ダメダメ戦隊 | ナノ
第9話 学園物じゃあるまいし
――快晴。
よく晴れた日だった。ここは市立楓高校。屋上から見る空はまた違った青さを見せる。
今は昼休みである。生徒たちのざわめきが遠くに聞こえていた。
屋上のドアの鍵はまるでドラマや漫画などのお約束のように壊れていて、生徒たちが自由に出入りしていた。が、最近は特定の人間しか現れない。
その特定の人間の1人が、屋上のドアを開けた
学園物じゃあるまいし
最初に現れたのは1人の少年だった。小柄な体は1年生を思わせる。オレンジ色の髪の毛先が歩くたびにふわふわと揺れる。
「……なんか悪口言われた気がする」
少年はまるでこちらの書いていることを見ているかのような鋭さで呟く。こう見えても高校3年生である。
相原橙悟(あいはら とうご)。どうやらこの日は1番乗りだったようだ。
「あー相原君、おはよっ」
「……浜谷か。山口は?」
「購買でご飯買ってくるって」
「そうか」
少し遅れて現れたのは同じく3年生の少女。それなりに長い髪をツインテールにしている。
浜谷紫杏(はまや しあん)。
おはようというのには少し遅い。だが「こんにちは」というのは他人行儀な気がして、なんとなく受け入れる。
まあ、今日は初めて会ったのだし「おはよう」でも問題ないように思う。
と、
「今日のご飯はカレーパン♪」
珍しく楽しそうに歌いながら現れたのは山口灰那(やまぐち かいな)。何故かスキップまでしており、一歩進むたびに不規則にスカートが揺れる。
購買で買ってきたらしき袋にはカレーパンとおにぎりが入っている。
「灰那、早かったね」
「紫杏が寂しがるかと思って」
冗談混じりに微笑む灰那だが、もし他の男子が見ていたとしたら一瞬でハートを射抜かれただろう。が、あいにく、橙悟には効かなかったようだ。……灰那とて橙悟にどうこう思われようと意識してそうしたわけではないのだが。
「よう、待たせたな!」
「……悪い、遅くなった」
遅れたくせに偉そうにやってきた榊玄也(さかき くろや)。
その隣に当然の如く現れたのが金子士郎(かねこ しろう)。
そう、今現在屋上に集まるのはその特定の5人だけだった。
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