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デート(伝勇伝・リルクゥ)
2012/01/05 23:45

「デート、しよ?」

冷蔵庫に入っていたプリンを食べてしまったリルは妹にこっぴどく叱られた。その後数時間口も聞いてもらえなかった。さすがのリルも反省し、新しいプリンを手に妹に謝罪に来ると、ようやく笑ってくれた彼女はそんなことを口にした。
え、デートって何。
決まりね、となんだか急に楽しそうになった妹は何着てこっかなーと洋服ダンスに顔を突っ込む。あ、こら、そのスカートは短すぎるだろ。
とりあえずリルはこの会話が弟や、幼馴染みたちに聞かれていなかったかを確認するのだった。



そんなわけで、翌日。
学校が終わってから駅で待ち合わせして、数駅離れたところまで妹に連れ去られる。
「チーズケーキと、プリンと……」
太るぞ、と口にしかけてやめた。さすがのリルもそろそろ学習してきた。
「あとチョコパフェ!」
「太るぞ」
あ、結局言った。
それでも彼女はにこにこにこにこ笑ったまま。
「だって全部奢ってくれるんでしょ」
……ああ、デートがしたいというのはつまりそういうことか。
最近そんなに構ってくれなかった妹が構ってくれて嬉しかったのにとかそんなことはないのだけれど。それでも少しだけいじけたくなる。
まあこれであのプリンのことを水に流してくれたり、笑ってくれるのなら安いものかもしれない。これでもリルはシスコン気味だった。
うん、まあ、そんなところスイとかレファルとかリーズとかには見られたくないから最寄駅じゃなくて助かったななんて。思って。顔を上げたら、ピンクの頭が三つ。向こうのテーブルに。
目が合って、にやにやと笑われて、
もしかして帰ったらシスコンとからかわれるのか。スイだって結構なシスコンなくせに。

外だからと意地を張ってブラックのままだった珈琲を一気に飲み干す。苦い。






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