一方で一松が就職したのはブラック工場だった。そこで班長にまでのぼりつめたという一松はすごいやつであると思っていた。そんな一松からの相談とはなんだろうか。仕事のことだとしても平社員のカラ松が答えてやれるとは思えない。まず職種が違うし。

そんな心配をしながらもやってきた居酒屋で、一松は妙な話を始めた。




うちの寮知ってるでしょ。そうそう、あのぼっろいやつ。工場からそこに帰る途中でふと路地を覗き込んだの。別にいつもそうしてるわけじゃないんだけどあの日はそうしなきゃいけない気がして。猫でもいるのかと思ったんだけど。

猫はいなくて、代わりにスーツの男が倒れてた。

関わっちゃいけないやつだなって思ったんだけど、その日の俺はどうかしてたんだよね。なんせ十四連勤終わったところで今なら何でもできる気がしてたからね。あ、カラ松も十四連勤終わったとこだったの? ごめんねこんなくだらない相談に付き合わせちゃって。え、くだらなくないからさっさと話せ? わかったわかった。

それでスーツの男なんだけど、なんか怪我してたみたいで。ぐったりしてたけど息はあったから呼び掛けてみたの。救急車呼びましょうかって。俺ってお人好しだなあと思った。

そしたら消えそうな声で「絶対に呼ぶな」って言うの。ああこれ面倒くさいやつだなあとは気づいてたんだけど、気が大きくなっていた俺はそいつを抱えて寮まで連れて帰っちゃったわけ。

ナイフかなんかで切られた傷がいくつかあったけど、そんなに酷いものじゃなかった。殴られて痣になってるところはとにかく痛そうだったなあ。それを簡単にだけど手当てしてやった。たぶんこの人はカタギじゃないんだろうと眠い頭で考えて。でも、まあ、眠いから、まあいいかって感じで、そいつをうちの煎餅布団に寝かせ、俺は畳でそのまま寝た。痛いっちゃ痛いけど、うちの布団ぺたんこすぎるから畳で寝てもあんまり変わらないという発見もあった。


それで、朝だ。起きたらその男のドアップ。「どういうつもりだ」なんて拳銃を向けられる俺。あ、死ぬのかな、死ぬ前にこんなブラック工場やめてのんびり暮らしたかったなあと考えてたら、そいつが俺の手当てした跡に気づいた。下手くそに巻かれた包帯だとか、自分が寝かされていた煎餅布団を見て、

「たすけて、くれたのか?」

先程向けられた射抜くような目とは違う。どこか不安そうな、すがるような目。

それで俺は、


「元気になったんなら帰ってくんない?」







「なんでだよ」

「えっだって人に銃突きつけるくらい元気ならもうよくない? 俺十分よくやったよね?」

「いやそこは『怪我が治るまでいれば』って素っ気なく言うだろ。そいつの怪我が良くなるにつれて一松がそいつに惹かれてくところだろ」

「……カラ松まだ腐男子卒業してなかったの」

「俺は卒業する気はないぞ。それで、続きは? 住み着いてるって事はまだあるんだろ?」

「……わかったよ」





そいつはまだ傷が痛むとか、追われているからしばらく匿えだとか言ってきた。俺が命の恩人と気づいてからはもう銃は仕舞っていたけど、命令口調。でも目はこちらに助けを求めてくるように見えるから不思議だった。

傷を負った肉食獣っていうのかな。そんな感じがした。周りを警戒しながらも弱っている姿を隠せない感じがどことなく放っておけない気がして。まあ、ここにいていいって言っちゃったんだよな。


でも、そもそもこいつ何者なんだろうと思って聞いたら「ああ、俺か? 俺はマフィアさ!」と親しげに答えるのだから俺は数秒前の自分を殴りたくなった。

やっぱりカタギじゃなかった!


「……怪我が治るまでだからな」

「ああ!」










「って話が半年前にあったんだけどそいつまだうちにいるわけ」

「半年!?」

「いやもういくらなんでも治ったよなって思うんだけど、なんか『治ってない』って」

「いやどう考えても嘘だろ」

「俺もそう思うんだけど、出てってくれなくて」


それでお前に相談したくて誘ったんだけど、と言われて。

それで一松の言いたいことは大体わかったけれど。でもこれはカラ松が腐男子だからとかじゃなくて当たり前な疑問があって、


「一松」

「なに」

「お前本当に困ってるのか?」

「困ってますけど」

「なんで追い出さないんだ?」


本当に困ってるなら追い出せばいい話だし、半年も経っているのにまだ傷が痛むとか嘘に決まってる。いや、怪我によっては有り得るけれど手当てをした一松が嘘だと思うということは、まあ、嘘だろう。


「俺にはお前が困っているようには見えないけどな」


そう言うと一松は不満そうに唇をとがらせた。










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