短編 | ナノ 「でも、これ、なんですか?」*




ぱくぱくと口を開くが思い浮かぶ文句は音に成らなかった。

たしかに女の子とは言ってないが男の子とも言ってないだろう。何で女子高生の格好だったんだ。女装癖でもあるのかこの変態。
……最後の一言は音に成らなくて正解かもしれない。むやみに相手を興奮させても良いとは思えない。


「ていうか、俺も男の子なんだけど」


どうにか一番大事なことは言えた。


「わかってますよ」


少女……少年は微笑みながら柊のそこを撫で、ゆるく握り込む。

「……っ」

身体が、跳ねる。
ごまかそうとしていた熱が、意識を朦朧(もうろう)とさせる。

ファスナーが下ろされ、あらわになった下着から自身を取り出された。服を着たまま勃起させた個所だけを少年に曝しているのだと考えるとそこにまた熱が集まった。
嫌悪感は、不思議とない。格好が格好だからだろうか。
ただ股の間に押し付けられた違和感だけが拭えない。


ゆるく2、3度扱かれると吐息が漏れた。鼻にかかったような、自分にしては若干高い声には、正直に気持ち悪いと感じさせられた。


「……やめろ」

「ごめんなさい、女の子じゃなくて」


口では謝っているくせに楽しそうに笑う。

今度は着ていたシャツのボタンを外される。現れたTシャツは胸元までたくしあげられた。
そういえばコートは見当たらないから、眠っている間に脱がされたのだろう。ふと思った。

と、痛みが走った。少年が乳首に歯を立てているのだと気付くと同時に、今度は彼はそこに舌を這わせてきた。
甘く噛まれ、舐められる。舐められては噛まれ、思い出したように強く、弱く、吸われる。少年はしつこくその繰り返しをしてきた。
すると、だんだんそこが敏感になってくるのがわかった。吸われたり噛まれたりなぶられている内に甘い声が漏れ始めた。


「……やめろっ」


男としては先程よりずっと嫌だ。なのに少年は柊が一番気付きたくなかったことを楽しそう指摘してくる。

「でも、これ、なんですか?」


再びゆるく握りこまれたソコは、確かに濡れ始めていた。




- 19 -


[*前] | [次#]
ページ:




TOPへ
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -