版権 | ナノ
白雪姫(忍たま・小松田×長次とかいろいろ) [ 169/196 ]
あるところに小松田くんという青年がいました。小松田くんは何かと鈍くさいので色々と面倒を見てもらっていましたが、これといって気づいている様子はありません。あと、彼はとりあえず配役上では白雪姫ということになっています。
「白雪姫、白雪姫!」
継母役の鉢屋三郎くんが小松田くんを呼びました。ちなみに例の如く雷蔵くんの姿です。
「何ですか、義母様」
「私の兎を捕まえておくれ!」
鉢屋義母さんは小松田くんを苛めているわけではありません。彼はそんなことより兎の雷蔵くんを構うのに夢中でした。
「あの森に行ったようなんだ」
「はーい」
小松田くんは兎を追いかけました。
「……あれ、雷蔵」
「ん?どうかしたか、三郎」
「……まあ、いっか」
いつの間にか雷蔵くんは鉢屋義母さんの背後にいました。が、鉢屋義母さんはこれといって気にせずに小松田くんを見送りました。
……さて、そんなことは露知らず、兎を探す小松田くん。森の中をうろうろと歩き回っています。
「うさぎさーん」
そんな風に探したところで見つかるはずもありません。
小松田くんは兎を探しながらどんどん森の奥に突き進んでいきました。最初は人の通る道を通っていたはずなのにいつの間にか獣道を歩いています。本人は全く、これっぽっちも気づいていないようですが。
「うさぎさーん!」
何度も名前(?)を呼びながら進んでいると、急にお腹がすいてきました。そこで辺りを見回すと、木の実を見つけました。美味しそうなその実に、小松田くんはかぶりつきました。
「……ん〜……美味しい」
「あっ!……その実は!!」
誰かの声が聞こえてきたその時、小松田くんは意識を失いました。
……さて、場面は変わりまして、こちらは森の中にある小屋です。そこには七匹の子ヤギ…又の名を七人のこびとの一年は組のよい子達がいました。七人じゃないですがね。
「土井先生まだかな?」
「遅いねー」
「迎えに行こうか?」
「駄目だよ、僕たちには使命が在るじゃないか」
「それもそうだね」
果たして、は組の使命とは?
まあ、いずれわかることでしょうから置いておきます。ほどなくして、扉が叩かれます。
「土井先生、開けてください」
狼・利吉さんでした。は組のみんなは声をそろえて答えます。
『土井先生はいませーん!!』
「……その声は」
「ぼく」
「たち」
「いち」
「ねん」
「はぐ」
「みの」
「よい」
「こた」
「ちで」
「ーす」
「まる」
※【僕たち一年は組のよいこたちでーす。】と言っています。
「……その喋り方はやめてくれないかい?」
「ええ」
「てん」
「この」
「ほう」
「がみ」
「んな」
「はな」
「せる」
「から」
「いい」
「のに」
※【ええ、この方がみんな話せるからいいのに】と言っています。
「聞きづらくてかなわないんだが」
「でもて」
「んたの」
「しいん」
「ですよ」
「これい」
「がいと」
「あたま」
「つかう」
「んです」
「からね」
「はてな」
※【でも、楽しいんですよこれ意外と頭使うんですからね?】と言っています
「とにかく開けてくれないか」
「とらだ」
「|ため」
「かので」
「|ます」
「たれど」
「いたい」
「じんせ」
「なでん」
「んすせ」
「で!い」
「すすか」
※【駄目です土井先生から頼まれたんです!ストーカー退治なんです】と言っています。
「誰がストーカーだって!!?」
『利吉さーーん!!!』
利吉さんは頭を抱えてしまいました。
そうしてる間にも容赦ないことばが続きます。
「大体何だって僕らが痴話喧嘩に巻き込まれなくちゃならないんだろう」
「担任がもてると何かと面倒だよね」
「その上天然だし」
「利吉さんは年下だから焦っても仕方ないよね」
「うん、でも利吉さんだって大人げないよ」
「土井先生もね」
「先生がこの家追い出されるのも時間の問題だけど」
「その時のために金づるの一人や二人捕まえておいた方がいいのにね」
「あ、でも追い出されたらきり丸はどこで暮らすんだろ」
「やっぱり土井先生が連れてくんだろうね」
「利吉さんは二人も養っていくのか」
この子達、最早井戸端会議を始めるおばちゃんです。
利吉さんのこめかみには青筋が浮かび上がっていました。
が、そのとき……
「ただいまー」
我らが土井先生のご帰宅です。
「せんせー遅かったですね」
「ああ、それより手当てしなきゃ。乱太郎、きり丸、しんべヱ、森に行って伊作くんを連れてきてくれ」
「先生、どこか怪我なさったんですか!?」
「いや、この人が毒の実を食べたらしい」
「ど、毒の実!!?」
「早く連れてきなさい!!」
「はーい!!!」
利吉さんの存在は完璧に無視されていました。
さて、伊作くんの配役は王子様です。一応言っておきますがこの話は伊コマではありません。コマ伊でもありません。
「こういうときは心臓マッサージだよ」
いえ、まだ息はしてるし心臓も動いているのですが…
というか、早く毒を中和させてやってくれませんか?
伊作くんが小松田くんに近づいたその時…
「狼はどこだー!!」
現われたのは猟師・文次郎くんでした。
「あ、文次郎v」
伊作くんはぴょんと小松田くんから離れ、文次郎くんに駆け寄りました。
「――!?く、来るな!!人の皮を被った狼!!!!!」
「酷いなぁ。僕、王子だよ?」
「うるさい、来たら撃つぞ!!」
文次郎くんは怯えたように走り出しました。伊作くんは包帯片手に文次郎くんを追いかけます。
「あ、伊作王子の家来役、中在家長次先輩」
「………」
「先輩、心臓マッサージやってただけませんか?」
しんべヱくんは長次くんの背を押し、小松田くんに近付けました。
が、……
「……!」
「あ、」
しんべヱくんの力が強すぎたのか、長次くんは勢いあまって小松田くんの横っ腹を蹴り飛ばしてしまいました。
「ゴフッ」
「あ、生き返った」
「…………」
蹴り飛ばした小松田くんの口から、毒の実の欠片が出てきました。
「あれ?……ここどこ?」
小松田くんは辺りを見回しました。すると、目の前にいた長次くんの顔が目に入ります。
次の瞬間
「あれ、真っ赤っかだ」
長次くんの顔と、小松田くんの顔が真っ赤に染まりました。
「君、名前は?僕は小松田秀作」
「………」
「え、中在家長次っていうの?良い名前だね!」
「……///…」
「あの……僕の」
何やら盛り上がって来ちゃいましたが
「僕のお嫁さんになってください!!!!!!」
………
はい?
「………(こくり)」
………
………
ええと、すみません。ナレーター能力に限界を感じてまいりました。……まだやらないと駄目ですか?――はい、わかりました。
先ほどの発言【僕のお嫁さんになってください!!!!!!】は小松田くんの台詞です。どうにも長次くんに一目惚れしてしまった模様です。
その後無言で頷いたのが長次くん。彼もまた、小松田くんに一目惚れしてしまった模様。
つまり、両思いです。
二人は手を取り合って二人だけの場所を求めて旅立ちましたとさ。
めでたしめでたし。
―end―
……の前に
「土井先生、私が悪うございました。……いいかげん許して頂けませんか?」
「よーし、みんな、授業やるぞ」
『はーい』
「土井先生〜!!」
バカップルになりそこねた方がここに
こっちにも
「文次郎〜〜〜!!!」
「来るな!!寄るな!!あっち行け!!!!」
それでは今度こそ
―END―
桃茶さん、大変遅くなりました(>_<)その上こんな馬鹿話ですみません(汗)
片思い色強いですねー
[*prev] [next#]
TOPへ