淡い期待を込めて

室町での一生を終えて、目を覚ませば知らぬ地。
室町での両親に似た顔の女性と男性が私に向かって微笑んでいた。

それからすくすくと私は育ち、6つの頃だろうか、私は両親にあることを教えられた。

「名前、貴女は魔法使いなのよ」

魔法使い?

「ああ。でもこのことは、皆に言ってはいけないよ。分かったかい?」

うん、私、誰にも言わない。

「そうね、名前がもう少し大きくなったら、立派な魔法使いになるために、お勉強をしなくてはなりません。」

お、お勉強…

「はは。でもきっと楽しいさ。パパやママも、ホグワーツという学校で勉強していたんだよ。」

…ホグワーツ、っていうの?

「そうよ」

へぇ…。



今思えば、冷めた子供だったなぁ…と一人笑う。
でも今は違う。
もうすぐ私の誕生日。
ホグワーツは11歳で入学だから誕生日が過ぎるまで手紙はこない。

正直、魔法のことを話された時は、
「時が進めばなんでもありなんだなぁ」と、その年には合わない考えを持っていたのだ。

ああでも、成長していくに連れ、何故か感じるんだ。
また彼等に会える気がする、と。
例え気のせいだとしても、期待くらいはさせてくれてもいいよね。






「ママ、パパ!手紙、来たよ!」

「あら名前、良かったじゃないの!」

「でもいまから大変だな、杖に教科書、制服、ああそうだ、授業で使う道具も買わなくちゃ。」

『ダイアゴン横丁に行くの?』

「ああ、ホグワーツの準備なら、彼処が最適だろう。」

ダイアゴン横丁に行くのは初めてではないけど、なんだか新鮮な気持ちになった。

「それと名前。」

『なぁに?』

「今日はママ達の知り合いも一緒なの。きっと名前も好きになるだろうけど、失礼のないようにね。」

『うん、分かった。』

「そういえば、彼はあの子を連れてるんだっけ?」

「そうそう、そう言ってたわ。」

『あの子…?』

「時期に分かるわ。さ、行きましょう、名前。」

『はーい。』

煙突飛行粉をつかんで、暖炉の前でこう言った。



『漏れ鍋!』


どうか彼等に会えることを願って

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