×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



「ノイズ出現ポイントまで、あと5分」


ヘリの座席に座って軽くて足の運動をしていると、前の席から兄さんの声が聞こえた。
今夜、本当は久しぶりに兄さんとご飯を食べようと思っていたのだけれど、こうしてノイズの襲撃があったため出動を余儀なくされているわけで。


「…楽しみにしてたのになぁ」

「ノイズが前もって出現時間を教えてくれるわけじゃないんだから、こればっかりはどうしようもないわ」

「うー…」


唸る私に、隣に座る翼さんは苦笑しながらぽんぽん、と私の頭を撫でる。
私はどうも、翼さんに頭を撫でられるのが好きみたいだ。理由はなんとなくわかっている。雰囲気が、声が、白瑛様に似ているんだ。だから兄さんは、彼女より年上にもかかわらず頭が上がらなかったりする。
そして彼女もこうして、何かあるたびに私の数多を撫でていた気がする。

あぁ、なつかしいなぁ。


「翼さんの言うとおり。仕方ないよ。僕だって楽しみにしてたんだから…!!」


物思いにふけっていると、兄さんがムキィッ!!と昼ドラよろしくハンカチを引きちぎらん勢いでかみしめのが見えた。

…あの、さすがにそれはやめといたほうがいいと思うの、兄さん。


「…さ、話はこれくらいにして、そろそろ準備するわよ」

「あ、はい!」

「青珱、くれぐれも無茶はしちゃだめだからね!!怪我なんてして帰ってきたらお兄ちゃん泣いちゃうよ。泣き崩れちゃうよ。わかった?」

「わ、わかってるよ、兄さん!!翼さんも一緒なんだから、大丈夫だって」

「それとも、私が信用できませんか?」

「い、いやぁそんなことはないようふふふふ」


視線をあちこちに彷徨わせて冷や汗を流す兄さん。挙動不審過ぎて何も言えない。
ヘリのドアを開けた翼さんに続き、私も立ち上がる。


「じゃぁ、行ってくるね」

「いってらっしゃい、二人とも」


そして、私たちは飛び降りた。


「Imyteus amenohabakiri tron―」

「Cemyuleis tyrfing tron―」


私たちが歌う歌。首にかけた聖遺物の欠片がそれに反応し、輝きを放つ。そしてそれらが複雑に組み合わさり、身にまとうシンフォギアへと再構成される。

私の身の丈もある大きな剣を携え、紫色の大きなノイズの前に降り立ち見上げた。
隣に着地した翼さん。それぞれがアームドギアを構えた瞬間イヤフォンから通信が入る。


『翼、青珱。聞こえるか。まずは一課と連携しつつ相手の出方を見ろ』

「…いいえ、私と青珱だけで問題ありません」

『翼ッ!』

「司令、大丈夫です!!私は翼さんのサポートに回りますから!」

『…頼んだぞ』


通信が切れたと同時に、私たちは駆けだす。己の武器である歌を歌いながら。
横目で翼さんのコンビネーションを見ながら、私は目の前のノイズを蹴散らしていく。

手に持つ剣を少し縮め、二つに分裂させる。そしてそれらを一振りするとノイズに飛んでいく二筋の斬撃。


―天の鎌鼬


これは煌帝国時代の兄さんの眷属器を真似たもの。そして、翼さんの千ノ落涙の派生でもあり、白龍皇子の金属器の技でもある…


―千ノ鳴燕


燕を模したいくつもの光の筋が群がるノイズに突き刺さる。
今ので私の方は粗方片付け終わった。翼さんの方は大丈夫だろうか、と振り返るものの、数秒のうちにそれは杞憂となった。
ノイズを倒したことによって起こった爆発を背に、悠々を発ってみせる翼さん。彼女は私に気付くと、少し急ぎ気味に走って来た。


「撤退だ、青珱」

「はい!」


そうして私たちは、煙に紛れるようその場を去ったのだった。





-----
ここで技の解説です!



天の鎌鼬…身の丈ほどある剣を縮め二刀にし、それを振るうことによって斬撃を敵に飛ばす。青舜の眷属器である双月剣を参考にしている。

千ノ鳴燕…燕を模したいくつもの光の筋が広範囲に当たり敵に降り注ぐ。翼の千ノ落涙、白龍の操命弓の派生。




多分増えていく。



次へ