ダメダメ戦隊 | ナノ 第18話 潜入捜査だ-3-


「『タロー』です。よろしくお願いします『アオイ』さん」

そう告げると目の前の青年は目を丸くしていた。普段あまりそういった表情を見せない人だから、珍しいと思う。
そもそも驚いたのは自分も同じだった。だって普通、バイト先の先輩にこんなところで会うとは夢にも思わないだろう。少なくとも彼はそうだった。そして目の前の先輩もそうだった。
それでも、その人の知らない一面を見たようで、少しだけわくわくした。



   未成年ホストSの観察


そもそもの始まりは幼馴染の言葉だった。何かの深夜番組に触発されたらしい彼が「ホスト=悪」というホストの皆さんには大変失礼な結論を叩きだしたのが先日。女子にモテたいという考えもあったのだろう。とにかく彼はホストのことを知りたがった。
しかしいつも一緒にいる仲間たちは、うち2人が女子だし、残りの男子も成人には見えない。というか全員成人には見えないのだ。
あれ、ホストって何歳からなれるんだろう。酒絡みだから成人したらだろうか。


で、
『お前ならできるって!』
たしかに彼は年齢をごまかしてアルバイトをしていた。といっても高校3年生が大学1年生を装っているというもので、つまりたったの1歳だ。しかし今回は2〜3歳は年上に見られなければならない。酒が絡んだ夜のバイトともなれば色々と厳しいだろうし。
だから『無理に決まってるだろ』と答えた。この話はそれで終わったはずだった。
ところが……

「君、ホストとか興味ある?」

夕方の商店街に、少し浮いたスーツ姿の男。美形ではあるが、だからこそ目の前の少しくたびれた感じの八百屋には不釣り合いだった。むしろホストクラブに似合いそうな。
「はあ、ないですけど」
「いやちょっとインフルがね、流行ってて。人手が足りなくてね」
「はあ」
「君、1日だけやってみない?」
そういって男は少し楽しそうに笑った。
「……俺、高校生なんですけど」
現在は制服着用中、のはずだったのだが。

「18歳以上なら働けるんだよ」
「あ、そうなんですか」

それは知らなかった新事実だ。

「そうそう」
「……俺17歳なんで」

本当は18になっていたけれど、なんとなくサバを読む。

「あ、そう? でも18に見えるし平気じゃないかな」

そういう問題だろうか。

それでも幼馴染がホストに興味を持っていたことを思い出すと、つい頷いてしまった。

「……わかりました」

そして、冒頭へ戻る。




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