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「ねぇ、にいさん」


いつだっただろうか。


「なぁに、青珱」


妹が、僕に問いかけてきたのは。


「にいさんは、歌ってどういうものだと思う?」


何の脈絡もない、唐突な質問。
僕はなんと答えただろうか。


「んー…よくわからないや。僕はあまり歌なんて歌わないからね」

「ふぅん。…あのね、にいさん。私、歌って言うのは、人と人が繋がりあえる素敵なものだと思ってるの。言葉を交わさなくても、歌を歌えば分かり合えることができる。それでいて、とても強力な武器」


だから私、にいさんを守るために歌うから。




雲で隠れていた月が顔をだし、青珱の顔を照らした。
目にいっぱいにためた透明な滴。それを溢さまいと必死に唇を噛む青珱にひどく胸が締め付けられた。

あぁ、泣かないで。
僕は君にそんな顔させたいんじゃないんだ。

泣き虫な君を泣きやませるのはいつも僕の役目だった。それはどんなに転生しようが変わらない。


「ね、青珱」


だから…


「笑って?」





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よし、がんばろう




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