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「一卵性の六つ子ですって。漫画みたいな話ね」

一松と名付けられるはずの何かは母の声に耳をすませていた。
神である力はすべて失ったけれど、前世で願ったことは叶ったようであった。自分をただの人間に、今度は本当にこの五つ子の仲間として、ただの六つ子の1人として生まれること。兄弟たちはもちろん前世でと同じであること。

――今度は本当に、カラ松の弟として、十四松の兄として生まれてくること。

この記憶はきっと母の胎内から外に出る頃には失われるだろうけれど。そんなものはいらないし、一松にはわかっていた。
記憶なんてなくても一松の魂はカラ松の魂を好きにならずにはいられないだろう、と。






前世よりもずっと素直じゃなくなってしまった一松が、鈍感すぎるカラ松と結ばれるには、やはりとても時間がかかったのだけれど。





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