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損な役回りだと思う





「うぅぅ…さ、寒いぃい…ッ」


ようやく6つ目にこぎつけた私たちは現在、くっそ寒い極寒の洞窟にて氷漬けになったドラゴンボールを一生懸命に溶かしております。本当はエネルギー波の1発でもぶち込みたいところなんだけど、そんなことしたら洞窟が一気に崩れてしまうんだよねぇ。
だからこうして、ゆっくりと地道に頑張ってるわけなんだけど…


「どう?溶けそうですか?」

「もうちょっとだな…」

「早くしなさいよ…!私を凍えさせる気!?」

「そんなこと言ったって…」

「そうですよ。急いで溶かすとこの洞窟全体が壊れちゃうんですよ?」

「〜ッわかったわよ!!わかったから早くしなさいってばぁ!!」


再び氷に向かって手を翳す2人の背中をじっと見つめる。


「あぁーもうッ!この寒さは絶対にお肌によくないわ!こんなことで、私の美貌が損なわれるなんて、宇宙からしたら重大な損失になるんじゃないのかしら!!」

「「「………」」」


この人は何をいけしゃーしゃーと言ってるんだろうか。保湿さえしっかりしてれば大丈夫だと私は思うんだけど。


「悟飯、寒くない?」

「うん!おねえちゃんがくっ付いてくれてるから平気だよ」

「そう」


ぎゅっと悟飯を抱きしめる腕に力を入れた。だってここ鬼畜レベルで寒いからさ、悟飯が風邪でも引いたら嫌だもん。こうやってぎゅーってしてれば悟飯も私も暖かい。風邪もひかない!うん、一石二鳥だね。


「よし、もういいぞ!」


ストップをかけたクリリンさんはごそごそと溶かした氷に手を突っ込み、ドラゴンボールを掴んだ。にやり、と笑ったのを私はしかと見たぞ。


「やったぁー!6個目だぁー!」


悟飯が可愛らしくばんざーい!と喜んだ。本当可愛いばんざいとかするあたりでもう…もうッ…!


「あと1個!!やったー!」


やったー!!とみんなして飛び跳ねた瞬間、ビシリと嫌な音がしてどこからともなく洞窟にヒビが広がった。え、なんでなんで!?こうならないようにわざわざゆっくりと溶かしていったってのになんでよぉおおお!!!!!


「逃げるぞ!!」

「は、はいッ!!」


慌てて走り出すも、結局は崩落に巻き込まれて割れた地面に落ちたのだけど。偶然落ちたそこそこ大きい氷の上に全員でしがみついているが、この氷が割れるのも時間の問題だと思う。
氷は徐々に滑るスピードを増し、激しく壁や岩にぶつかった。

そして突如現れた分かれ道に全員が戦慄いた。


「うわぁあ!!ど、どっち!?どっちに行くのぉおおお!!」

「左!!左に行ってぇえええ!!!」


ひぃいいいい!!!とブルマさんにしがみ付かれて身動きの取れない私に変わってクリリンさんが壁にエネルギー波をぶっ放した。見事左にそれ一息ついたのもつかの間、今度は巨大な雪玉が私たちを潰さんばかりの勢いで迫り来たのだった。
もうさ、いっそ清々しいくらいにタイミングよく現れるよね…


「「「「ぎゃぁぁああああああああああああッッ!!!!」」」」

「ちょ、クリリン!!何とかしなさいよぉおおお!!」

「ぐえぇ…ッ、あ、」

「「へ?」」


見上げた先、天井にいくつも連なる鋭いツララたちに嫌な予感がした。ま、まさか…


「まさかクリリンさん…」

「シュエ、悟飯!あれだ!!」

「あ、はい!」

「いやいやいやちょっと待てねぇクリリンさん待っ」

「「波ーッ!!」」

「あぁああああああああッ!!!!」


ドスドスと地面に突き刺さるそれらを踏みつぶしながら進む雪玉は当然のようにそれを纏ってくるわけで…
ズドーンッと目の前に聳えるニードル雪玉にくらり、と眩暈がした。


「悪化しとるがな…」

「何やってんのよバカぁーッ!!!!!」


ブルマさんの絶叫と共に飛び出した先は私たちが望んだ出口。だったんだけど、うん、出た瞬間断崖絶壁って何それ笑えない。


「うああああああああああ……あえ?」

「ブルマさん、大丈夫ですか?」

「だいじょばないわよ…」


私と悟飯で両脇を支えながらブルマさんは青ざめた顔でふっかい溜め息を吐いた。まぁ、うん…寿命がバカみたいに縮んだのは認めるよ…むしろ死にかけたんだけど何これドッキリなら笑えないよ。






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