ダメダメ戦隊 | ナノ
第17話 英雄の弱点
今日は津田屋敷に訪れている。
綾小路碧の家はそれなりに裕福で、彼女自身はそれなりにお嬢様で、やっぱりそれなりのお嬢様の通う学校に通っていた。しかし、彼女がこの津田家を初めて見た時の衝撃ときたらまるで井の中の蛙が大海の広大さを知った時のようなものだった。
別に彼女とて自分を大富豪の娘だと思い上がっていたわけではない。綾小路家程度の裕福さの家の娘なら同じ学校にごまんといる。けれど、津田家ほどの財力を持つ人間はほとんどいない。いたとしてもそれは遠い存在なのだ。
津田紅は碧にとても近いところにいる存在で、だけどあんなに馬鹿なのに有り得ないくらいお金持ちで、
なんていうか、モヤモヤする。
「このヘンテコなツボも案外高かったりするのかしら」
「いや、それ津田が高3の時に美術で作ったツボ」
「………」
なんとなく目についたツボに向かって独り言を呟けば隣の男が真実を口にする。なるほど趣味の悪さが紅らしいと思いながらまた別の物に目を向ける。
……なんというか、広い。
ここって本当に物置なのかしら。それでこんな物置がまだ2つくらいあるって本当なのかしら。
ため息を吐いて、また作業に戻る。
英雄の弱点
今日は任務がないというか、敵が現れそうにないので今日は5人で津田家の物置を調べることになった。
というのも、更なる強大な敵が現れた時のために武器を用意しておく必要があったからだ。それでとりあえずみんなが押し入れや物置から武器になりそうなものをあさってくる、という宿題が出たのだけれど誰もそれらしい物を持って来なかったのだ。
それで、津田家の物置になら何かしらあるだろう、と捜索中なのだ。
とはいえ津田家は広い。物置も広い。しかもその広い物置が3つほどあるという。
仕方なく3つにわかれているのだが、碧はじゃんけんで福島蒼とのペアになった。
……密室に、若い男女が2人っきり。
何か間違いが起こったらどう責任を取ってもらおう。
そう考えながら、碧は草島桃介が似たような台詞を言いながら去っていったことを思い出す。藤村太陽とのペアだったはずだ。
男女じゃなくて男同士だし、襲われるとしたらそれはむしろ太陽だろうに。
あんな自意識過剰のオカマと一緒になるよりは顔だけは整っていてこの中で1番まともな蒼とペアになった方が良いに決まっている。そう自分に言い聞かせながらも、蒼があまりに働かないことへのイライラはおさまらない。
「ちょっと、アンタも探しなさいよ!」
「そのツボでも投げとけよ」
「カッコ悪いからダメ!」
……こんなことで武器なんて見つかるのだろうか。
なら何が良いんだ、と蒼が呟く。何がって、それはカッコイイものがいい。手裏剣とか真剣とか、銃とか。スティックもありかもしれない。
「そんなのこんなところにあるわけ…………あるかもしれないけどさ」
「ならちゃんと探しなさいよ」
あとは巨大化するメカも必要不可欠だ。
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