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青空の彼方(レファライ) [ 53/196 ]

王というものは大変だ。どれだけ民のためにと頑張っても、民から崇められる立場にある。それはシオンが望む王の形ではないのに。

それに反してこの男──レファルは民の視点に立っている。…というか民と同じ立場というべきか…


「何考えてるんだ?」


ライナが珍しく考えごとをしていると顔を覗き込まれ、驚いて目を見開いた。その視線の先には桃色の髪をしたガスターク王、レファルがいる。


「別に」


覇気のない声で答えれば、おかしそうに笑われる。

「…何だよ」
「いや、別に」

彼はライナの肩に手を置くと、笑いながら囁いた。

「せっかくの美人サンが悩みごとなんてするもんじゃない」
「…いや、男に美人って言われてもぶっちゃけキモいだけだから」
「Σ酷っ!今のは傷ついた!!──じゃあ慰謝料代わりに俺の目下のところ最大の悩みを教えてやるから解決してみせろ」
「…どうしてそうなるんだよ」


ライナはため息を吐くとレファルの言葉に耳をかたむけた。


「俺は一国の…それもガスタークの王だ」
「んなこと何度も言わなくても…」
「が、お前は魔眼の持ち主だ」
「……」
「ロミオとジュリエットみたいだろ?」
「アホか」
「う゛…とにかく、そんな二人はどうやったら結ばれるかってことだ」
「そんなの…」
「?」
「………」


そんなの、簡単で、救いようのない方法が一つあるだけ


『あの空の遙か彼方まで共に逃げればいい』



「ライナ?」
「…何でもない」




「まあ、ここは俺が王の権力で…」
「見たところまったく無いな」
「………」



ライナはレファルのそばから離れると、芝生の上に寝転んだ。



青空の彼方


そこには本当に幸せなんてあるだろうか?



─END─

‡配布元:銀ノ弾丸
‡URL:http://pksp.jp/silver-bullet/
10題1


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