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親切の裏




「シュエちゃん、シュエちゃん起きて!」

「うぅ…ブルマさん…?」

「気が付いたのね!よかったぁ」


嬉しそうに私の手を握るブルマさんに頭に疑問符がとんだ。あれ、私たちどうなったんだっけ。確か、ゼシンが教えてくれた経路からナメック星に行って、存外早く着いたー!って喜んで颯爽と降りようとしたら、えっと…それから…
そうだ、私たちは宇宙船ごと崖から落っこちたんだった。


「この人たちが助けてくれたんだよ、おねえちゃん」


ひょっこり、とブルマさんの後ろから悟飯が顔を出した。その隣にはピッコロさんと似たような風貌をした人たち。この人たちが、ナメック星人…?なんて胡散臭い笑顔なんだろう…


「悟飯!大丈夫だった?頭打ってない?」

「う、うん…!苦しいよおねえちゃん…!」

「ほっほ、元気があるのはいいことだ。ライチだっぺ」

「ザークロだっぺ」

「あ、シュエです。よろしく」


むんず、とお互い鼻をつまんで挨拶をした。彼ら曰くこれがここでの挨拶らしいんだけど…私ピッコロさんとこんな挨拶したことないんだけど。

それから私たちはライチさんたちにご飯をご馳走になり、ブルマさんが心配した宇宙船が仕舞われている物置へと案内してもらったのだった。そこにはなんともまぁ酷い有様の宇宙船が鎮座している。一瞬なんかの残骸かと思ったんだけど。つまりそれほど酷いってこと。


「うっわぁ…ずいぶん痛んでるけど、大丈夫よね…?」

「多分ね」

「いろいろありがとうございます!」

「あなた方って本当に親切な人たちなんですね!なんかこうー……」


にこにこ。人の好さすぎる笑みを浮かべている2人に若干の薄ら寒さを感じた。いくら神様の親戚でも、ここまで見ず知らずの人間に親切にできるほどナメック星人の人たちは落ちぶれちゃいないと思うよ。私的に宇宙船が直り次第とっととこの星から出て行った方が得策だと思うんだけど。


「見てよ、あったわ!ドラゴンボール!」

「やった!」

「ねぇ、このすぐ近くに3個かたまってるの!」

「ふーん」


ドラゴンレーダーを見て喜ぶ3人を尻目に宇宙船に目を向けた。…やっぱり治すのにはだいぶ時間がかかりそうだなぁ…








「どうだ!わしの相棒のゴクウは早いだろ?」


ライチさんの申し出によりドラゴンボール(仮)探しをするべく、彼が貸してくれたゴクウという名の飛行機に乗って飛んでいるんだけど…
騒音がもううるさいのなんの。近くにいてもお互いの声が全然聞こえないレベルだ。騒音だけラスボス級だよ。


「う、うるさッ…!」

「え!?シュエなんか言った!?」

「なんも言ってませーんッ!!」


てゆーか飛行機にお父さんの名前つけるなんてすっごく腹立たしいんだけど。なんでチョイスそれにしたのもっとほかにもあったでしょうに。


「ゴクウ、ここだ!降りれ!」

「「「「ぎゃぁああああああああああああああッ!!!!」」」」


びゅんッと急降下した飛行機に命の危機を感じました。


1つ目は大きな川の中。泳ぐ悟飯がもんげー可愛かったです。2つ目はライチさん曰く5000年前の古代遺跡の中にあった棺の中。壁に描かれた壁画はどう見てもナメック星人の姿ではなかった。うーん、やっぱり嫌な予感がするなぁ…


そして今、3つ目を探索中なんだけど、レーダーに映るドラゴンボールがどう見ても動いてるんだよね。


「ああーッ!!!」

「「「「!?」」」」


突如叫んだブルマさんに一斉に全員が振り返った。いかにも肉食獣ですと主張する恐竜さんが、それはそれは飴玉を口に放り込むような気兼ねなさでドラゴンボールを口に投げ入れたのだった。ごくり、と飲み込んだ後、いけしゃーしゃーとどこかへ去って行く恐竜さんを呆然と見送ったのだった。


「はッ…ちょ、ちょっとぉー!!待ちなさいよー!!」

「ぶ、ブルマさん無謀ですって!!」


いの一番に我に返ったブルマさんが恐竜を追いかけてダッシュするも、すぐにライチさんに首根っこを引っ掴まれていた。


「ちょっと待った!これ以上は行ってはダメだ!!」

「な、なんでよぉー!早く追いかけないとドラゴンボールが…!」

「飲み込んだんでしょ?もう出てくるまで待つしかないですって」


ほら、口に入れたものはいつか出てくるじゃない。どこからと言わないけど。
そう言うとブルマさんとサッと顔を青ざめさせ、叫んだ。


「そんなの嫌に決まってるでしょーッ!!!」

「おねえちゃん…」

「シュエ、今のは女の子としてどうかと思うぞ」

「え、私が悪いの?生物学的構造を考慮して述べたまでなのになんで!?」






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