彼はそれを愛と言った | ナノ 計画


俺がオタクとカミングアウトしても友達でいてくれる野村は本当にいいやつだと思う。というか気付いていたのに態度を変えずに友達続けてくれていたという事実に感動した。
野村と本当に友達になれたような気がした。
……俺が、野村を友達と信じて疑わないようになれた。


相変わらず授業中は寝ているけれど。
更に言えば俺のノートをあてにしているけれど。
まあそれはバイトの疲れとかだろう。しかし何故彼はそんなに働かなければならないのだろうか。

「お前さあ」

ふと、疑問を口にする。

「何で貧乏なの?」


口にしてから悪いことを聞いてしまったかな、と後悔した。けれど野村はこちらが肩透かしをくらうほど軽く答えた。


「親父とお袋が失踪したから」


……何そのある意味ドラマチックな展開は。


「………………マジで?」


やっとそれだけ口にすると野村は「マジだ」と言ってのけた。
しかしそうなるとあの家は野村のバイトの収入だけでやっていっているのだろうか。学費とか給食費とか大丈夫なのだろうか。食費だけでもあの人数ではやばいだろうに。


「まあそのうち帰ってくるって」


……そのうちってのんきすぎるだろ。




こうして俺が弁当を作っているから野村の昼代はなんとかなっているわけだが、育ち盛りの子供たちがそのうち……う、飢え死にとかしたらどうしよう。


――そして俺はとある計画を実行することにした。




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