ハグリッドのイッチ年生はこっち!という声が聞こえて、先輩達と別れた。ハグリッドに着いていくと、湖の畔に出た。四人ずつボートに乗れと言われ、私はどこに乗ったらいいか迷った。ハリーも見当たらないし…。それに、兵太夫もここにいるんじゃないのか…。キョロキョロと辺りを見渡していると、「名前!」と私を呼ぶ声がした。
『兵太夫!』
私はほっと安堵した。
私を呼んだのは兵太夫だった。
「何してんの?早くこっちのボートに乗りなよ。」
『え、う、うん。』
手首を掴まれぐっと引っ張られる。
ずんずんと進んでいく兵太夫に、私は兵太夫はもうボートに乗っていたんだろうなと思った。
「あ、兵太夫!遅いよ、何してたんだ…よ…。」
「え、兵ちゃんそれって……。」
「うん、名前。」
兵太夫が連れてきたボートに乗っていたのは団蔵と三治郎だった。2人とも目を見開いて驚いていた。対する私は、もう皆がここにいるのを知っていたので驚きこそしなかったけれど、やっぱり2人に会えたことは嬉しかった。
『団蔵、三治郎…久し振りだね。』
「ちょ、名前!久し振りだね、じゃないよ!え、名前がこの世にいたなんて…。」
『何かちょっと酷くない…?』
三治郎は私に会えたからではなく、私がこの世界にいることに驚いていたらしい。まぁ…今まで会わなかったのだからそう思われても仕方ないのかも…。
隣の団蔵は今だ放心状態だった。ぽかんと口を開けていて、兵太夫にいつまでその間抜け面でいるわけ?と言われるまでその表情を崩すことはなかった。
ボートが進んでいって、ホグワーツ城が間近に現れると、やっと団蔵が言葉を発した。名前ー!と私の名前を呼んで飛び付いてくる。
『っ…』
首が締まってる…!
『だ、だんぞ…』
「ちょっと団蔵、暑苦しいからやめて。」
三治郎がそう言って、兵太夫がベリッと団蔵の首根っこを掴んで剥がすとやっと十分に酸素が送られてきた。
「あー悪い、悪い。」
『謝る気ないでしょ。』
私が肩を竦めて言うと団蔵があははーと気の抜けた笑い声をあげた。