ダメダメ戦隊 | ナノ
第0話 Eコレンジャー結成
『俺はレッドだ。お前はブルーだ』
「は?赤と青が何?」
彼は知らなかった。
この電話で全てが始まろうとは……
感興
[名]面白いと感じること。おもしろみ。
「――をそぐ」
「――戦隊Eコレンジャー」
昼下がりの公園。
賑やかな声たちは子どもとその母親のもので、それはいつものことである。子どもたちは皆ヒーローごっこをして遊んでいる。
「おれレッド!!」
「ずるーい、ぼくもレッドがいい!」
「あたしピンク」
そんな会話が繰り広げられている砂場から、少し離れてベンチ。
3人の青年が何やら話し合っているようだった。
「つまり、津田。お前のやりたいことってアレ?」
そう言ったのは一番面倒そうに顔をしかめている青年だ。名を福島蒼。
津田紅とは高校時代の友人で、大学に通うようになった現在も時々連絡をとる仲だ。親友というほど厚い繋がりでもないだろうがそれに近いものがあるのではないかと蒼は思っている。
紅は昔から熱い男で、自分のやるべきことをいつも探していた。そのやるべきことが見付かったと電話をかけてきたのは先日のことで、今日、蒼たちがこの公園にいる理由もそれである。
「アレじゃない。Eコ(エコ)レンジャーだ」
「………ああ、だからそのEコレンジャー?になる気なのかよ。あとこの人は?」
言いながらチラっともう一人の青年を見る。見覚えはないが黒のタンクトップに迷彩ズボン。そこそこ筋肉が見えるところを見ると、体を鍛えるのが趣味なのかもしれない。
タンクトップ青年は蒼の視線に気付くと笑顔で会釈してきた。もう何がなんだかわからない。
「俺、藤村太陽って言います」
「はあ……」
「違うお前はイエローだ」
「あ…そうでした!」
だから何なんだお前たちは……
最早溜め息がとぐろを巻きそうだ。
「俺さ、たしかに楽しいことは好きだけど、そういう疲れそうなことはしたくな……」
「お前はブルーだ」
「いやだから俺は…」
「よろしくお願いしますブルーさん」「だから…」
「待て、仲間としての絆を深めるためには呼び捨てタメ口が鉄則!」
「あ、そう…だな。じゃあブルー、よろしく!」
おかしい。
蒼は決して流されるようなタイプではなかった筈だ。が、しかしこの2人を前にするとそれにも自信がなくなる。
本当なら楽々かわして、一定の距離をおいて眺めて笑うのだが……
「わかった……」
断ることの面倒さが勝った。そう言えばまだ言い訳になるだろうか?
こうしてわけのわからないEコ(エコ)レンジャーが結成された。
紅は他にグリーンとピンクが必要だと言ったので、太陽がグリーンにぴったりな人間を探し、ピンクは貼り紙で募集することになった。
結果、太陽は失敗。ピンク志望者が2人も来たので紅のあみだでピンクとグリーンに分けた。
それでようやく5人組のヒーローの完成。
で、そもそもEコレンジャーって何すりゃいいんだろう。
―end―
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