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トリックオアトリート!(銀土、学園物) [ 29/196 ]
「トリックオアトリート!」
「…………」
いざ、教室から出ようとしたその時、クラスメイトに捕まった。
「何だよ坂田。俺ァもう帰るんだよ」
「うん、だから一緒に帰ろーぜ。でもってトリックオアトリート!」
何故一緒に帰らなければならないのか。そしてやはりその呪文めいた言葉を繰り返すのか。
「一人で帰る」
「帰りたいなら菓子寄越せ」
「脅迫なら他のヤツにやれ」
「えー銀さん土方君から菓子貰えないとこの日まで生きてた意味がパーになっちゃうんですけどー」
「ウザい喋り方すんな」
足早に廊下を歩くが坂田もしつこく後をついてくる。本当に一緒に帰るつもりらしいし、土方が菓子を寄越すまでついてきそうだ。
「まあ土方が菓子持ってるなんて有り得ないし、悪戯決定?土方ン家で悪戯と称してあんなことやこんなことも……」
「口に出てるぞ」
気持ち悪いくらい楽しそうな坂田を見ながら、土方は足を止める。
坂田も不思議そうに足を止めた。
「どしたの」
「ほら」
「へ?」
土方はポケットから取り出したチョコレート菓子を坂田に握らせる。
ポカンと口を開けたまま突っ立っている坂田を置いて、土方は歩き出した。
(テメーの考えくらいお見通しなんだよ)
さあ、感謝して味わうがいい。
(土方が菓子くれた!)
(うそうそあのイベント事なんて知ったこっちゃねぇって感じの土方が菓子!)
(でも普段菓子なんて持ち歩いてるやつじゃないし!)
(これってやっぱり俺のため!?)
トリックオアトリート!
(来年もお菓子ちょーだい!)
‐END‐
両思いなのか片思いなのかよくわからん
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