ダメダメ戦隊 | ナノ 第1話 D戦隊は今日も行く





「出たな最強の敵!」
「俺たちの町に現れたのが運のつきだったな最強の敵!」
「たたき潰してア・ゲ・ル」
「頑張れ」
「どうでもいいけどやるならあっちでやってよね。埃っぽくなるんだからぁ」







5人組のヒーロー。それは日曜日の朝にしか存在しない。

あんな派手な格好で恥ずかしげもなくポーズをつけるのも、クサいだけの台詞をスラスラと言ってのけるのも、あれがテレビを通した別の次元の話であるからであって決して日常には存在し得ないのだ。そもそも敵自体居ないではないか。


ところがこの町にはヒーローが居た。ちゃんと5人組で、強大な敵と戦うヒーローが。


   D戦隊は今日も行く






「とうっ!」
「く…」
「…きゃっ!?」
「………まあ頑張れよ」
「ちょっとぉ、もっとあっちでやってってばぁ!」





5人組が強大な敵と戦っている。
チームワークはあまりよくないらしく、苦戦しているようだ。5人の服装はてんでバラバラだったが、その顔につけられたお面は統一されていた。例の、日曜日の朝によく目にする類のヒーローの物である。当然というか何というか、色違いで5種。
それによると話していたのは上からレッド、イエロー、ピンク、ブルー、グリーンである。ピンクとグリーンは女性らしい。


やがて赤いそれをつけたリーダーらしき男が叫ぶ。



「ブルー!グリーン!とっとと加勢しないか!!」

「え、やだ。面倒」
「あたし、ピンクじゃないなら何もしないって言ったもん。だいたい何であたしがピンクじゃないの?」


ブルーは心底面倒そうに、グリーンはいつもの高飛車な物言いで返してくる。それに沸点の低いレッドが怒るよりも先に他のメンバーが反応する。



「いいからとっとと加勢しなさいよこのお荷物!」


そして、ピンクが叫んだ。

が、深いスリットの入ったピンク色のチャイナ服に身を包み、口調も女性らしいのに、何故かその声音には首を傾げる要素が含まれていた。


「何よ。オカマがやるよりあたしがやった方がいいに決まってるじゃない。そんなこともわからないの?おっさん」
「何よ誰がオカマよおっさんよ!!」



――声が、低い。



「ンなことは良いからとっとと倒せば?」



「「「「お前に言われたくないわ!」」」」



いや、これもある意味チームワーク抜群と言えるかもしれない。この息の合い方。

傍観者を決め込んだブルーは近くにあったベンチに寝転ぶ。

「ま、頑張れば?」
「「「「だからお前が言うなっ!!!」」」」



結局グリーンも加勢して(ブルーは傍観し続けていたが)再開した『最強の敵』とのバトル。
最強の敵。それは闇のように黒い羽を生やし、目でもえぐりだすために存在するかのような鋭い嘴を持つ。
謂わば悪魔のような外見である。


「うわっ」


鋭くとがった爪がイエローのタンクトップを引き裂く。



「イエロー!!」





イエローは地面にバタリと倒れ込んだ。レッドたちに緊張の色が走る。


「…ブルーとイエローの仇だ」
「……やってやろーじゃねーか――あら、いけない私としたことが」
「二人の仇ぃ!!」



そもそもブルーはやられてなどいないし、イエローも気絶しただけで傷一つ負ってなどいないのだが、そんなことは関係ない。彼等に必要なのは強烈な『思い込み』でありそれが彼等を動かしているのである。


「「「我等感興戦隊Eコ(エコ)レンジャー!」」」





「はい、福島です。あ、店長。今から?暇なんで大丈夫です」








「飛んだぞ!」
「きゃぁっ」
「いやん」

「カー」






「アイツらホント……面白いよなぁ。烏相手に」






そしてブルーはバイトへ向かった。

4人がそれに気付くのは……烏が仲間を呼びに飛び立った後のことになる。








負けるなEコレンジャー
今日も明日も明後日も、敵と戦えEコレンジャー

その先にきっと、君達の望んだ世界が待っている






また来週!



-END-



- 4 -


[*前] | [次#]
ページ:


TOPへ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -